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2023年12月22日 15:48 / 交通
警察庁は12月22日、高速道路での大型トラックの最高速度を、現行の時速80キロから時速90キロに引き上げる提言をまとめ、公表した。
今年6月に政府が取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」の中に盛り込まれた「高速道路のトラック速度規制の引上げ」への対応として、警視庁は、大口敬 東京大学生産技術研究所教授を座長とする有識者会議を設置。交通実態調査や製造事業者、運送事業者へのヒアリング結果などから高速道路における最高速度の在り方について検討した結果、法定速度を時速90キロに引き上げても、「交通の安全に大きな影響をもたらすとは考えられない」とし、提言を取りまとめた。
警視庁の調査では、高速道路における大型トラックの交通事故件数は50%以上減少、トレーラーは約30%減少しており、また実勢速度は大型トラックが時速87キロ、大型トレーラーが時速84キロ。また時速90キロを上限とする速度抑制装置の装着や、衝突被害軽減ブレーキ等の安全装置の性能が向上し、普及も進んでいる。なお、欧州での速度抑制装置の上限速度も時速90キロとなっている。
また製造事業者へのヒアリングからは、現在の大型トラックは時速90キロを前提に設計されており、時速90キロまでは車両の安全性能を保証できるが、時速90キロを超える速度への対応は既存車の改良では不可能であることがわかった。また、現在のトレーラーは、時速80キロより高い速度で走行した場合の被牽引部の安全性能が確認できていないことも明らかになった。
一方、運送事業者への聞き取りからは、最高速度の引上げは、目的地までの到着時間の短縮による輸送品質の向上、労働生産性向上のメリットがあり、時速90キロでも時速100キロでも一定の効果がある、との声が聞かれたという。ただ運送事業者では、最高速度の引上げよりも、荷待ち時間の短縮等、物流負荷の軽減が図られることが必要としている。
これらの結果から、現行の速度抑制装置を存置した上で、法定速度を時速90キロに引き上げても、交通の安全に大きな影響をもたらすとは考えられないとしている。ただし時速90キロ以上の速度への引上げは、車両の安全性能が担保されていないことから不適切であるとした。
またトレーラーについては、車両構造上の特性や交通事故件数から、現時点での最高速度の引上げは見送られることとなった。