改正物流法/スーパーマーケット業界3団体「特定事業者」指定に向け、周知・啓発活動本格化
2026年03月26日 17:30 / 経営
物流効率化法による「特定事業者」の指定が、4月1日から施行されることに伴い、スーパーマーケット業界の3団体がそれぞれ、会員企業に向けて、周知・啓発活動を本格化させている。
日本スーパーマーケット協会は、会員企業が中心的な役割を担っている「SM物流研究会」や協会内に設置している「物流システム委員会」で、経済産業省、農林水産省、国土交通省などとの意見交換や会員向けの法制度の説明会などを開催している。
2024年12月~2025年1月に実施された、物流効率化法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令・告示の制定の意見募集には、協会として意見を提出した。
また、年度の取扱貨物の重量が9万トン以上(予定)である場合に、特定荷主として指定されるが、取扱貨物の重量を正確に把握することが難しい実情を、経済産業省に伝え、1月30日に公開された「貨物重量算定フォーマット(小売業界向け)」の策定を促した。
公正取引委員会が現在、意見募集を行っている独占禁止法の「物流特殊指定」改正案についても意見を提出し、SM研究会として公聴会へ参加する予定だ。
協会では、「2024年問題の前から、様々な物流に関する勉強会、セミナーを開催し、関係する各省庁とも情報交換をしてきた。今後も、引き続き法改正の動向を注目し、持続可能な物流の維持に向けて、活動をつづけていく」という。
オール日本スーパーマーケット協会は、会員企企業60社のうち約25%程度が、特定荷主に該当する可能性があると試算している。現在、経済産業省が公開している「貨物重量算定フォーマット(小売業界向け)」を活用して、自社が特定荷主に該当するのかをセルフチェックするように会員企業に呼びかけを行っている。
また、持続可能な物流の実現に向けた製・配・販の取り組みである、FSP(フードサプライチェーン・サステナビリティプロジェクト)会議に、全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会とともに参加し、法改正や商品情報連携などの情報共有を進めている。
協会では、「今回の法改正は、特定荷主に該当しない企業には、関係ない問題ではない。根本的に持続可能な物流が維持できるかが課題となっている。従来の商慣習が通用しない状況が、現実に迫っており、特定荷主に該当しない会員企業についても、運送事業者から選ばれる小売業として、しっかりと荷待ちや荷役作業の課題に取り組む必要があることを啓発している」という。
全国スーパーマーケット協会では、2024年、2025年と「CLO養成講座」を実施した。特定荷主事業者には、物流統括管理者(CLO)の選任や物流改善に向けた中長期計画の提出が求められることに対応した講座となる。
これまでは、経営者層を対象にCLOになる人材育成を目指し、約1年をかけて、ロジスティクス戦略、商品カテゴリー別の特性、プロセスセンター、配送業務、物流センターの運営方法、店舗、総合施策、物流可視化、物流費算定方法などを全10回の講義で解説してきた。
2026年からは、「食品小売ロジスティクス改善講座」を開催する。CLO候補者となる経営者層だけでなく、「物流部」「商品部」「店舗運営部・営業部」「CLO」といった部門別に実務担当者が、全10回の講義に個別に参加できる体制に変更。1人の受講者が1年間講義を受講するのではなく、各部の複数の受講者が1回完結の講義を受講する形式とすることで、現場担当者レベルへの物流課題の周知と改善策の浸透を図る計画だ。
そのほか、全国スーパーマーケット協会が主催する「スーパーマーケット・トレードショー2026」では、会員企業の西鉄ストア、経済産業省の物流企画室係長、Hacobu執行役員CSO、物流革命社長らによるパネルディスカッションを開催。「食品小売物流最前線~新物効法施行で見えた実態と展望~」をテーマに、現場の実態や新法施行に向けた課題などについて積極的な議論を行った。
協会では、「深刻な人手不足や担い手不足に起因する物流危機は、単に法令を守れば良い課題ではない。持続可能な物流があることで、はじめて店舗に商品が運ばれる。日々の事業が運送事業者の協力によって成り立っており、特定荷主に該当しない企業も積極的な対応が求められていることを、会員企業に周知していく」という。
なお、全国スーパーマーケット協会も、オール日本スーパーマーケット協会と同様に、経済産業省が公開した「貨物重量算定フォーマット(小売業界向け)」を活用し、会員企業が特定荷主に該当するかをセルフチェックするように呼び掛けを行っている。
国土交通省が2025年12月23日に発表した「違反原因行為に係る実態調査の結果」(概要)によると、違反原因行為を行っている疑いのある荷主として、着荷主は20%を占めた。また、利用運送事業者を含む元請運送事業者も26%となった。
違反原因行為の割合は、「長時間の荷待ち」37%、「運賃・料金の不当な据置き」25%、「契約にない付帯業務」21%、「異常気象時の運送依頼」7%、「無理な運送依頼等」6%、「過積載運送の指示・容認」4%だった。
違反原因行為ありの回答における輸送品目では、「食品・食料品」が22%と最多となった。「日用品」11%」、「飲料品」11%、「農産品」6%、「水産品」2%となっており、食品スーパーマーケットで取り扱う品目だけで、52%を占めた。
違反原因行為を行っている疑いのある荷主の中の元請運送事業者は、多重下請構造の中で、受託運送事業者の運賃交渉を行っていない事例もある。
また、公正取引委員会が行った「運送事業者間の取引における下請法違反被疑事件の集中調査」によると、運賃交渉を行っていない理由として、元請事業者自体が荷主との運賃交渉ができていないことがある。さらに、発荷主が着荷主との運賃や商品原価交渉ができていないという運賃交渉における負の連鎖も指摘されている。
政府は、中小企業等を含め持続的、構造的な賃上げを実現する方針を掲げており、物流全体の中で大きなウエイトを占める食品関連産業に対しても、本格的な商慣習の見直しを求めている。
■違反原因行為に係る実態調査の結果(概要)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001974518.pdf
■運送事業者間の取引における下請法違反被疑事件の集中調査の結果
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/dec/251223_unso_tyousa.html
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