国土交通省/エンジンオイル不足による事業停止事例なし、相談には個別対応

2026年06月23日 11:10 / 車両・用品

国土交通省自動車整備課は6月23日、「現時点で、エンジンオイル不足により運行を停止したトラック運送事業者や整備が行えない整備事業者は発生していない」との認識を示した。トラックニュースの取材に回答した。

自動車整備課によると、「6月10日から開始している潤滑油における直接販売スキームについては、現時点では、トラック運送事業者では活用事例はない。トラック運送事業者・整備事業者ともに、相談窓口に寄せられている個別事例ごとの対応を堅持している。具体的には、エンジンオイルについて課題を抱える事業者が利用している供給ルートを川下から川中、川上とたどり調査を進め、既存の供給ルートでの供給が難しい場合に、直接販売スキームによるエンジンオイルの調達を案内する対応となっている」という。

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潤滑油の直接販売スキーム(出典:経済産業省発表資料)

資源エネルギー庁が発表する資源・エネルギー統計(確報・製品月表)によると、3月のディーゼルエンジン用潤滑油の消費者・販売業者向け販売数量は、2万3646キロリットル(前年同月比37.7%増)・在庫は9702キロリットル(25.5%減)となった。4月のディーゼルエンジン用潤滑油の消費者・販売業者向け販売数量は、1万5411キロリットル(前年同月比2.7%減)・在庫は1万289キロリットル(21.6%減)だった。

これは、3月にエンジンオイルの値上げが通知が始まったことと中東情勢による供給不安が始まり、3月時点で過剰発注が発生したことに元売り各社が対応したことが表れている。元売り各社は、3月は大幅な過剰発注に対して、増産と在庫の切り崩しで対応したことが伺える。

一方で、4月は流通各段階へ通常よりも多くのエンジンオイルが供給されたことによる生産調整のフェーズに移行し、増産ではなく、在庫調整で市場に変化に対応したことが伺える。国土交通省・経済産業省の調査でも、4月に一時的な潤滑油の元売りによる受注制限があったことが確認されている。

トラックニュースの取材では、6月22日時点でも一部の卸段階で、DH-2規格のディーゼルエンジン用オイルについては、主要メーカーの商品は通常の受注ができず、スポット的に限られた数量のエンジンオイルのみ受注できる状況が続いている。ただ、資源エネルギー庁の統計から見ても、ディーゼルエンジン用オイルが大幅な減産になっていることは考えにくい。

エンジオイルの流通に携わる関係者によると、「現在、行われているエンジンオイル受注再開の情報が、流通各段階へ伝わっていない可能性がある。市場に供給不安がある時に、市場に対して元売り等が受注再開という情報を流すと、受注を再開した元売りや事業者に発注が殺到する。その結果、大幅な過剰発注に対応できず、すぐに受注停止となる。受注停止を避けるためには、大口の取引先など得意先ごとに、直接、相対で受注再開の情報を伝えることになる。受注再開について、書面やホームページで発表することが難しい状況の中で、得意先にしか情報が伝わらない状況が生まれる。そのため、得意先リストから外れている事業者には、受注再開の通知もなく、結果的に発注できない状況が続く」と供給の目詰まりの原因を説明する。

また、別の関係者によると、「普段から価格変動に左右されず、一定数量を定期的に購入するトラック運送事業者には、エンジンオイルの今後の供給時期・供給数量といった情報が届いている。一方で、常に最安値にこだわり、スポット購入でエンジンオイルを購入している事業者には、エンジンオイルの供給見通しについての情報が届いていない」といった声もある。

メーカーから末端の小売に至る各段階で、得意先を優先する姿勢については、6月9日の閣議後記者会見で、赤澤亮正経済産業大臣も説明している。現時点で、供給の目詰まりを解消する特効薬は存在しない。エンジンオイルに限らず、事業継続に必要な消耗品を含めた物資について、普段から目先の価格だけにとらわれない取引をしてきたのか?流通各段階で取引先とのこれまでの信頼関係が問われる状況が生まれている。

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