公正取引委員会/有識者との懇談会での意見公開「価格転嫁の交渉」中小企業に課題
2026年01月21日 14:36 / 経営
公正取引委員会は1月21日、昨年11月21日~12月3日に全国8地区で実施した有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見を公開した。
公正取引委員会は、毎年度、全国の主要都市において、主要経済団体、消費者団体、弁護士会、学識経験者、報道関係者等の有識者と当委員会の委員等との懇談会を開催することで、各地域の実情や幅広い意見・要望を把握し、独占禁止法等の運用にいかしている。2025年度は、札幌、山形、長野、富山、福井、松江、高松、大分で開催した。
2026年1月1日から、取適法が施行されたこともあり、その直前に行われた懇談会では、中小事業者等の取引適正化に関する意見が多く上がった。
適切な価格転嫁の実現に向けた取組では、価格転嫁の問題については、「取引先が上場企業や大企業の場合は、コンプライアンス上の問題やレピュテーションリスクの問題から、割と話を聞いてくれるようになったと聞く。しかし、取引先が非上場企業や中小企業の場合、零細企業の経営者には、価格交渉を求めると契約が一発で切られてしまわないかという危機感が常にあるため、労務費転嫁指針は知っていてもなかなか交渉ができないとのことであった」(札幌地区)。
また、「地方の小規模事業者においても価格転嫁できるような仕組みについては、やはりサプライチェーン全体での慣習づくりが重要なのではないかという声が非常によく聞かれる。サプライチェーンの中で頂点に位置するメーカー等が、末端に位置する企業までの適切な価格転嫁を管理する仕組みが必要である。公正取引委員会の指導の中でも、各業界におけるサプライチェーンとしての価格転嫁の必要性を提示していただいているので、こうした取組を更に強化していただきたい」(山形地区)との声があった。
さらに、「中小企業が受注者の立場になる価格転嫁について、価格転嫁が上手く進んでいると答える中小企業の割合が半分を超えている感触はあるものの、発注者との長年の慣習又は惰性もあり、残り半分はなかなか進んでいないと聞いている。発注者においても賃上げの必要性は実感しているものの、賃上げの原資が不足していることも事実である。公正取引委員会が発表した労務費転嫁指針を会員に対し、きめ細やかに周知するとともに、価格転嫁が進みつつある現在を好機として価格交渉に臨んでいく姿勢が重要だと考えている」(長野地区)との意見もあった。
そのほか、「小規模事業者の価格転嫁に課題がある。大規模事業者同士であれば、人件費の高騰分をすんなり要求し、受け入れてもらえるところ、小規模事業者の中には原価計算をしていないところがある。原価計算をしていないと、人件費の具体的な上昇分が把握できず、価格転嫁の交渉ができない」(松江地区)という声や「トラック運送業者のほとんどは小規模運送業者であり、独占禁止法等違反被疑行為があったとしても、荷主から取引を切られてしまうことを恐れて、公正取引委員会に相談することは難しい。公正取引委員会の方から積極的に動いて、荷主に対する調査を行ってほしい」(高松地区)との要望もあった。
また、「価格転嫁に関する課題や改善強化を求める点として、行政が介入することで事業者間の信頼関係に支障が出ることへの懸念、年間契約における期中の価格見直しが困難との意見が寄せられた。また、トラックの荷待ち・荷積みの問題に係る荷主側への監視強化、中小企業が報復を恐れずに相談できる体制の確保を求める声もあった」(大分地区)。
地域経済の実情と競争政策上の課題については、「ガソリンスタンドの経営者から、人口減少や高齢化によるガソリンの需要過疎地域における持続的な経営が困難な実態を深刻に懸念する声があることは事実であるが、縮小傾向にある多くの産業において、環境変化に適応した業態転換や、価格・品質・サービス面での競争が消費者余剰の増加につながる」(長野地区)といった声もあがった。
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