2024年問題の実態/第2回なぜ「荷待ち・荷役・検品」の改善は足踏みするのか?商慣習の壁と経営陣の盲点
2026年07月09日 11:22 / 経営
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物流の持続可能性を担保するうえで、ドライバーの拘束時間短縮は必須の課題だ。2025年度から施行された改正物流効率化法では、荷待ち・荷役時間等の管理が努力義務化されたが、日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」よると、現場レベルの改善は膠着状態にある。特に荷主と物流事業者間で認識の乖離が続いており、商慣習に起因するボトルネックが浮き彫りとなった。
第2回は、現場の負担に直結する「荷待ち・荷役・検品時間」のリアルと、経営陣が直視すべき盲点について解説する。
■出発地・到着地での滞在時間は、約半数が「変わらない」で改善停滞
全体で見て、ドライバーの出発地(荷物を積んだ場所)での滞在時間はどう変化しましたかという質問では、全体で「変わらない」が52.5%と過半数を占め、物流効率化法の努力義務下における現場レベルの改善は停滞している。
実際、物流事業者の4.7%が「長くなっている」と回答している一方で、荷主企業では製造業2.0%、流通業0.0%と「長くなっている」という回答は少ない。また、前回調査との比較では、「長くなっている」が微増し、「変わらない」は増加、「短くなっている」が減少傾向にある。さらに、荷主企業と物流事業者の比較では、前回調査と比較し、荷主企業・物流事業者の双方で「短くなっている」の回答が減少し、「変わらない」という回答が過半数を占める結果となった。
全体で見て、営業用貨物自動車のドライバーの到着地(荷物を降ろした場所)での滞在時間を2024年度と比べてみると、全業種で「変わらない」が約5割前後(49.5%)を占めており、製造業においては「わからない」との回答が約3割(29.3%)に達した。
前回調査との比較では、「短くなっている」の割合が26.5%から24.1%へと減少し、「変わらない」が半数を占めている。加えて「わからない」という回答が23.7%に達した。
また、荷主企業と物流事業者の比較では、物流事業者は「短くなっている」の実感が26.0%から34.1%へと向上している。一方で、荷主企業は26.6%から20.1%へと下落している。さらに荷主企業の27.1%が「わからない」と回答している。
■「荷待ち時間」に潜む膠着状態と認識のギャップ
ドライバーの出発地(荷物を積んだ場所)での荷待ち時間を調べると、全体として「短くなっている(37.8%)」という改善の動きが見られた。一方で、過半数の51.5%が「変わらない」と回答しており、荷待ち時間の改善が一部足踏み状態にあることがうかがえた。
特に物流事業者の5.9%が「長くなっている」と回答しており、製造業1.3%、流通業0.0%の認識よりも運送現場での悪化の実感が強く、認識のずれがある。
ドライバーの到着地(荷物を降ろした場所)での荷待ち時間を尋ねたところ、全体で見て、到着地での荷待ち時間は全体では「変わらない」が約5割(49.5%)を占めた。また、製造業における「わからない」が29.3%と高い。
前回調査との比較では、「短くなっている」の割合が24.9%から26.1%へと微増し、「長くなっている」も3.7%から2.7%へと微減している。全体としてはわずかな改善傾向が見られるが、「変わらない(49.5%)」と「わからない(21.7%)」を合わせると約7割に達している。
また荷主企業と物流事業者の比較では、引き続き「変わらない」が約5割を占め、荷主企業の「わからない(25.2%)」も増加している。
■荷主が「わからない」と答える、到着地の荷役・検品時間の盲点
ドライバーの出発地(荷物を積んだ場所)での荷役時間を調べたところ、全業種で「変わらない」が6割以上(全体63.0%)に達しており、荷待ち時間以上に改善が停滞していることが窺える。物流事業者の4.3%が「長くなっている」と回答している一方、荷主側(製造業・流通業)が悪化を0%と認識しており、物流現場では人手不足や荷役作業負担の増大が、実作業時間の増加として表面化し始めている可能性がある。
前回調査との比較では、荷役時間が「短くなっている」という回答は25.4%から27.7%へと微増したものの、それ以上に「変わらない」が60.8%から63.0%へと増加し、6割を超える企業で膠着状態にある。
また荷主企業と物流事業者の比較では、物流事業者では「短くなっている」の実感が20.0%から34.8%へと大幅に向上している。一方で、荷主企業は改善の実感が27.3%から26.2%へと微減し、「変わらない」が64.9%に達している。荷待ち時間以上に荷役時間の削減が困難な状況が窺える。
ドライバーの到着地(荷物を降ろした場所)での荷役時間をみると、到着地での荷役時間は全体で56.2%が「変わらない」と回答しており、「短くなっている」の実感は20.4%に留まる。出発地の「短くなってる」27.7%を下回っている。製造業では30.0%が「わからない」と回答していることから、荷主企業が荷物を降ろす現場を把握できていない様子がうかがえた。
前回調査との比較では、「短くなっている」が25.4%から20.4%へ減少している。一方で「変わらない」が51.3%から56.2%へと増加している。これは出発地と比べても改善率が低い傾向にある。
また荷主企業と物流事業者の比較では、「短くなっている」の実感については、物流事業者は30.4%と前回並みを維持している一方、荷主企業は23.7%から18.2%へと低下している。さらに「わからない」と答えた荷主が約4分の1(24.8%)に達している。
さらに、ドライバーの到着地(荷物を降ろした場所)での検品時間を調査すると、全体で63.2%が「変わらない」と回答しており、「短くなっている」の実感はわずか12.7%に留まる。特に製造業では「短くなっている」が8.0%しかなく、さらに28.7%が「わからない」と回答している。検品時間においては全体で23.8%(製造業では28.7%)が実態を把握できていない。この「見えざる時間」の存在こそが、物流効率化を阻む要因となっている。
前回調査との比較では、「短くなっている」の割合が18.0%から12.7%へと低下し、「長くなっている」は微増している。さらに「わからない」という回答が14.8%から22.4%へ増加している。
また荷主企業と物流事業者の比較では、「短くなっている」の実感が、物流事業者で24.0%から18.8%に、荷主企業で15.8%から10.3%といずれも低下している。特に荷主企業の約4分の1(23.8%)が「わからない」と
回答している。
■現場改善を阻むボトルネックは「商慣習」と「着荷主側の経済合理性」
そのほか、物流効率化や法令遵守(改正物流効率化法、トラック新法、取適法)を推進する上で、自社の取り組みを阻む「最大の要因」を調査すると、27.1%が「商慣習や業務フローを変えることへの組織的な抵抗が強いため」、18.4%が「着荷主側の経済合理性が優先され、共同化や効率化が進まないため」、13.0%が「短期的な経済合理性を優先」と回答した。
経営者に求められるのは、物流効率化法の努力義務を形式的なものと捉えず、自社の「出発地・到着地でのリアルな滞在時間」を正確に把握することだ。
次回は、単独の努力では解決が難しい「積載率・ロードファクター」の推移と、共同配送の必要性について解説する。
■2024年問題の実態/第1回「運べている」に潜むリスク。データで迫る輸配送リソースの切迫度
https://www.trucknews.biz/article/s070834/
トラック最前線/中国運輸局・田中課長が語る「トラック・物流Gメン」その2『Gメン活動の最大の目的は、当事者の自主的改善』
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