公正取引委員会/茶谷委員長「サプライチェーン全体での価格転嫁実現」物流特殊指定・支払告示・優越ガイドライン活用
2026年07月23日 17:15 / 経営
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公正取引委員会の茶谷栄治委員長は7月22日に開催した記者懇談会で、「賃金が物価上昇を上回り実質賃金がプラスになる状況を維持させることが必要であり、そのため、物流特殊指定の改正、支払告示の新設、優越ガイドラインの改定を行った」と述べ、公正取引委員会の行っている取組の狙いを説明した。会見の一部要旨は以下の通り。
取引適正化に向けた取り組みについて、「日本経済は長きにわたってインフレの経済が続いたが、ロシアがウクライナに侵攻したあたりから、物価も賃金も上昇する時代になってきた。そうした中で、経済政策の一つの大きな課題は、賃金が物価上昇を上回る、実質賃金がプラスになる状態を持続させることだと思う」と指摘。
「そのためには、基本的には企業がイノベーションを促進して生産性を上げ、付加価値を高めていく、これが実質賃金がプラスになる一番の基本だ。そういう中で、公正取引委員会ができることで、特に中小企業に焦点をあて、サプライチェーン全体中で価格転嫁ができるようにする」と考えを示した。
茶谷委員長は「価格転嫁ができるようになると、それによって得たもので賃上げもでき、生産性の向上にむけた取引もできる。その中で、公正取引委員会は大きな役割を果たすことができると思う」と取組の背景を説明した。
その上で、1月から中小受託取引適正化法(取適法)が施行されたことに触れ、「昨年の5月に成立し、最初は公布後1年以内に施行の予定だったが、与野党とも早く施行した方がいいということで、議員修正で本年1月から施行となった。施行前には、徹底した周知・広報が必要であり、一生懸命に周知・広報をした」と経緯を説明。今月には、取適法が適用された初の勧告案件を公表することを明らかにした。
ただ、取適法は、資本金や従業員基準といった客観的な基準で適用範囲を定めているため、「サプライチェーン全体での価格転嫁を実現していくためには、どうしても取適法が適用されないような取引があり、これにも取り組む必要がある」と述べ、公取委が6月17日に行った優越的地位の濫用に関するルール整備の背景を解説した。
また、物流特殊指定の改正、支払告示の制定についても説明。茶谷委員長は物流特殊指定について、「取適法では、荷物を送り出す発荷主と運送事業者との間の取引は対象となったが、現実には、運送事業者とは契約関係にない荷物を受け取る着荷主による物流問題がある」と指摘。
「要は、着荷主が無償で長時間の荷待ちをさせるとか、無償で荷物の積み降ろしをさせるという問題が生じている。この問題については、物流特殊指定で、着荷主が物流事業者を通じて契約外の荷待ち・荷役を行わせることで、結果として発荷主の利益を不当に害する行為になる。そのため、これを新たに禁止した」と概要を説明した。
支払告示については、「取適法では、給付の受領日から60日以内に代金の支払いが定められている。しかし、取適法が適用されない取引でも同様のルールを規定しなければ、例えば、取適法が適用されない取引の一例として、委託者側が中小事業者で、受託者側が小規模事業者で、両方とも資本金等の要件を満たさない場合、60日ルールがないと、受託者側の資金繰りが悪化したりすることになる。こういうことで、製造委託等の取引においては、正当な理由なく給付を受領してから60日以内に代金を支払わないことを新たに禁止した」と述べた。
優越ガイドラインの改定については、「取適法の目玉として『協議に応じない一方的な代金決定』。こういうプレセスに着目した新たな禁止行為を設けた。しかし、取適法が適用されない取引においては、対価の決定方法について、『実行的な価格協議が行われたかどうか』が考慮要素である、ということを示すことによって、独占禁止法の考え方を明らかにした」と解説した。
そして、「これらのルールが相まって、取適法の対象外の取引を含むサプライチェーン全体の適正化を我々は図っていきたいと思う。そのためには、まだ、改正物流特殊指定、支払告示は、施行前なので、引き続き周知を行って行きたい」と語った。
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