熱中症/2024年「運送業」死傷者数186人、うち3人死亡
2025年06月03日 16:27 / 労務
厚生労働省は5月30日、2024年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表した。
業種別発生状況をみると、運送業の死傷者数は186人(うち3人死亡)となった。2023年は146人(うち1人死亡)、2022年は129人(うち1人死亡)、2021年は61人(うち1人死亡)、2020年は137人(死亡なし)となっており、死傷者数は増加傾向となっている。
2024年の死傷者数1257人について、月別の発生状況でみると、約8割が7月、8月の2カ月間に集中している。特に死亡者数については、31人のうち、1人を除き、7月又は8月に集中している。
また、2020年以降の5年間に発生した熱中症の死傷者数について、月別の発生状況でみると、死傷災害については2024年と同様の傾向があり、約8割が7月、8月の2カ月間に集中した。死亡者数についても2022年は6月に10人が亡くなっているが、これを除けば、いずれの年も7月又は8月に集中している。
時間帯別の発生状況についてみると、午前中や午後3時前後の被災者数が多くなってことが窺えるが、いずれの時間帯でも発生している。死亡災害についても同様にいずれの時間帯でも発生している。
また、2020年以降の5年間に発生した熱中症の死傷者数について、時間帯別の発生状況についてみると、死傷災害、死亡災害ともに2024年と同様の傾向となっている。
なお、気温が下がった17時台や18時台以降に死亡に至るケースが少なからずみられるが、これらには、日中には重篤な症状はみられなかったにもかかわらず、作業終了後や帰宅後に体調が悪化した事案が含まれている。
年齢別の発生状況についてみると、死傷者数、死亡者数ともにいずれの年齢層においても発生しており、死傷者数については、50歳代以上で全体の約56%を占めており、死亡者数については全体の約67%を占めた。
また、2020年以降の5年間に発生した熱中症の死傷者数について、年齢別の発生状況についてみると、2024年度同様の傾向がみられ、死傷者数については、50歳代以上で全体の約52%を占めており、死亡者数については、全体の約61%を占めているなど、一般に高齢者は、身体機能の低下等の影響により、加齢により熱中症を発症するリスクが高いことから、死亡災害に至る割合が高くなっていることが考えられる。
2024年の運送業の熱中症による死亡災害事例をみると、7月気温33.2度、暑さ指数28.9度の中で、陸上貨物取扱業の30歳代の人が死亡した。被災者は事業場倉庫内1階で電線ドラムのピッキング作業に従事していた。16時30分頃、倉庫北側ホームを通行中にうつ伏せに転倒し、意識を失い痙攣をおこした。倒れている被災者は救急搬送され、集中治療室で治療を受けるが、翌日に死亡した。
7月気温36.0度、暑さ指数32.9度の中で、一般貨物自動車運送事業の50歳代の人が死亡。被災者は長距離の貨物輸送を行っており、10トントラックへ建設資材の積み込み作業等を行っていたが、12時45分頃にトラック荷台の荷の上で意識を失って倒れている状態で発見され、その後、救急搬送されたが、7日後に死亡した。
7月気温35.7度、暑さ指数31.1度の中で、一般貨物自動車運送事業の60歳代の人が死亡した。被災者は段ボールの配送業務を行っていた。16時30分頃に配送先から帰社した。その後、22時50分頃に警備会社の労働者が事業場の施錠確認のために定刻の訪問巡視を実施した際、フォークリフト横に仰向けに倒れていた被災者を発見した。救急隊が到着した時点で、死亡していた。
8月気温39.3度、暑さ指数33.5度の中で、陸上貨物取扱業の40歳代の人が死亡。被災者は8時から倉庫内で自動車部品の容器への詰め替え作業に従事し、15時の休憩時に手の震えや休憩所周囲で座り込む様子が確認された後、屋外へ出て走っていたところ側溝部分で足を取られ転倒した。口から泡を吹きいびきをかいたような状態であったため、救急搬送されたが2日後に死亡した。
8月気温32.6度、暑さ指数31.5度の中で、特定貨物自動車運送事業の60歳代の人が死亡した。被災者はガスボンベの輸送業務を行っており、12時45分頃、顧客から引き取って来た空のガスボンベ(重量約50kg)を、トラックの荷台からプラットホームへ下ろしていたところ、突然気分が悪くなったことからその場にゆっくりと倒れ込んだため、近くにいた同僚らにより救急搬送されたものの、当日、搬送先の病院において死亡した。
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