愛知県トラック協会/4月上旬に軽油価格20~40円上昇、インタンク価格がSS価格と逆転も
2026年04月20日 17:55 / 経営
愛知県トラック協会は4月20日、「運送事業者における燃料供給・価格動向に関するアンケート調査」結果を発表した。アンケート調査は4月6日~12日、中東情勢危機に伴う燃料供給への影響を把握するために実施。698社から回答を得た。
同日開催した報道機関各社との「昨今の燃料価格高騰に関する意見交換会」で、青木均会長は「燃料価格が上昇するから、明日からトラックを動かさないということはできない。物流網の維持に向けた早急な対応が必要だ」と訴えた。
調査によると、一部の事業者では4月上旬時点で、2月末から軽油価格が1リッターあたり20円~40円上昇するなど、大幅な価格上昇に直面した。元々安価に調達していた事業者ほど上昇幅が大きく、最大で60円のコスト増となった。
<燃料価格の異常高騰と上昇幅>

出典:愛知県トラック協会発表資料(以下同じ)
また、運送事業者の営業所内での給油所にタンクローリーで一括購入する「インタンク」価格において、サービスステーション(SS・ガソリンスタンド)の価格を上回る状況が発生している。本来、配送コストを抑えられるはずのインタンク供給価格が、SS店頭価格を大きく上回る状況は異常事態といえる。この状況は特定の系列に限定されず、大手元売から主要な商社・特約店まで広範にわたって確認されている。
現場からは、「何のためのインタンクか分からない」「SSの方が安くなってしまっている」といった声が上がっており、これまでの燃料調達ルートの合理性が完全に崩壊している状況ともいえる。
インタンク価格の上昇を受けて、軽油の購入方法を変える事業者も発生している。2月末のインタンクの利用社は、279社から207社に減少した。一方で、後納カード(SS給油)は367社から418社に増加した。協会では、安価なインタンク調達が困難となり、SS給油を選択せざるを得ない事業者が急増していると分析している。
また、物理的な供給制限の実態を尋ねたところ、供給トラブルなし553社(構成比79.2%)だった。一方で、供給停止61社(8.7%)、供給制限(50%未満)45社(6.5%)、供給制限(50%超)39社(5.6%)となった。
大型トラックがSSで給油する場合は、大型トラックが入ることができる大型のSSを使う必要がある。そのため、わざわざ遠方のSSまでトラックを走らせて給油する事業者もあり、コスト増に加え「給油作業に伴う労働時間増加」という二重の負担が発生している。
供給トラブルは、軽油だけでなく関連資材に及んでいる。「エンジンオイル」について調査したところ、560社(81.5%)はトラブルなしと回答した。一方で、供給停止(代替手段なし)40社(5.8%)、その他の制限87社(12.7%)となった。全体の約18%が供給難に直面し、運行停止リスクが現実化している。
また、ディーゼル車から排出される窒素酸化物を浄化するために使用する尿素水(アドブルー)については、1リッターあたり10円~30円以上の大幅な値上げ通達が確認されている。具体的には、「25円の大幅値上げ通達」「5月に10円値上げ、6~7月にさらに30円の値上げの可能性」「30円以上の値上げ交渉、許容範囲を超過している」といった事例も見られた。今後、オイル交換不可やアドブルー枯渇による「事業継続困難」の懸念がある。
現在、愛知県トラック協会には、「非常時に乗じ、メーカーと需要家の間に入る商社や大手特約店が『過大な中間マージン』を取得、または価格を意図的につり上げているのではないかという不信感がある」「燃料は国家備蓄を元にしているため、適正マージン遵守や価格操作の是正を国や行政に求める」といった声が多数寄せられている。
さらに、急激なコスト増に対し、「運賃に全く反映されない」「燃料サーチャージができない」など、荷主からの転嫁拒絶の実態も浮き彫りになっている。企業努力で対応できる限界を既に超え、3.5%の企業がすでに運行停止状態にあり、残りの96.5%の中にも赤字転落や倒産を危惧する声があるという。
青木会長は、「現在の運送業界は、『燃料価格の異常な逆転現象』『関連資材の供給停止』『運賃転嫁の困難さ』といった三重苦に直面している。これは特定企業の経営努力で解決できる問題ではない。石油流通経路全体の構造的な歪みに起因する『業界全体の危機』であり、社会インフラである物流網の維持に向け、国・行政を含めた早急な対応が求められる」と運送業界の危機を訴えた。
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