改正物流効率化法/「知らない・名前も聞いたことがない」35.9%、「内容を知っている」16.8%にとどまる
2026年06月05日 11:18 / 経営
帝国データバンクは5月28日、改正物流効率化法に関する企業の意識調査(2026年4月)結果を発表した。
調査によると、2026年4月1日に全面施行された改正物流効率化法の「内容を知っている」企業の割合は16.8%だった一方、「内容を知らない(名前も聞いたことがない)」企業は35.9%、「名前は聞いたことがあるが、制度の内容は知らない」企業は33.7%、合計で69.7%にのぼった。
物流停滞に対して重要と考える対策は「関係事業者間での連携の強化」が約4割で最も高くなり、物流量やタイミングの調整など運用面での対応も上位に並んだ。業界別では「運輸・倉庫」の認知割合が6割と高い一方、主要な荷主事業者では2割以下となったほか、重要と考える対策にも違いがみられた。
調査は4月16日~30日、全国2万3083社を対象に、4月1日に全面施行された「改正物流効率化法」に関するアンケート調査をインターネットで実施した。有効回答企業数は1万538社(回答率45.7%)だった。
「改正物流効率化法」が施行され、一定規模以上の特定事業者には中長期計画の作成や定期報告が義務付けられた。これに先立ち、2025年4月には、すべての荷主および物流事業者に対し、物流効率化に向けた取り組みが努力義務として課された。
改正物流効率化法の認知状況を尋ねたところ、「制度の内容を含めてよく知っている」は2.8%、「制度の内容を含めてある程度知っている」は14.0%となった。両者を合わせた「内容を知っている」企業は16.8%と、2割に満たない低水準にとどまった。一方で、「名前は聞いたことがあるが、制度の内容は知らない」は33.7%、「知らない(名前も聞いたことがない)」は35.9%となり、合計すると「内容を知らない」企業は69.7%と7割近くに達した。
企業からは、「改正物流効率化法は、当社にとって規制への対応ではなく、持続可能で効率的なサプライチェーン構築に資する取り組みと捉えている」(機械製造)や「法律の内容に対する理解を深めるとともに、自社で納品可能な体制や分納の仕組みづくりが必要」(出版・印刷)といった前向きな声が寄せられた。
一方で、「適正な運賃での取引が実現していないにもかかわらず、制度だけが先行している」や「現場の実態とかけ離れており、机上の空論に感じる」(ともに運輸・倉庫)といった、実務を担う運送事業者からの厳しい指摘もみられた。
規模別に「内容を知っている」割合をみると、取り扱う貨物量がより多い傾向にある「大企業」は23.9%と全体を7.1ポイント上回った。
業界別では、トラック運送など物流事業者が多くを占める「運輸・倉庫」が61.8%と突出して高かった。他方、原材料調達から出荷まで物流依存度の高い荷主側である「製造」(20.2%)のほか、「卸売」(18.7%)も全体を上回ったものの、いずれも2割前後にとどまった。
また、「小売」は9.2%と全体を下回り、主に着荷主として物流との接点が多いにもかかわらず、認知は低水準だった。荷主の間でも特に着荷主中心の業界で認知が進んでいない実態が浮き彫りとなった。企業からは、「初めて知ることだったので、今から自社で何ができるか検討したい」(繊維・繊維製品・服飾品小売)といった声が聞かれた。
働き方改革にともなう2024年問題やドライバー不足による物流停滞が懸念されるなか、重要と考える対策・取り組みについて尋ねたところ、「関係事業者間での連携の強化」が39.3%でトップとなった(複数回答、以下同)。「運輸・倉庫」「製造」「卸売」のいずれも4割に達しており、当事者にとって物流課題は自社単独では解決しにくいとの認識が広がっている。
次いで、混雑日時の回避、発送量・頻度の見直し、復荷など「配送・運行計画の最適化」(24.4%)や「リードタイム(発注から納品までの時間)の確保」(23.5%)といった物流量やタイミングを調整する運用面での対応が続いた。さらに、これらを支える手段としての側面を持つ自動化など「デジタル技術の活用による業務の効率化」(21.7%)も上位に位置した。
一方で、「物流に関する責任者の選任」(5.3%)といった組織体制の整備に加え、「輸送用器具(パレットなど)の活用による効率化」(7.3%)や、フォークリフト、バース、人員の適正配置などの「荷役作業が円滑に行える環境整備」(9.8%)といった現場における荷役作業の効率化に関する項目は、いずれも低水準にとどまった。
物流事業者である「運輸・倉庫」と、主要な荷主である「製造」「卸売」「小売」(以下、「荷主事業者」)を比較すると、「運輸・倉庫」では多くの項目において重要とする割合が相対的に高く、課題意識の高さが幅広い分野でみられた。なかでも、「運輸・倉庫」の割合が「荷主事業者」すべてを10ポイント以上上回ったのは、「繁忙期と閑散期の平準化」、「荷役作業が円滑に行える環境整備」、「社内教育体制の整備」だった。
