ヤマト運輸/カスハラ基本方針を制定、悪質行為には外部機関と連携

2026年09月28日 13:56 / 経営

ヤマト運輸は、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を9月4日に制定した。顧客からの正当な意見や要望には誠実に対応する一方、社員らの人格や就業環境を害する言動には、会社として組織的かつ毅然と対応する姿勢を明確にした。

同社は、宅急便ネットワークなどの物流サービスを支える社員らが、安全・安心に働ける環境の確保が、サービス品質の維持に不可欠と説明。対象となる「社員等」には、同社の従業員だけでなく、派遣社員、業務委託先、集配委託先や輸送パートナーなど、同社業務に従事する関係者を幅広く含める。

方針では、カスタマーハラスメントを「顧客等による言動」、「業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超えること」、「社員等の就業環境が害されること」の三要素を満たすものと定義した。対象は、顧客だけでなく取引先担当者など同社事業に関係する者にも及ぶ。店舗や営業所、集配先などでの対面行為に加え、電話、メール、SNSなどインターネット上の言動も対象とする。

具体例として、契約や運送約款を著しく超える要求、合理的な理由のない返金・値引き・金銭補償の要求、暴行や物の投げつけ、脅迫、侮辱、土下座の強要、差別的・性的な言動、大声や威嚇、執拗な電話・メール、長時間の居座りなどを挙げた。社員の氏名や写真、動画、個人情報をSNSなどに投稿する行為や、投稿をほのめかす言動も含まれる。

一方、社会通念上許容される苦情や要望はカスタマーハラスメントに該当せず、真摯に対応する。また、障害者差別解消法に基づく合理的配慮の要請については、建設的な対話を通じて対応する考えを示した。

該当行為が確認された場合、通話や対面時のやり取りを録音・録画することがある。悪質なケースでは、電話の終了、退去要請、対面集配の制限、店舗・営業所への入店拒否などの措置を段階的に講じる。運送約款などに基づき、荷物の引受けやサービス提供を断る場合もあるという。

さらに、執拗な接触やつきまといなど、社員の安全や私生活の平穏を脅かす行為には中止を求め、必要な保護措置を実施する。悪質行為については、警察や弁護士などと連携し、刑事・民事上の法的措置を含めて厳正に対応する。

社内では、対応マニュアルの整備、研修・教育、相談・報告体制の構築、被害を受けた社員へのメンタルヘルスケアや担当者交代などを進める。発生原因や背景を分析し、商品・サービス、接客の改善を通じた再発防止にも取り組む。

また、同社社員が取引先などに対して顧客の立場となる場合を踏まえ、相手の人格と就業環境を尊重し、他社へのハラスメントを行わないよう教育・啓発を進めるとしている。輸送現場で顧客対応の重要性が増す中、従業員だけでなく委託・協力会社を含む現場全体を保護する方針として注目される。

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