外国人ドライバー/羽生Mスクールなど、来日前に日本式運転を学ぶプログラムを開発
2025年07月16日 14:12 / 動画
羽生モータースクール(埼玉県羽生市)と広沢自動車学校(徳島県徳島市)は、ベトナムで日本式運転プログラムを現地教習所グループと共同開発した。
ベトナム全土で教習所事業を展開する大手グループ「VAN THANH GROUP(ヴァンタイングループ)」と共同で、日本でトラック・バス・タクシーの運転手を目指すベトナム人向けに、来日前に同国の教習所で日本式の運転教育を行う。ヴァンタイングループによると、ベトナム国内の複数の教習所で日本式教習プログラムを同時展開する試みは同国初という。
<プログラムを開発した羽生モータースクールと広沢自動車学校、ヴァンタイングループの自動車学校の関係者ら(ベトナム・イェンバイ省)>

「特定技能(自動車運送業)」制度(いわゆる外国人ドライバー制度)で、今後、外国籍ドライバーの入国が本格化するが、現状ではペーパーテストだけで来日できるため、運転安全性が課題となっている。そのため、来日前から実車を使って左側通行や日本の運転マナーを身に付けてもらい、運転安全性を向上させるのが狙い。
当面は両教習所と連携する登録支援機関テトラ・シフト(東京都豊島区)とシンク・スリー(徳島県徳島市)を通じて採用された人材を対象にプログラムを提供する。
プログラムは、「日本とベトナムで運転方法が異なるポイント」と「外免切替の技能確認で見られるポイント」を主軸に構成。日本で免許を取得したベトナム人へのヒアリングも踏まえ、羽生モータースクールと広沢自動車学校の指導員が約4カ月をかけて作成した。
具体的には「乗車前の安全確認」や「運転姿勢の調整」に始まり、ベトナムと真逆になる「左側通行の右左折」や「進路変更の安全確認」、「優先関係」、ベトナムには無い「一時停止」などを体系化している。
現地での指導は、日本人指導員が育成をしたベトナム人指導員がベトナム語で実施。羽生モータースクールがベトナム北部イェンバイ省の教習所を、広沢自動車学校の指導員がベトナム南部の教習所をそれぞれ担当し、同国の指導員に日本式運転とその教育法を指導した。
<ベトナム人指導員(左)に日本式運転の方法を教える羽生モータースクールの指導員(右)>

右側通行の国の教習所で左側通行を練習することは、現地ではひたすら逆走することになるため、本プログラム実施中は現地の教習所のコースを貸し切って行う。教習は、本プログラム専用に開発した教科書と教習原簿を使い、修了者には修了証を発行する。本プログラムを提供するベトナムの教習所は、当面はベトナム北部の1校と南部の1校で、各校で4人 のベトナム人指導員が日本式教習にあたる。
2024年12月に運用が始まった外国人ドライバー制度で、政府は5年間で2.45万人を上限に外国人ドライバーを受け入れる方針。
しかし、職業運転手として来日を目指す労働者の出身国の多くは途上国のため、交通安全の3Eと呼ばれる「Engineering(道路改良)」「Enforcement(交通取り締まり)」「Education(交通教育)」が高い水準で揃っている国がほぼ無く、中には運転教育をほぼ受けずに運転免許が得られる国もあることから、「海外人材にどのように日本水準の安全運転を身に付けてもらうか」は大きな課題となっている。
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