適正原価設定/「事業種別」「車型・車種」「地域」「物価変動への対応」など主要論点提示(国土交通省)

2026年07月21日 16:13 / 経営

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国土交通省は7月17日、トラック適正化二法に規定されている「適正原価設定」に向けて検討が必要となる主な論点を提示した。同日開催した第1回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」に提出した資料で公表した。

4月から一部が施行されたトラック適正化二法では、公布後3年以内に施行される項目として「国土交通大臣が定める『適正原価』を下回る運賃・料金の制限」「トラック事業者の許可に係る更新制度の導入」を規定している。

■物価変動への対応・改定の頻度など制度全般の論点

制度全般の論点では、「適正原価を設定する事業種別」「適正原価を設定する車型・車種の単位」「実車率・回送料金の取扱い」「 物流効率化のインセンティブの担保」「物価変動への対応・改定の頻度」の6つの論点を示した。

事業種別では、適正原価をどこまで設定するかが論点となる。「標準的運賃」は一般貨物自動車運送事業(貸切)についてのみ設定しているが、適正原価については、特定貨物自動車運送事業、貨物軽自動車運送事業についても設定するのか、また一般貨物自動車運送事業に関しても、特別積合せ貨物運送、霊きゅう運送等について別途設定するのか検討課題となる。

車型・車種の単位では、標準的運賃ではバン型の車両を前提に4車種(小型車(2tクラス)、中型車(4tクラス)、大型車(10tクラス)、トレーラー(20tクラス))について設定したうえで、別途、特殊車両に対する運賃割増を設定している。特殊車両は、冷蔵車・冷凍車、海上コンテナ輸送車、セメントバルク車、ダンプ車、コンクリートミキサー車、タンク車、トラック搭載型クレーン車等が設定されている。これについて、車型・車種の区分と特殊車両割増の設定を見直す必要はないか、検討が必要といえる。

地域の単位は、標準的運賃は地方運輸局等のブロック(10ブロック)単位で設定しており、運送を行う車両が配置されている営業所の所在地の運賃が適用されている。しかし、同一ブロック内における都道府県格差(例:東京都と山梨県)や、帰り荷への制度適用のあり方等を踏まえ、どのような単位での設定が適当か、検討課題としている。

実車率・回送料金の取扱いは、標準的運賃においては、帰り荷がない運送でも原価を確保できるよう、実車率を50%に設定して計算している。適正原価では、運送や取引の実態等を踏まえ、どのような設定とすることが妥当か、再検討が必要といえるだろう。

物流効率化のインセンティブの担保では、効率化により稼働時間等が減少した場合、取り組まない場合よりも適正原価として算定される額が低下し、結果としてトラック事業者が収受する運賃・料金の水準が低下する可能性がある。そのため、十分な賃金が支払われることを前提に、トラック事業者、荷主等双方の物流効率化のインセンティブを損なわないためには、どのような制度設計とすべきかを議論する。

物価変動への対応・改定の頻度では、標準的運賃は燃料価格のみサーチャージを設定している。物価変動に応じて改定を実施(これまでは2024年に一度改定)した。適正原価では、物価変動をタイムリーに反映するためにどのような制度設計とすべきか検討する。

■適正原価の構成要素「標準的運賃の構成要素」と比較検討が必要

また、適正原価の構成要素では、5つの論点を提示した。

まず、標準的運賃の構成要素との比較検討、次に「輸送の安全確保のために必要な経費」の具体的な内容、さらに「事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資」の具体的な内容を検討する必要がある。

また「全産業の労働者一人当たりの賃金の額の平均額を踏まえた人件費」の具体的な内容として、賃金の地域差をどのように整理するか、時間外賃金をどのように反映するかも論点となる。

そのほか、料金の取扱いとして、適正原価に含める料金の範囲をどのように整理するのかも検討が必要となる。作業時間等に応じて単価を設定するものと、実際に発生した費用を実費として積み上げるものとを整理した上で、適正原価にどのように反映するか、料金の計算方法について標準的運賃から見直すべき点はないか検討する必要がある。

■運用では、トラックドライバーへの適正な賃金の支払いなどが論点に

運用等の論点では、「トラック事業者・荷主等による実務面での対応」「多重取引構造への対応」「トラックドライバーへの適正な賃金の支払い」「適正原価の算定に用いる期間の設定」の4つについて検討が必要になるとしている。

トラック事業者・荷主等による実務面での対応では、適正原価を収受するには、トラック事業者が自ら適正原価を算出・運賃を設定した上で、荷主等と運賃交渉を行う必要がある。そのため、トラック事業者が適正原価の算出を円滑に行えるようにシステムを整備する必要はないか、また荷主等による運賃交渉等への対応をどのように考えるか、トラック事業者が運賃交渉を円滑に行えるように参考にできるモデル運賃等を設定する必要はないか検討する。

多重取引構造への対応では、末端の実運送事業者に対して、適正原価を下回らない運賃・料金が支払われるよう、どのような制度運用を行うべきかが課題となる。

トラックドライバーへの適正な賃金の支払いでは、トラック事業者が収受した運賃・料金を原資にドライバーに適正な賃金を支払うことについて、事業許可の更新制度上どのように担保すべきかが論点となる。

適正原価の算定に用いる期間については、事業者の決算期間等を考慮しつつ、市況の価格変動への対応や、更新時期が異なる事業者間の公平性、巡回指導や監査等による違法状態の是正等の観点から制度の実効性を確保するため、例えば該当期間を1年間とするなど、どのように考えるかが論点となる。

■適正原価の設定に向けた論点提示
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/002012606.pdf

トラック適正化二法/「適正原価」全体像の概念図・適正原価の算定式・構成要素案発表(国土交通省)

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