一方で、「リードタイム(発注から納品までの時間)の確保」のみは「荷主事業者」を下回っており、物流事業者と荷主事業者との間で、重要と考える対策に違いがみられた。
企業からは、「ドライバー、物流事業者、荷主が相互に理解を深め、連絡や打ち合わせを綿密に行うことが重要」(建設)や、「発荷主と着荷主の取り決めが物流事業者に共有されないことで、事故や無理が生じている」(その他サービス)といった声が寄せられ、関係事業者間の連携の重要性が指摘された。
また、「着荷主が午前中のみの受け入れとするなどの課題があり、改善が必要」(食料品卸売)や、「発送量・納入量の適正化や適切なリードタイムの確保が求められる」、「発荷主・着荷主の意識改革が必要」(ともに運輸・倉庫)との声が聞かれ、荷主側の改善を求める声も複数聞かれた。
さらに、「運送料金を引き上げ、従業員の賃金改善につなげる」や、「物流現場の実態を踏まえ、積極的に労働ができる環境づくりに向けた法整備を進めるべき」(ともに運輸・倉庫)といった指摘もみられ、ドライバー確保や労働環境の改善に向けた取り組みの重要性もあげられた。
改正物流効率化法では、一定規模以上の貨物輸送量や車両数を有する企業に対して義務が課される一方で、それ以外の企業は努力義務にとどまっている。そのため、回答企業の85%が中小企業である今回の調査では、法改正に対する認知が十分に進んでいない結果になったと考えられる。
しかし、2030年には国内で輸送される9億トン超の荷物が運べなくなるとされる、いわゆる「物流の2030年問題」が懸念されている。このような事態を回避するためには、企業規模を問わず、物流に関わるすべての企業が対応を進めることが不可欠である。さらに、こうした取り組みは企業にとっても、配送コストの削減やサービス品質の向上といった効果が期待される。
今後は、デジタル技術の活用による自動化・効率化に加え、物流事業者におけるドライバー確保に向けて賃上げ原資を確保するための価格転嫁を進めやすい環境整備の強化など、多岐にわたる取り組みが重要である。また、物流事業者と荷主の連携強化とともに、消費者側でも配送に関する買い物習慣の見直しといった意識改革も求められる。
■改正物流効率化法に関する企業の意識調査(2026年4月)
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260528-logisticslaw/
トラックニュースはトラックに関するB2B専門の
ニュースを平日毎朝メール配信しています
最新ニュース
一覧- 国土交通省/「適正原価の設定に向けた有識者検討会」開催、年内に提言を取りまとめ (07月17日)
- トラック適正化二法/適正原価は運送事業者に課される義務「ダンピング事業者の退出」促進 (07月17日)
- トラック最前線/日野が描く大型商用車の未来 ― 新セレガから見えた安全思想と大型トラックとの共通哲学 (07月17日)
- 三菱ふそう/国内全製造拠点でカーボンニュートラルを達成、持続可能な生産活動を推進 (07月17日)
- 日野自動車/日野市と包括連携協定を締結、共創による活動推進で地域課題の解決目指す (07月17日)
- アイリスオーヤマ、T2/自動運転トラック×貨物鉄道「モーダルコンビネーション」の定期運行視野に連携 (07月17日)
- TRC、三菱地所、NANKAI/自動運転トラックを活用した物流施設間連携の共同検討に着手 (07月17日)
- 猛暑・酷暑調査/約9割の企業が対策実施、「水分・塩分補給品の支給」が最多 (07月17日)
- 2030年問題/「運転」と「荷役」の切り替えを業界標準作業へ「にやっぷ普及委員会」発足 (07月17日)
- 新東名/7月25日夜、新富士IC~駿河湾沼津スマートIC(上り線)を通行止め (07月17日)
- 中国道/8月17日夜~29日朝まで、深谷PA(下り線)を夜間閉鎖 (07月17日)
- 国道23号 竜宮高架橋/7月21日5時頃、下り線(伊勢方面)の通行止めを解除予定 (07月17日)
- 国道55号日和佐道路/7月27日~8月1日、夜間全面通行止め (07月17日)
- アイチコーポレーション/「エルフ」「デュトロ」198台をリコール、積載物落下のおそれ (07月17日)
- 日野自動車/大型トラック「プロフィア」を一部改良、安全運転支援と運転負荷軽減機能を充実 (07月16日)
- 財務省/片山大臣「走行距離課税は検討していない」と明言 (07月16日)
- 全日本トラック協会/トラック議員連盟に「高速道路料金引き下げ、自転車の歩道通行」要望 (07月16日)
- 経済産業省/民間備蓄義務量の15日分の引き下げ「当分の間」維持 (07月16日)
- Hacobu/納品場所や現場ルールを共有する「配送先カルテ機能」をムーボ・フリートに追加 (07月16日)
- クロスマイル/ロジポケにパスキー認証機能追加、パスワード漏洩・フィッシング攻撃を防止 (07月16日)



