運輸安全・物流DX EXPO/960時間対応と安全教育の提案目立つ

2024年05月29日 15:41 / イベント・セミナー

運輸・物流業界の課題に向けたIT・デジタルソリューションの展示会「運輸安全・物流DX EXPO 2024」が、5月29日に東京ビッグサイトで開幕した。31日までの3日間開催される。

今年4月から、トラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、物流業界全体でその対応が急がれる中での開催とあって、今回は「物流2024年問題によく効くデジタル特効薬あります!」をテーマに開催。約70社が安全運転、事故防止、ドライバーの健康管理、DXによる業務効率化など、幅広い製品・サービスが展示された。

<運輸安全・物流DX EXPO 2024の会場>
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その中で特に目立ったのは、動態管理や勤怠管理システムの提案。多彩な機能をワンパッケージ化したものもあるが、必要な機能を個別に選択して導入できるようにしたものが増加している。多くの出展社から「導入済のシステムに欠けている機能だけ補いたい、低コストで最低限必要な機能だけを導入したいといった顧客が多い」という声が聞かれた。また「時間外労働960時間の見える化」を訴求したものも多い。「紙とEXCELでの管理はもう限界」と説明する出展社が多く、これを機にデジタル化の普及に弾みがつくことになりそうである。

<動態管理サービスを展示した都築電気>
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その一つが、動態管理サービス「TCloud for SCM」を展示した都築電気。車両の位置や作業情報、経路ナビなど基本機能がスマートフォンだけで可能という手軽さで、導入しやすいのが大きな特徴だが、センサーと組み合わせて温度管理も可能など、多様な使い方ができるのも魅力だ。今後は配車計画やデジタコ連動なども予定しており、将来の発展も楽しみである。

<「ロジポケ」による業務効率化をアピールしたX Mile>
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業務改善・経営支援クラウドサービス「ロジポケ」を展示したX Mileは、管理の効率化をアピール。「時間外労働上限960時間はもちろん、改正の細かな内容まで把握して正確に管理するのは中小事業者には負担が大きい。ロジポケは法改正の内容も織り込んでいるので、間違いのない管理ができる」という。今後も続くであろうルール変更にその都度自社で対応することを考えれば、このようなサービスを導入するのが最適というわけである。

<城山はクロノス社の勤怠管理システムなどを展示>
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商社としての強みを活かし、自社で必要な機能だけを選択したいというニーズへの対応を訴求したのが城山。富士通のデジタコ、クロノスの勤怠管理システム、JAFの安全運転教育教材を並べ、幅広い提案ができることをアピール。特に勤怠管理システムは4月以降問合せが増えているという。

一方、「安全」も運送業界の大きな課題だ。特に酒気帯び運転への対応、また高齢者・未経験者ドライバーへの教育が現在の大きな取組みテーマとなっている。特に安全教育については、指導する人材や時間も不足する中、効率よくサポートするアイテムが目立った。

<東海電子はロボット型自動点呼機器などを展示>
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アルコールチェッカーを展開する東海電子は、ロボット型の自動点呼機器「Kebbi Air」などを展示。機能的にはタブレット型でも十分なのだが、「スマホ感覚となってしまい、ドライバーさんの扱いがどうしても荒くなる」とのこと。ロボット型は可愛らしいということもあるが、明確にスマホと異なることもあって「扱いが丁寧になる」という。なお今春は、貸切バスのアルコールチェック義務化のため、2~3月は品薄になった。来年はアルコールチェックのルールがさらに厳しくなることが予想されていることから、早目にオーダーしていていただけるとありがたい、とのことだった。

<ゲーム感覚で運転能力を向上させる仙台放送のBTOC>
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ドライバーの安全運転能力の向上や維持は、高齢化に伴ってますます重要さを増しているが、そこに向けたサービスを紹介したのが仙台放送。東北大学の川島隆太教授を迎えて放送した番組「テレビいきいき脳体操」から、脳科学の力を使いドライバーの「運転技術」「認知機能」「精神状態」を支援するスマートフォンアプリ「BTOC(ビートック)」を共同で開発。1回わずか1分のゲームをすることによって脳の「運転技能」と「認知機能」と「感情状態」が向上することが実証されており、既に多くの企業でも導入されている。

<ドライバー人材確保の新たな取り組みとして期待されるロジテック「ドライバーピット」>
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ドライバー不足の解決に向け、未経験ドライバーを育成し、派遣するサービス「ドライバーピット」をアピールしたのがロジテック。減少するベテランドライバーの穴を埋め、物流を途切れさせない新たな試みだ。30万人の派遣人材を誇るグループの「バイトレ」を持つことが強みとなっている。サービス開始は6月を予定しており、新たなドライバー人材確保の手法として期待される。

■運輸安全・物流DX EXPO 2024 開催概要
会期:2024年5月29日~5月31日
10:00~18:00(最終日17:00終了)
会場:東京ビッグサイト 西3・4ホール
入場: 無料(事前登録制)
公式サイト: https://www.truckexpo.jp/2024/
主催・企画・運営:リックテレコム
同時開催:ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2024

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