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2025年07月04日 15:15 / 交通
国交省の外部委託組織である事業用自動車事故調査委員会(酒井一博委員長)は7月4日、2023年5月16日夜に宮城県栗原市で発生した大型トラックの衝突事故に関する調査報告書を公表した。
この事故は、東北道下り線の第1車両通行帯(走行車線)を大型トラックが走行中、故障のため同通行帯に停車していた大型貸切バスと同バスの後方で故障対応していた運転者及び乗客2名に衝突したもの。大型貸切バスのドライバー及び乗客2名の計3名が死亡し、大型トラックのドライバー(30)は重傷を負った。
衝突した大型トラックは時速約92キロで走行、故障した大型貸切バスは非常点滅表示灯を点滅させて停車していたが、これに気が付かず衝突した。
調査委員会では事故の原因として、トラックの前方不注視に加えて、バス側にも緊急停車後の後続車に対する危険防止措置が不十分だったとした。
衝突した大型トラックは、前方を走行するトラックを追い越そうとしたが、追い越し車線の後方に併走する乗用車がいたため、これに注意を集中しすぎ、前方不注視となった。
報告書では、長時間労働による疲労が注意力の低下に影響したと分析。同時にドライバーの運転特性(「判断動作のタイミングがかなり遅い」、「注意の配分が十分でない」)も運転行動に影響したとしている。
このため、事業者・運行管理者の指導監督不足も指摘。トラック事業者には「疲労を蓄積させ、安全な運行の確保に悪影響を及ぼす長時間労働を看過した」、「運転者個々の運転特性に配慮したきめ細かな指導が不足していた」としている。
一方、この事故では、緊急停車時の後続車に対する危険防止措置が不十分であったことなど、バス側にも大きな要因があったとしており、バス事業者に対しても、高速道路上で緊急停車したときの適切な対応に関する指導監督が不十分であったと指摘している。
報告書では再発防止策として「改善基準告示で定める拘束時間を厳守すること。運行計画は実態に合わせて適切に作成すること」、「行政から受けた改善指示事項は指示を受けた営業所にとどめず、全営業所で共有すること」、「荷待ちなどのため勤務時間が改善基準告示違反となる場合には、運行計画の変更などの対応をとること」など、適切な労務管理の徹底を求めている。
また同時にドライバーに対しても、「高速道路上で前方不注視の危険性を十分理解させ、前方不注視につながる運転を行わないよう指導教育を徹底すること」、「高速道路上で夜間の運行において生じる様々な危険について、危険予測訓練の手法を用いることにより理解を深めさせ、常に前方や周囲の交通状況の確認を徹底させること」など指導監督の徹底が重要であるとした。
なお、この事故では大型トラックの事業者である八洲陸運八戸営業所(青森県八戸市)と大型貸切バスの事業者である2525タクシー本社営業所(仙台市)に、それぞれ輸送施設の使用停止命令等の行政処分が科せられている。