公正取引委員会、中小企業庁/2026年度「取適法定期調査」開始、中小受託事業者の利益保護を促進
2026年07月01日 13:40 / 経営
公正取引委員会は6月19日、中小企業庁は6月22日から、2026年度「取適法定期調査」の一環として、委託事業者向けに、「2026年度中小受託事業者との取引に関する調査」を開始した。
中小受託事業者の利益保護を図るため、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」を公正取引委員会、中小企業庁で協力して運用する一環。
下請法が2026年1月1日から取適法となったことを踏まえて、調査名称をこれまでの「下請事業者との取引に関する調査」から変更している。
すでに対象となる事業者には、公正取引委員会、中小企業庁のそれぞれから調査についての通知が行われている。回答期限は、公正取引委員会からの通知の場合は7月21日、中小企業庁のからの通知の場合は8月31日となっている。公正取引委員会は昨年より多い7万5000社、中小企業庁は例年並みの5万5000社、合計13万社に通知を行った。
2026年度は、調査票や回答用紙等の郵送は行わず、全てオンラインにより報告する。調査の内容は、公正取引委員会、中小企業庁ともの同じとなっている。調査対象となる事業者は、自社が取適法の適用を受ける委託事業者に該当するにもかかわらず報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、取適法の規定により50万円以下の罰金に処せられることがある。
秋を目途に、委託事業者から事業を委託される側の中小受託事業者に対して、「委託事業者との取引に関する調査(仮題):旧委託元との取引に関する調査」を実施。来年6月を目途に、2つの調査結果を踏まえて「2026年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」を発表する予定だ。
調査は、取適法の規定に基づき、受託取引の公正化を図ることを目的としている。そのため調査の結果、違反行為が疑われる場合は、公正取引委員会は、立入調査・ヒアリング・調査報告書の提出命令などを行い、違反行為の内容を認定する。調査等の結果を受けて、「指導」「勧告(社名公表)」を行う。
また、委託事業者の自発的な改善措置が中小受託事業者の受けた不利益の早期回復に資することに鑑み、公正取引委員会が調査に着手する前に、違反行為を自発的に申し出、かつ、中小受託事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置等、自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については、委託事業者の法令遵守を促す観点から、中小受託事業者の利益を保護するために必要な措置を採ることを勧告するまでの必要はないものとして取り扱っている。
一方で、中小企業庁では、調査の結果、違反行為のおそれのある事業者に対して、是正等を求める注意喚起文書を発出する。また、法律に基づく立入検査のほか、書面調査、招致調査等を実施。立入検査等の結果を踏まえて、改善指導のほか、公正取引委員会に対し、取適法の規定に従い適当な措置を採ることを求める措置請求を行っている。
2025年度の取適法違反行為に対する勧告等は39件、指導件数は8261件だった。また、委託事業者からの違反行為の自発的な申出は53件。同年度に処理した自発的な申出は49件となった。勧告等のうち、中小企業庁長官からの措置請求を受けて公正取引委員会が行った勧告件数は、9件だった。
委託事業者からの違反行為の自発的な申出により、2025年度においては、中小受託事業者1234名に対し、製造委託等代金の減額分の返還等、総額12億1019万円相当の原状回復が行われた。
上記を含めて、2025年度においては、中小受託事業者が被った不利益について、委託事業者177名から、中小受託事業者5165名に対し、製造委託等代金の減額分の返還等、総額25億5698万円相当の原状回復が行われている。
公正取引委員会の岩成博夫事務総長は、「取引法が対象とする委託取引については、委託事業者の取引法違反行為によって中小受託事業者が不利益を受けている場合があっても、その取引の性格から中小受託事業者からの自発的な情報提供が期待しにくい実態がある。そのため、公正取引委員会は、中小企業庁と協力し、委託事業者および、これらと取引している中小受託事業者を対象として定期的な調査を実施している。1月1日に取引法が施行されてから初めての定期調査として、今年度の委託事業者に対する取適法の定期調査を6月19日に開始した。今回の調査では、委託事業者7万5000社を対象とした。対象となった事業者には、封書にて調査概要を知らせる通知文書を送付した。調査対象となった事業者は、7月21日までにウェブ上で回答をお願いしたい。自社が取適法の委託事業者に該当するか否かについて確認する場合には、WEB上に簡易診断ツールを用意しているので、是非、活用してほしい。この定期調査については、中小企業庁でも同様の取り組みを行っている」と調査概要を説明した。
その上で、「定期調査は、取適法の違反行為の情報収集のために行う。ここで得た情報も踏まえつつ、調査を行い、違反があった場合には迅速かつ適切に対処する。また、このように公正取引委員会と中小企業庁が能動的に情報収集を行う以外にも、取適法に違反すると思われる行為を受けた個人事業者を含めた中小受託事業者は、公正取引委員会または中小企業庁に対して調査をするように求める申告を行うことができる。申告はオンラインでもでき、申告内容及び申告者の情報については、秘密を厳守するとともに、申告者の特定につながる情報が調査対象者に明らかとならないよう適切な措置を講じる。そのため、取適法に違反するのではないかという行為が見られた場合には、公正取引委員会のホームページを確認していただき、情報提供いただきたい」と情報提供を呼び掛けた。
■中小受託事業者との取引に関するオンライン調査
https://www.toritekichosa-itaku.go.jp/
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