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2025年08月27日 15:16 / 経営
自動運転等に利用される高精度3次元地図データ(HD マップ)を生成・販売するダイナミックマッププラットフォーム(東京都渋谷区)は8月26日、都内で説明会を開催し、同社の取り組みや今後の構想などについて紹介した。
まず、社名でもある「ダイナミックマップ」とは、情報の時間的特性ごとに4層に分類した概念を持つ地図データベースのこと。自動運転のベースとなる高精度な地図情報であり、自動運転には不可欠なものだ。
その構成は、道路の白線など月単位で変わらない「静的情報(高精度3次元地図データ:HDマップ)」が一番下のレイヤーにあり、その上に交通規制など1日単位で変わる「準静的情報」、さらにその上に交通事故の情報など1時間単位で変わる「準動的情報」、そして1番上に周辺車両や歩行者など秒単位で変わっていく「動的情報」を置き、これらを組み合わせて地図データとしている。
ちなみにベースとなるHDマップについては、現在、北米で150万キロ、欧州で25万キロ、日本は3万3000キロの高精度3次元地図データを整備しているという。
<同社のHDマップの整備状況。2019年に米国のHDマップ企業Ushrを買収、現在、米国、欧州、中東、韓国にも事業エリアを拡大している>
同社は日本政府の主導により、国内自動車メーカー10社(トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱自、スズキ、ダイハツ、いすゞ、日野)が出資して2016年に設立された企業。そのため、これまで国家プロジェクトへの参画を中心に、技術開発や事業拡大を進めてきている。そして、その国家プロジェクトを通して開発・実証したものを、民間事業者に広げていくのが同社の大きな役割だ。
同社の雨宮広道執行役員は「物流や事業者の業務効率化という分野で、レベル4自動運転をいかに使ってもらうか。そこに我々の技術やデータを提供していくという形で取り組んでいる」と同社の方針を説明。「その仕組みをうまく国と連携しながら、民間の事業者に繋いでいくという役割を果たさせていただいています」と語る。
<ダイナミックマッププラットフォーム 雨谷広道執行役員 ビジネス統括>
同社が現在展開しているサービスは、大きく分けて2つ。一つは「公道でのダイナミックマップ提供」、もう一つは「狭域エリアでのダイナミックマップ提供」である。
「公道でのダイナミックマップ提供」は、自動運転トラックによる幹線輸送の実現に向けたもの。経済産業省「デジタルライフライン全国整備計画事業」に参画し、国土交通省が新東名・駿河湾沼津SA~浜松SAの110キロ区間で実施している実証にデータを提供している。
具体的には、地図データだけでなく、車線別交通情報や渋滞末尾情報など先読みした交通情報や、走行予定ルートの気象情報なども加えて自動運転車に配信。それによりダイナミックマップの有効性を検証するというものだ。さらに物流事業者と連携して共同輸配送を行う際に、車両の運行データをどう結び付けていくか、という取り組みも、この実証の中で行われている。
一方、「狭域エリアでのダイナミックマップ提供」は、内閣府が推進しているプログラム「BRIDGE」等で蓄積した開発成果を用いて、空港や港湾、物流センターなど、限定されたエリアでのレベル4自動走行を実現するもの。
既に中部国際空港セントレアの制限区域内で、HDマップを搭載したトーイングカーやバスを自動運転で走行させる実証を3月から実施。2026年度以降に実装フェーズへの移行を予定している。空港内は白線などがないため、ダイナミックマップの重要性が高い。
さらに現在進めているのが、物流センターでのレベル4自動走行である。既に三井不動産、東京流通センターの既存物流センターでの検討を開始している。
高速道路および直結IC型物流センターまでの自動化は進んでいるが、一方でICから数km離れた既存物流センター(約2万8000カ所)の活用も必要であり、一般道や物流センター内の自動走行に関しても実現が求められる。現状、物流センター内での待機時間が大きな課題となっているためだ。
ただ空港内とは異なり、物流センターは建物内の走行となるため、GPSの情報が得られないため、自動運転化の難易度は高くなる。そのためHDマップの重要性がより高い。2028年度以降に実装フェースへの移行を予定しており、実際には2030年頃の導入を見込んでいるという。
<2030年を想定した物流業界における自動運転車の導入シナリオ>
同社によると、自動運転が必要とされる国内の物流センターは2万8000カ所。このうち同社が開発しているシステムの導入が見込まれるのは、東名阪エリアで1370カ所、ここ5年間位の期間では400カ所程度の事業規模を想定しているという。