西濃運輸、福山通運、名鉄NX運輸、トナミ運輸/ドライバー交替方式の実証運行で課題を検証
2026年04月03日 14:49 / 経営
長距離ドライバーの労働時間規制への対応と中期的な担い手確保による輸送網の維持の解決策として、中継輸送が注目されている。
その課題検証に向けて、物流コンソーシアムbaton(バトン)は、2026年1月30日から31日、2月6日から7日にかけ、関東・関西間の幹線特積輸送において、ドライバー交替方式による企業横断型中継輸送の実証運行を実施した。
実証運行にはbaton参画企業より、西濃運輸、福山通運、名鉄NX運輸、トナミ運輸の4社が参加。関東と関西、約500km離れた拠点からそれぞれ出発したトラックが、静岡県浜松市に仮設した中継拠点で合流、ドライバーが互いの車両を乗り換えて、それぞれの出発地へ戻った。
第1班として1月30日~31日に西濃運輸と福山通運が、西濃運輸の浜松支店でドライバー交代を実施、第2班として2月6日~7日に名鉄NX運輸とトナミ運輸が、名鉄NX運輸の浜松ハブターミナルでドライバー交替を実施した。
通常、他社のトラックの位置はわからないが、今回は共通の動態管理プラットフォームとして「Traevo」を導入し、運行管理者が必要に応じて双方の車両位置や運行状況を確認できる環境を整備。また、事故や車両故障等のトラブル発生時に備え、連絡系統を定めた「想定事象シート」を作成し、自社運行管理者と車両保有会社の双方へ適切に情報共有が行われるよう、エスカレーションフローを統一した。
さらに、各社の点検項目を統一し、中継拠点においても確実な確認ができるよう、各社既存のチェック項目をベースに国交省の標準フォーマットも参考にしたチェックリストを整備。車両外装や装備品の点検手順を明確化したという。
実証の結果、長距離運行におけるドライバーの拘束時間(宿泊先での待機時間含む)のサイクルが短縮でき、日帰り勤務が可能であることを確認。また、異なる企業間であっても、事前のルール統一とシステム活用により、安全な車両交換と運行管理が可能であることが確認できたとしている。
一方、参加各社の運行管理者およびドライバーからは、いくつかの課題が抽出されている。
まず、最大の課題となるのが「荷役作業の会社ごとの差」。フォークリフト前提の有無、パレット中心かバラ中心か、荷崩れリスクを踏まえた積付手順や荷扱いルールなど、現場の前提が揃っていない状態では、ドライバー交替後に他社の荷役を担うことが難しい。このため、荷役手順・荷姿・設備条件を標準化し、各社ドライバーが相互に荷役を担える状態とし、併せて、標準化が難しい領域では荷役と配送を分離させた運用設計が求められる。
車両については、荷台床面の高さ(低床・高床)や軸配置の違いが課題となる。車両特性の違いは取り回し・死角・切り返し感覚に直結し、構内操作やドッキング時のヒヤリハットを増やす要因ともなる。そのため、特に床面高さ・軸配置など「運転感覚に直結する差分」を中心に基準化する必要があり、同時にこの車両はどこが違うかを短時間で把握できる差分情報の提示形式を標準化し、さらに構内・拠点作業まで含めて事故につながりやすいポイントを織り込んだ注意事項の型を整備する必要がある。
また、バース(ホーム)の高さや接車条件など、拠点側の物理条件も成立性を大きく左右するポイントとなる。これは、荷役のしやすさと安全性に直結し、構内導線・駐車配置・夜間運用の制約も含め、拠点ごとの差が運用難度を押し上げる。そこで、共同利用・企業横断を前提に、影響の大きいバース高さ・接車条件を中心に互換の考え方を整理し、成立しない組合せは事前に排除できる設計が求められる。
この他、貨物情報(高価品の有無等)や点呼・勤怠を含む運行情報の企業間連携のフォーマットも必要となる。バトンでは、中継時に必ず発生する運行情報の連携と当日の情報交換方法を最小共通項として定義し、連絡・申し送り・例外時共有が確実に回る運用基盤を整えるとしている。
さらに、企業横断で連携する際、ドライバー評価や車両情報が各社内に閉じていると、適切な組合せ(人×車×拠点)が組みにくい。結果として、無理のある運用や過度な安全マージンが発生し、継続運用の阻害要因になり得る。そのため、企業横断連携の前提として、ドライバーと車両のケイパビリティを可視化し、何ができるか、どの条件なら安全にできるかを共有できる仕組みを整え、連携範囲や条件を柔軟に設計できる“できることに応じて組む”運用ルールを整備し、責任分界とリスクマネジメントの実効性を高めることが求められる。
バトンでは、今回の実証実験で得られたデータとフィードバックをもとに、中継輸送の社会実装に向けたガイドライン策定を進める。車両・機器の標準化や、ドライバーの新たな評価モデルの構築を含め、企業横断型中継輸送の本格展開を目指し、より長期的な業界全体の持続可能性向上に貢献していく。
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