2024年問題の実態/第3回積載効率「後退」の危機、データが示す積載効率の悪化

2026年07月10日 12:53 / 経営

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が発表した「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」から、2024年問題の実態を読み解く連載「2024問題の実態」第3回は、物流の持続可能性を確保するためのKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の一つであるロードファクター(積載効率)から、現場の課題を読み解く。

物流の持続可能性を確保するため、積載率(ロードファクター)の向上は不可欠だが、「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」によると、この指標は改善どころか「後退」の兆しを見せている。個社努力の限界が露呈する中、発着荷主と物流事業者が連携した取引条件の見直しや共同配送が不可避だ。今回、スポット依存の根本原因である「低積載」の動向を解説する。

※ロードファクター(積載効率)とは、輸送トンキロメートル/能力トンキロメートルで求める指標(出典:JILS作成『ロジスティクスコンセプト2030』)。トラックなどの実車率(全走行距離に占める、実際に荷物を積載して走行した距離の割合)と積載率(最大積載重量に占める、実際に積載した重量)の積で計算される指標。

■積載効率の改善は停滞、データが占める「後退」の兆し

調査によると、営業用貨物自動車の出発地(荷物を積んだ場所)でのロードファクターは、製造業・流通業で2割以上が「大きくなっている」と回答した。一方で、物流事業者では15.3%に留まり、約6割強(64.7%)が変わらない状況にある。

前回調査との比較では、「大きくなっている」との回答は微減し、逆に「小さくなっている」は微増している。過半数(56.2%)が「変わらない」と回答しており膠着状態にある。また、荷主企業と物流事業者の比較では、物流事業者の「大きくなっている(15.3%)」は改善傾向にあるものの、荷主(21.0%)との差がある。

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出発地(荷物を積んだ場所)でのロード ファクター見通し(出典:JILS調査)

また、営業用貨物自動車の到着地(荷物を降ろした場所)でのロードファクターは、「大きくなっている」の実感は全体で 13.7%に留まり、出発地よりも低い水準にある。流通業において「大きくなっている(22.0%)」と「小さくなっている(14.6%)」が共存している。

前回調査との比較では、「大きくなっている(13.7%)」と改善傾向にある一方で、「小さくなっている」も 10.7%へ増加。過半数の 54.9%が「変わらない」と回答している。

また荷主企業と物流事業者の比較では、物流事業者・荷主企業ともにロードファクターの改善は停滞しており、特に荷主企業では「小さくなっている」が 11.2%へ増加している。物流の持続性を維持するためには、個社単独の努力では難しく、着荷主を巻き込んだ納品要件の見直しや、発・着荷主・物流事業者の連携が求められる。

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到着地(荷物を降ろした場所)でのロードファクター業種比較(出典:JILS調査)

自社を出発する営業用貨物自動車の積載率(輸送重量/最大積載重量)を調べると、自ら積載要件を決められる荷主側で2割強の改善が見られる一方、受動的な立場にある物流事業者では15.3%に留まる。流通業では「小さくなっている(22.0%)」も突出している。

前回調査との比較では、「大きくなっている」は28.0%から21.7%へと減少している。一方で「小さくなっている」は8.5%から12.0%へと増加しており、積載率の改善において、発荷主・着荷主・物流事業者の連携体制が進んでいないことが窺える。

また荷主企業と物流事業者の比較では、物流事業者・荷主企業の双方で積載率が「大きくなっている」との回答が大幅に減少し、効率化はむしろ「後退」の兆しがある。

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出発する営業用貨物自動車の積載率業種比較(出典:JILS調査)

自社に到着する営業用貨物自動車の積載率(輸送重量/最大積載重量)を尋ねたところ、「大きくなっている」は全体で12.0%に留まり、出発時の21.7%を下回っている。流通業では「大きくなっている」が22.0%の一方で、「小さくなっている」が19.5%と他の業種に比べると高い傾向にある。

前回調査との比較では、「大きくなっている」の割合が15.3%から12.0%へと減少し、逆に「小さくなっている」は6.9%から10.0%へと増加している。着荷主も巻き込んだ荷主・物流事業者間の連携による需給バランス改善が求められる。

また荷主企業と物流事業者の比較では、「大きくなっている」の実感が、物流事業者(16.0%から10.6%)、荷主企業(15.1%から13.1%)共に低下している。対照的に「小さくなっている」も両者共に増加している。

荷主企業(特に製造業)の約4分の1が「わからない」と回答していることから、荷主企業にとって到着地の実態が見えていないという「盲点」が示されている。

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到着する営業用貨物自動車の積載率業種比較(出典:JILS調査)

ロードファクターと積載率に関して、出発地におけるロードファクターが「大きくなっている」と回答した事業者、積載率も「大きくなっている」と回答した事業者をクロス集計して分析したところ、出発地のロードファクターが「大きくなっている」と回答した事業者のうち81.0%(前回調査は約9割)の事業者が積載率も「大きくなっている」と回答している。

どちらも大きくなったと回答した47名のうち、72.4%(前回調査は約7割)は引き続き運べていると回答している。ロードファクターが物流の持続性を担保するうえで重要な指標となることを示している。

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出発地におけるロードファクターが「大きくなっている」と回答した事業者で、積載率も「大きくなっている」と回答した事業者と輸送実態のクロス集計(出典:JILS調査)

調査結果から、積載率の「後退」は、まだ表面化していない物が運べなくなる物流危機の明確なサインともいえる。

物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査

トラック最前線/中国運輸局・田中課長が語る「トラック・物流Gメン」その3『省庁間連携の現場報告』

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