中小企業庁/2025年は注意喚起文書送付8007者・立入調査等725者「取適法に基づく取組」公表

2026年07月02日 14:57 / 経営

中小企業庁は6月10日、2025年度における「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(取適法)に基づく取組を発表した。

現在、中小企業庁と公正取引委員会は、中小受託事業者の保護や取引の公正を図るため、協力してそれぞれが取適法の執行にあたっている。

その一環として、一般的に、その取引の性格から自発的に違反行為を申告しにくいとされる中小受託事業者に対しプッシュ型で状況を把握したり、同法の違反行為が認められた委託事業者に対し違反行為の是正を求めたりするため、委託事業者と中小受託事業者を対象に定期的なオンライン調査を実施している。

2025年度は、中小企業庁では、委託事業者5万5000者、該当する委託事業者と取引を行う中小受託事業者24万者に対して調査を実施した。その結果、委託事業者に対する調査において、下請法違反(当時)のおそれのある 8007者に対して、是正等を求める注意喚起文書を発出した。

■725者に立入検査等実施・1454件の違反行為を確認

中小企業庁は、中小受託事業者等に対する定期調査や、中小受託事業者からの申告または聴取など様々な端緒情報を踏まえ、取適法違反の可能性がある委託事業者に対し立入検査等を実施している。

2025年度は、725者の委託事業者への立入検査等を行った結果、1454件の違反行為を確認し、619者に対して改善指導を実施したほか、9者に対しては公正取引委員会に対する措置請求を行った。措置請求を行った9者については、公正取引委員会からの「勧告」に基づき指導がなされている。

特に近年は端緒情報の中でも中小受託事業者の声を重視するようにしてきており、確度の高い情報を積極的に活用することにより、立入検査等の数は前年同程度であるものの、発見した違反行為の件数(特に禁止行為違反の件数)は増えている。

立入検査の端緒をみると、2025年度は「定期調査」615件、「申告」29件、取引Gメン等による中小受託事業者に対するヒアリング「聴取」36件、「情報提供等」45件だった。

■違反行為「支払遅延・製造委託等代金の減額・買いたたき・不当な経済上の利益提供要請」が93.2%占める

改善指導を行った違反行為の内訳をみると、2025年度においては、禁止行為の違反として支払遅延が276件、製造委託等代金の減額が142件、買いたたきが129件、不当な経済上の利益の提供要請が120件認められ、改善指導の対象となった。この4類型で禁止行為違反の93.2%を占めた。

昨年に引き続き買いたたきや不当な経済上の利益の提供要請の改善指導件数は増加傾向にあるが、特に不当な経済上の利益の提供要請では金型等の無償保管に関する違反行為の指摘が大幅に増えている。

また、支払遅延と割引困難手形の改善指導件数も増えているが、2024年11月に公正取引委員会の指導基準が変更され、手形等のサイトが業種を問わず60日に短縮されたことが影響しているものと考えられる。

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改善指導が行われた違反行為内訳(出典:中小企業庁発表資料)

中小企業庁と公正取引委員会は、取適法に基づく勧告を公表する際などに、業界における取引適正化の一層の推進と取適法違反行為の未然防止を徹底するよう業界団体に対して要請を行い、取引慣行の是正を図っている。2025年度においては、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車半場協会連合会に対して、要請を行った。

■措置請求は最多9件に拡大

中小企業庁は、取適法第5条(禁止行為)に違反する事実があるかどうかを調査し、その事実があると認める時に、公正取引委員会に対し、取適法の規定に従い適当な措置を採ることを求める措置請求権限を有しており(取適法第9条)、公正取引委員会は、取適法に基づく勧告権限を有している(同第10条)。

中小企業庁と各経済産業局が、取適法違反の疑いのある委託事業者に対して立入検査等を行い、違反の事実があるとして2025年度に中小企業庁が公正取引委員会に措置請求を行った件数は、過去最多の9件となった。9件の措置請求については、いずれも公正取引委員会が勧告を行っている。

過去に中小企業庁が措置請求を行った単年度の件数としては、勧告案件を公表するようになった2004年以降では4件が最多であり、2025年度はその2倍を上回る件数となった。

これは中小企業庁として、中小受託事業者の利益を保護するために社会的影響の大きな事案に対しては積極的に措置請求を行うという方針の下、中小受託事業者からの申告のほか、中小受託事業者に対する定期調査の回答や取引Gメン等が聴取した中小受託事業者の声を積極的に活用するとともに、公正取引委員会と中小企業庁が緊密に連携をとりながら、初めての勧告事案となるような内容の案件にも果敢に取り組んだ結果と評価している。

■製造委託等代金等、総額約2億3300万円の現状回復を実現

委託事業者に改善指導を行った場合、そのフォローアップとして中小企業庁長官あての改善報告書を提出させている。2025年度中に600者の委託事業者から改善報告がなされた(2025年度以前の改善指導案件によるものも含む)。

このうち259者が、中小受託事業者6912者に対して、減額した製造委託等代金の返還や支払遅延にかかる遅延利息の支払など、総額約2億3300万円の原状回復を行った。

このほか9件の措置請求案件は、公正取引委員会から勧告が行われており、中小受託事業者241名に対して約2億 200万円が原状回復された。

取適法違反行為を行っていた委託事業者が中小企業庁に対して自発的に違反行為を申し出た場合には、委託事業者の自発的な改善措置が、中小受託事業者が受けた不利益の早期回復に資すること及び委託事業者の法令遵守を促す観点から、中小企業庁は申出があった事案について、公正取引委員会に対して措置請求を求める必要はないものとして取り扱うこととし、この旨を公表している。

2025年度は、委託事業者から取適法違反行為の自発的な申出が39件あり、27件の処理を行った。その結果、中小受託事業者791者に対し、製造委託等代金の減額分の返還等、総額約5億3800万円の原状回復が行われた。このうち、措置請求(勧告)相当事案は9件あり、下請事業者718者に対し、総額約5億3000万円の原状回復が行われた。

2025年度における取適法に基づく取組

公正取引委員会、中小企業庁/2026年度「取適法定期調査」開始、中小受託事業者の利益保護を促進

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