厚生労働省/現場スキルと処遇を可視化「キャリアラダー」で清水長崎運輸の事例紹介

2026年05月19日 09:55 / 労務

厚生労働省は5月11日、「トラック運転手、倉庫スタッフのスキルと給与とキャリアラダーの事例集」を公開した。

キャリアラダーとは、職種や役割での能力や経験などを段階的に整理して、成長の過程を「はしご(ラダー)」のように可視化した仕組み。

運送業を含む人々の生活に密接に関係している分野(社会インフラに関連する分野)の労働力需要が高まっている一方で、社会インフラ関連職は他の職業と比べて賃金水準が相対的に低く、スキルや経験を積み重ねても、十分に賃金へ反映されにくい状況がある。

このため、今後は労働者が継続的にスキルを高め、それに応じて処遇が改善される仕組みを整えることが必要だ。具体的には、新たに身につけたスキルや経験を適切に評価し処遇に反映するキャリアラダーの構築を進めることが、人材の長期的な確保と育成において重要な要素となっている。

そこで、事例集では、運送業として、清水長崎運輸、A社、B社の3社、倉庫では、イーマックス・サプライ、C社・D社を紹介している。

清水長崎運送は、静岡県を本社を構え、450km未満の中短距離貨物運送、地場配送・ルート配送を担っている。トラック運転手として、90人を雇用している。

<清水長崎運送の取り組み>
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出典:トラック運転手、倉庫スタッフのスキルと給与とキャリアラダーの事例集

同社では、多能工化として運転手が幅広い貨物を取り扱えるように業務を経験させて、稼働率の向上とスキルアップを両立させているのが特長。

新人は入社後1年ほどで仕事を覚えて、入社後3年ほどで一人前となる。運転手のリーダーにあたるのが班長で、10年以上の経験者があたる。班長は8名ほどがおり、各班は3名から10名前後の運転手で構成されている。部署(各営業所や部門等のチーム)ごとに班があり、本社に限り4つの班がある。

運転手は部署間で異動することがある。多能工化を目指しており、運転手のスキルアップやキャリアアップ
を考えて、積極的にいろんな仕事を経験させる目的がある。

また異動は、退職や業務の拡大により欠員が生じた際や、運転手から車格の変更や他部署の業務を経験する希望があがった際に検討している。

運転手は入社時から中型自動車免許の保有が必須であり、それ以降は本人の希望や意欲、能力をみて大型車やけん引車の免許を取得するよう会社が費用を補助している。

バラ積み貨物や危険物などは、資格の保有状況や、本人の希望・意欲に応じて担当を決めている。人員の不足がなくとも、運転手が多能工化やスキルアップによって複数の業務に就くことができる状態を目指しているため、資格の取得は恒常的に勧めている。

仕事やスキルに対応する給与の仕組みとして、固定給と歩合給があり、歩合給については、輸送する貨物の売上単価や附帯作業の難易度によって歩合比率が異なる。重量物の手積み・手卸しを伴う附帯作業や危険物の輸送には、歩合給以外にも手当を支給している。さらに、担当以外の貨物輸送を月に一定の日数行うと、多能工手当として月額5000円を支給している。

上期・下期それぞれで人事考課があり、結果は固定給や賞与に反映される。安全、やる気、態度、安全性、スキル等の16項目を評価している。以前は取り扱う貨物の違いを評価基準に反映していたが、数年前からそれを歩合比率へ反映するようにし、評価はあくまでも個人の能力を対象とするようにした。

多能工化には10年以上前から注力している。これは、人手不足のほか、貨物ごとの業務量の繁閑に応じて配車できるよう調節する必要性に対応した施策という一面がある。

また、運転手の収入には歩合給を含むことで、幅広い仕事ができるようにして稼働率を上げて、会社と運転手の双方の収入を確保できるようにする考えもあった。

■トラック運転手、倉庫スタッフのスキルと給与とキャリアラダーの事例集
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001686624.pdf

厚生労働省/トラック運転手のキャリアに応じたスキルと賃金アップを示す「キャリアラダー」事例集発表

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