9月価格交渉月間調査/トラック運送業の価格転嫁率、前回調査から悪化

2025年12月03日 13:03 / 経営

中小企業庁が11月28日に公表した価格交渉月間(9月)フォローアップ調査の結果、トラック運送業の価格転嫁率は前回3月の調査から悪化していることがわかった。

発注企業の業種毎の集計では、全業種のコスト増に対する価格転嫁率は53.5%で、3月調査から1.1ポイント上昇しているが、トラック運送業は34.7%で逆に1.4ポイント減となった。

トラック運送業の転嫁率を各要素別に見ると、原材料費は0.8ポイント減、エネルギー費は2.7ポイント減、労務費は1.8ポイント減といずれもマイナス。

<価格転嫁の実施状況の業種別ランキング【発注企業の業種毎に集計】>
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中小企業庁では、上位の製造業系の業種は転嫁率が数ポイントずつ上昇し、改善傾向にあるものの、下位のトラック運送業、放送コンテンツ業、農業・林業などは転嫁率が悪化していると報告している。

一方、受注企業の業種毎の集計でも、トラック運送業の価格転嫁率は1.1ポイント減の36.5%。原材料費は1.1ポイント減、エネルギー費は1.5ポイント減、労務費は0.5ポイント減となった。

<価格転嫁の実施状況の業種別ランキング【受注企業の業種毎に集計】>
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中小企業庁は、受注者として価格転嫁してもらえている業種(上位にある業種)は、発注者としても価格転嫁に応じている傾向にある。また、今年3月と比べ、上位業種と下位業種の転嫁率の差が拡大した、と分析している。

<トラック運送の価格交渉・価格転嫁の状況>
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トラック運送業の直近6カ月間における価格交渉の状況を見てみると、価格交渉が行われた事業者は56.2%。3月調査時の65.7%から9.5ポイント減。ただ、価格交渉が不要として交渉を申し出なかった、あるいは辞退した事業者の割合が増加しており、これも価格転嫁率が上昇しなかった要因ともなっている。

なお、アンケート回答企業からは「発注側が価格改定や移動費支給に迅速対応し、労働負担軽減や取引の透明性を確保している」といった声がある一方、「価格交渉が形骸化し、附帯費計上拒否や自社ルール強制で負担が増し、取引の公平性を欠いている」、「値上げ要請は無視され、説明もなく一方的な対応が続き、適正価格改定が不可能な状況である」といった声も寄せられている。

この調査は、中小企業等に2025年4月~2025年9月末までの期間における、発注者(最大3者分)との間の価格交渉・価格転嫁・支払条件の状況を問うアンケート票を送付し実施したもの。2021年9月より毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定して実施しており2025年9月で9回目。

赤澤経済産業大臣は、9月「価格交渉促進月間」フォローアップ調査の結果について「価格転嫁率は、前回から約1ポイント増の53.5%、そして、労務費の転嫁率が初めて50%に到達いたしました。全体として改善傾向にあるものの、まだ道半ばの状況」とコメント。「ようやく50%転嫁しただけということでありますので、引き続き、価格転嫁・取引適正化に粘り強く取り組んでまいります」と今後に向けた方針を示している。

価格交渉促進月間(2025年9月)フォローアップ調査の結果

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