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2025年05月19日 12:23 / 経営
公正取引委員会、中小企業庁は5月16日、「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」の概要を発表した。
改正法の施行期日は2026年1月1日で、一部の規定は法律の公布の日から施行する。
改正法では、価格転嫁・取引適正化の実効性を高めるため、主務大臣が指導・助言したものの、状況が改善されない事業者に対して、より具体的措置を示して、その実施を促す(「勧奨」する)ことができる旨を規定する。
現状では、下請Gメンのヒアリング結果、価格交渉促進月間における調査結果を受けて、価格交渉・価格転嫁等の状況が芳しくない事業者に対し、主務大臣による指導・助言を実施。取引方針が改善される等、一定の効果を得ている。
一方で、何度か指導・助言を受けても、取引方針が改善されない事業者も存在する。そうした事業者は、改善の意思はあるものの、どのような取組を講じるべきか、具体的な検討が不十分という課題があった。
特に、2024年9月に実施した価格交渉促進月間におけるトラック運送の価格転嫁率は全業種で最下位の29.5%であり、商流の源(発荷主 - 元請運送)から価格転嫁を推進しなければならない。運賃を交渉で決めるという商慣習を業界で定着させる施策が求められていた。
また、サプライチェーン全体で円滑かつ迅速な価格転嫁を定着させるには、資本金の大小関係がない取引でも価格転嫁を推進する必要がある。
改正法では、下請法と同様に、発荷主-運送の取引を対象としたほか、下請法より広い「従業員の大小関係がある委託事業者」を適用対象に追加した。これにより、中小企業同士等、下請法の対象外の取引も含めて、支援または指導・助言・勧奨の対象とし、価格転嫁・取引適正化を浸透させる。
さらに、下請振興法の改正では、多段階の取引からなるサプライチェーンにおいて、2以上の取引段階にある事業者による振興事業計画に対し、承認・支援できる旨を追加。直接の取引先との関係のみならず、サプライチェーン全体の取引適正化等の取組を促すメッセージを明確にする。
2024年9月の価格交渉促進月間の調査で、受注側企業の取引段階と価格転嫁率をみると、1次請け51.8%、2次請け46.1%、3次請け39.7%、4次請け以上35.7%となり、サプライチェーンの取引段階が深くなるにつれて、価格転嫁割合が低かった。
直接の取引先を越えて、1つ先や「数次先の取引先まで含めて、価格交渉」しない商習慣を変える必要がある。
そのほか今回、下請法の改正では、「協議を適切に行わない代金額の決定の禁止」を規定した。
「市価」の認定が必要となる買いたたきとは別途、対等な価格交渉を確保する観点から、中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、委託事業者が必要な説明を行わなかったりするなど、一方的に代金を決定して、中小受託事業者の利益を不当に害する行為を禁止する規定を新設する。
現状では、コストが上昇している中で、協議することなく価格を据え置いたり、コスト上昇に見合わない価格を一方的に決めたりするなど、上昇したコストの価格転嫁についての課題がある。そのため、適切な価格転嫁が行われる取引環境の整備が必要だった。
政府は、「近年の急激な労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を受け、『物価上昇を上回る賃上げ』を実現するためには、事業者において賃上げの原資の確保が必要。中小企業をはじめとする事業者が各々賃上げの原資を確保するためには、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる『構造的な価格転嫁』の実現を図っていくことが重要」との認識を示していた。
そこで例えば、協議に応じない一方的な価格決定行為など、価格転嫁を阻害し、受注者に負担を押しつける商慣習を一掃することで、取引を適正化し、価格転嫁をさらに進めていくため、下請法の改正を検討していた。