長野県内でENEOSガソリンスタンド(16店舗)の運営などを行う相馬商事は11月26日、公正取引委員会による課徴金納付命令を受け、2025年度をもって石油商業組合を脱退する方針を決定した。
11月26日、公正取引委員会は、長野県石油商業協同組合北信支部に対し、揮発油(ガソリン)の価格設定に関する独占禁止法違反を認定し、排除措置命令と課徴金納付命令を発出した。これに伴い、北信支部の組合員である相馬商事に対しても842万円の課徴金納付命令が発せられた。
相馬商事は課徴金納付命令に対して、「従前から、自由競争の原則を尊重し、販売価格は石油元売会社からの卸価格、市場動向、原油価格の推移等を総合的に勘案したうえで、独自の判断に基づき決定している。石油商業組合からの指示・要請等に基づき価格を決定した事実はなく、今回問題となった北信支部内における価格改定幅の決定プロセスにも一切関与していない。また、グループ会社であるペトロソーマは、石油商業組合には加盟しておらず、同社はコロナ禍において不当廉売の疑いで公正取引委員会の調査対象となった経緯がある」との見解を示した。
その上で、「課徴金納付命令に対し、公正取引委員会へ異議を申し立てたが、最終的に主張は受け入れられず、納付命令が確定する結果となった。課徴金自体は経営に重大な影響を及ぼすものでないが、事件は金額の問題ではなく、自社の社会的信用と名誉に関わる重大な事案であると認識している。命令取消訴訟の提起も検討したが、訴訟長期化による経営資源の拘束、費用負担等を総合的に勘案した結果、命令を受諾する判断に至った。これにより、本来の事業活動へ経営リソースを集中する方針だ」と課徴金納付命令を受諾した経緯を説明した。
また、「組合は過去において情報交換や補助金申請等の一定の役割を果たしていたものの、近年は自社単独で十分に対応可能であり、組合所属による実質的なメリットは限定的な状況にある。むしろ、組合への継続的な所属が、自社の企業イメージに悪影響を及ぼす可能性があると判断し、将来の健全な事業運営を確保する観点から脱退を決断した。今後は一層の透明性・公正性を重視した企業活動を推進する」と表明した。
今回の課徴金納付命令は、極めて遺憾な結果だが、相馬商事の経営の安定性や取引先との事業継続に重大な支障をきたすものではない。今後も、「お客様に強く必要とされる存在となる」という企業理念のもと、公正かつ公平な事業運営の徹底に努めるという。
相馬商事は1902年創業、2024年3月期の年商(単純連結)は167億1700万円、グループ系資本金は1億600万円、グループ従業員数は298名。
「ガソリンスタンドの運営、タイヤの販売、車検・整備、カーリース事業を通して、信州の皆様の快適な車生活を支援する」カーライフ事業、「農薬や肥料、農業用製品と栽培に役立つ情報を提供し、ドローン等を活用したスマート農業の普及に取り組む」農業、「信州の人々の暮らしに寄り添い、フィットネス事業やドラッグストア事業など、日々の生活をサポートする」暮らしの3つの事業を展開している。