公正取引委員会/荷主779名に注意喚起文書・105名に立入調査「2025年度荷主と物流事業者との取引調査」

2026年06月25日 15:30 / 経営

公正取引委員会は6月25日、2025年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果を発表した。

今年度は、新たな施策として、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行わないための荷主による取り組みを新たに紹介している。

現在、公正取引委員会は、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、独占禁止法に基づき「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」(物流特殊指定)を指定し、その遵守状況と荷主と物流事業者との取引状況を把握するため、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を2003年から、継続的に行っている。

調査の結果を踏まえ、2025年度は、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主779名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。注意喚起文書は、禁止行為を行っている事業者に対して送付している。注意喚起文書を送付した荷主の上位業種は、「建築材料、鉱物・金属材料等卸売業」58名、「食料品製造業」57名、「飲食料品卸売業」50名、「共同組合」50名となった。

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※注1:業種名は、日本標準産業分類による。割合は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、内訳と合計とは必ずしも一致しない。

また、独占禁止法上の問題につながるおそれがある行為を行為類型別にみると、「不当な給付内容の変更及びやり直し」406件(うち、荷待ちに関するもの279件)、「代金の支払遅延」240件、「買いたたき」160件の順に多かった。

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行為類型別内訳(出典:公正取引委員会発表資料)

※注2:複数の行為類型で注意喚起文書の送付を受けた荷主が存在するため、合計の件数は、荷主数779名とは一致しない。注3:同一の荷主が、荷待ちとともに、荷待ち以外の不当な給付内容(積載数量、発着地、集貨日等)の変更及びやり直しに該当している場合がある。

■問題につながるおそれのある行為類型別事例
・不当な給付内容の変更及びやり直しの事例
「荷主は、繁忙期に物流事業者に自社倉庫で荷物を引き渡す際に、物流事業者との間で取り決めていた時刻までに出荷の準備が間に合わず、荷待ちをさせたものの、荷待ちにより生じる追加費用の算定方法をあらかじめ定めておらず、物流事業者からも追加費用を請求されなかったため、荷待ちにより物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった」【食料品製造業】。

「荷主は、自社倉庫から出荷する商品を物流事業者に引き渡す際に、荷主の事務手続の遅れにより、物流事業者のトラックが到着してから出荷日の変更や取消しを行ったが、物流事業者からの請求が無かったことから、出荷日の変更等により物流事業者に生じた人件費等の追加費用を支払っていなかった」【飲食料品卸売業】など、4件の事例を紹介した。

・代金の支払遅延
「荷主は、物流事業者に支払う運賃について、自社の都合により、あらかじめ定めていた支払期日に支払わず、数か月に分けて支払った」【金属製品製造業】。

「荷主は、物流事業者に支払う運賃について、自社の営業所から本社事務センターへの手続が漏れていたことを理由に、あらかじめ定めていた支払期日を過ぎて支払った」【建築材料、鉱物・金属材料等卸売業】の2件をあげた。

・買いたたき
「荷主は、労務費等のコスト上昇局面にあることを認識していたことから、物流事業者から運賃引上げの要請があれば協議に応じるつもりであったが、要請が無かったため、協議の場を設けることなく運賃を据え置いていた」【プラスチック製品製造業】。

「荷主は、前年度に物流事業者の要請に応じて運賃の引上げを行い、その後も労務費等のコスト上昇局面にあることを認識しながら、直近の1年間において当該物流事業者からの運賃の引上げ要請が無かったため、協議の場を設けることなく運賃を据え置いていた」【建築材料、鉱物・金属材料等卸売業】の2件を例示した。

・不当な経済上の利益の提供要請
「荷主は、物流事業者に対し、運賃に荷積み作業に係る対価が含まれていることを明示していないものの、運賃には荷積み作業に係る対価も含まれていると考え、実際に物流事業者が行った荷積み作業に対する費用を支払っていなかった」【金属製品製造業】。

「荷主は、物流事業者に対し、海外から調達した商品の自社の事業拠点までの運送業務を委託しているところ、当該運送業務に附帯する輸入通関業務について、税関への関税・消費税の納付を物流事業者に立て替えさせていた」【繊維工業】の2件を紹介している。

そのほか、調査の結果を踏まえ、禁止行為を行った経緯などを確認するため、荷主105名に対する立入調査を実施した。

■荷主による取組(好事例紹介)
・不当な給付内容の変更及びやり直し(荷待ち)
「荷主は、数年前から、物流事業者に対し、運送の前日に緻密な配車表を作成して提示し、当該配車計画で問題がないかを確認してから翌日の配車を確定することとしており、事後の検証を繰り返して配車計画の精度を高めてきたことで、現在では、荷造りの遅れや出荷場所の混雑といった荷主に起因する事由による荷待ちの発生をほとんど無くした」【非鉄金属製造業】。

「荷主は、物流事業者との間で、事前に電話や電子メールで集荷に来る時間を調整し、工場で製品を引き渡す際に荷待ちが生じないよう、出荷準備を整えることとしており、また、引渡しが遅れそうな場合には、必ず事前に集荷時間を連絡し、かつ、それに伴う追加費用の全額を支払うようにしている」【建築材料、鉱物・金属材料等卸売業】。

「荷主は、物流事業者の荷待ちが生じないように取り組んでいるものの、例年、繁忙期には荷待ちが生じてしまうため、荷待ちにより追加費用が生じた場合には、物流事業者の請求に基づきその全額を負担することとしている。また、日頃から物流事業者に対し、追加費用が生じた場合には必ず荷主に請求するよう周知している」【食料品製造業】。

・買いたたき
「荷主は、物流事業者との間で、1年に2回程度、運賃に係る定期的な協議の場を設けている。また、当該協議の場以外に、物流事業者からコスト上昇を理由とした運賃の引上げ要請があった場合には、都度、協議に応じている」【電子部品・デバイス・電子回路製造業】。

「荷主は、労務費転嫁指針の考え方に基づき、物流事業者に対し、積極的に価格協議の呼び掛けを行い、物流事業者から協議を持ちかけられた際には応じることとしている」【化学工業】。

今後、今回の調査結果について、関係省庁・関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取り組みを進める。また、優越的地位濫用事件タスクフォースを中心に審査局において、優越的地位の濫用事案には事件審査を行って厳正に対処する。

1月1日から施行された取適法では、適用対象取引に「特定運送委託」を追加し、事業所管省庁に指導・助言の権限を付与している。物流業界の取引適正化を阻害する行為に対して取適法・貨物自動車運送事業法を活用してシームレスに対応するために、公正取引委員会・中小企業庁・国土交通省で連絡会議を定期的に開催しており、今後も一層の執行連携に取り組む。

加えて、2027年4月1日の改正物流特殊指定施行により、新たに規制対象となる、着荷主が物流事業者を通じて発荷主に契約外の荷待ち等を行わせる行為の未然防止のため周知広報を行う計画だ。

2025年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果等について

改正物流特殊指定/着荷主規制導入「特定着荷主」「特定発荷主」の定義新設

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