ヤマトHD/3月期の国内輸配送サービス、営業損失128億円

2025年05月12日 16:48 / 業績

ヤマトホールディングスが5月1日に発表した2025年3月期決算によると、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供するエクスプレス事業の営業収益は1兆5347億1000万円(前年同期比0.9%減)、営業損失は128億9900万円(前期は113億円の営業利益)となった。

<ヤマトホールディングス>
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外部顧客への営業収益は、収益構成の変革に向けた取組みにより宅配便の収入が増加したものの、投函サービスの収入減少などにより、減収となった。

営業費用は、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどにより前期に比べ86億9300万円増加した結果、営業損失を計上した。

エクスプレス事業では、サービスラインアップの拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の「カーボンニュートラル配送」などにより、顧客への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直しや法人顧客との契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受を推進。

また、EC化の進展や少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動のさらなる深刻化を踏まえ、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化するため、ネットワーク・オペレーションの構造改革を行った。

引き続き、外部環境の変化によるコスト上昇を踏まえ、届出運賃・料金を改定した上で、基盤である宅急便部門における小口法人・個人のお客様に対する営業強化や、法人部門における大口法人のお客様の課題解決や事業成長を支援するソリューション提供を見据えた新規取引の拡大、既存のお客様に対する提供価値に応じた適正な運賃・料金収受の取組みを進めた。

さらに、「クロネコメンバーズ」会員からの指定に基づく、宅急便や宅急便コンパクトの「置き配」サービスの提供など、より多くの顧客に快適な受け取り体験を提供するとともに、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた取組みを推進した。加えて、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律420円で荷物が送れる「こねこ便420」の東京都での拡販を行った。

ネットワーク・オペレーションの構造改革については、業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した作業指示の自動化や業務量に応じた経営資源の最適配置、バックオフィスの業務プロセス改革などの取組みを進めた。

<連結営業費用総括表>
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出典:2025年3月期ヤマトグループ決算説明資料(以下、同じ)

HD全体の連結決算における営業費用は、1兆7484億円(1.7%増)だった。内訳は下払経費6937億円(6.4%増)、人件費7949億円(4.1%減)、車両費524億円(0.2%減)、その他経費3765億円(3.3%増)だった。

下払経費のうち委託費は3645億円(0.4%増)、うち集配委託944億円(2.6%減)、作業委託455億円(5.6%増)その他2245億円(0.6%増)だった。傭車費は2473億円(16.4%増)となった。車両費の内訳は、車両修繕費258億円(0.3%減)、燃料油脂費265億円(横ばい)だった。

<2026年3月期業績予想>
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2026年3月期の営業費用は1兆8400億円(5.2%増)を見込む。主な費用項目の内訳は、集配委託1029億円(9.0%増)、作業委託451億円(1.0%減)、傭車費2829億円(14.4%増)、車両修繕費255億円(1.4%減)、燃料油脂費288億円(8.5%増)の見通し。

ヤマトHD/26年3月期の「宅配便」法人部門は平均単価4.0%増・取扱数量0.6%減想定

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