エンジンオイル/6月から元売りの出荷量増加、最悪の状況からは回復傾向
2026年06月23日 15:26 / 車両・用品
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中東情勢により、トラック運送業界ではディーゼルエンジン用オイルの供給不安が生まれている。
今回、トラックニュースでは、創業100年を超える老舗オイルメーカーミカド商事の三宅社長が、オイルマニアブログに「エンジンオイル需給ひっ迫の現状と今後の見通し」を掲載したことを受け、最新のエンジンオイルの需給状況を聞いた。
※ミカド商事の主力商品は、自動車用、二輪車用の高級エンジンオイルのため、大型トラック用のDH-2規格の商品については、対応が難しい。そのため、DH-2規格のエンジンオイルの問い合わせは控えてほしいという。
――足元のエンジンオイルの需給状況を教えてください。
三宅 オイル製造量は前年以上ですが、発注が数倍まで急増しています。そのため、油種や地域によりオイル不足が発生しています。ただ、最悪の状況からは回復に向かっているのではと思われます。
統計からも分かりますが、市場全体では、前年並み以上の出荷は確保されています。6月からは石油元売りさんからのオイル出荷も増えてきているようです。個人的には最悪の状況から改善に向かうのではと予想しています。
――DH-2の状況はどうですか。
三宅 特に不足がひどいDH-2ですが、最近中国製オイルがかなり輸入されているような感じです。DH-2に使用できるということですが、日本規格に合格していないもので個人的には性能にかなり不安があります。
DH-2は日本だけの規格のため、海外オイルでこの規格に合格しているものは少ないので注意が必要です。特にDPF※への影響や清浄性の不足で、トラブルが起きる不安があります。
※DPFとはDiesel Particulate Filter(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の略で、ディーゼルエンジンの排出ガスに含まれるPM(スス/粒子状物質)を物理的に捕集する装置のこと。地球温暖化対策や都市部の大気汚染防止の一環として、多くの国でDPFの装着が義務化されており、トラックの運行に欠かせない存在となっている(出典:UD TRUCKSホームページ)。
――DH-2の製造状況は今後も安定するのでしょうか。
三宅 基本的に前年並みの供給が続くことに変わりはないと思います。ただ、中東情勢の悪化により、原料となるベースオイルは価格が上昇しています。
2026年1月を100として、ベースオイルの価格上昇率を捉えると、この半年ほどの間に、ベースオイル価格は約50%〜90%の上昇が続いています。さらに、添加剤や容器類も複数回の値上げが行われています。
――ベースオイルの価格上昇は急激に進んでいるのですか?
三宅 通常、ベースオイルの価格改定は、3か月ごとが一般的なサイクルです。しかし、現在は、毎月、価格改定があり、じわじわと価格が上昇しています。さらに、いまは原料価格に、サーチャージもかかります。製造原価が毎月のように上昇し、企業努力だけでは吸収しきれない状況にあり、弊社でも7月以降、価格改定をお願いしています。
――添加剤の値上げも進んでいるのですね。
三宅 DH-2の製造に必要な添加剤は、一部、国産のものもありますが、ほとんどが輸入品です。DH-2は、日本国内独自のガラパゴス規格のため、DH-2用の添加剤は、グローバル市場で見ると、非常にニッチな商材です。
中東情勢による石油製品への影響は、世界規模で発生しています。当然、DH-2用の添加剤を製造するメーカーにも影響を及ぼしています。世界規模で石油製品に供給不安がある中で、ニッチな商材であるDH-2を製造するために必要な添加剤の製造は、後回しにされる傾向があり、それが値上げにつながっています。
――今後のDH-2の価格見通しはどうですか。
三宅 すでに、流通各段階に案内されているように、石油元売り各社が販売する商品については、4月~6月にかけて、価格改定が実施されています。
ベースオイルの価格上昇とエンジンオイルの製品価格の上昇には、タイムラグが生じます。そのため、第3四半期、第4四半期とも価格は上昇すると思われます。ただ、年内は大幅な価格改定はないと見ています。
ベースオイルは、グループ1・2・3の分類があり、DH-2はグループ1を使用しているため、急激な価格上昇はないでしょう。一方で、高品質なグループ3は、世界的に品薄状態が続いているため、グループ3を使用するオイルは、10月以降に1リッターあたり、100円を超える大幅改定があると思われます。
――DH-2の代替商品はありますか。
三宅 一つは、さきほども説明した中国からの輸入品があります。ただ、こちらは、日本規格とは違う規格で製造されているオイルなので、DPFが通常よりも早く詰まってしまうなどの不安はあります。実際に使ってみないと、どんな影響があるかは分からないでしょう。
もう一つは、CK-4※規格の高性能環境対応型ディーゼルエンジンオイルがあります。こちらは、名前のとおり、高品質な商品のため、価格は、DH-2の2倍程度になってしまいます。ただ、CK-4は、世界標準のディーゼルエンジンオイル規格であり、エンジンを長持ちさせ、結果的にトラックの運行距離を延ばせる利点があります。個人的には、世界標準規格であり、エンジンに良い、CK-4が普及すれば良いとは思います。
※CK-4は、ポスト新長期規制適応車に対応しており、DPFなどのPM粒子減少装置や尿素SCRなどのNOx低減装置の性能を維持しながら、高い清浄性・耐摩耗性を有する環境対応型高性能ディーゼルエンジンオイル(出典:出光興産潤滑油製品資料)。
――エンジンオイルの目詰まり解消に必要なことはなんでしょうか?
三宅 市場は混乱していますが、国内メーカーは安定供給に向けて最大限努力しています。必要な数量を適切にご注文いただければ、順次お届けできる体制は維持されています。
ガソリンや軽油が問題なくどこでも買えるということは、オイルも充分あるということです。皆様の適正発注へのご協力をよろしくお願いいたします。
■オイルマニアブログ
https://www.mikadooil.com/blog/
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