人とくるまのテクノロジー展2024/次世代EVに向けた軽量化技術が目立つ

2024年05月22日 15:45 / イベント・セミナー

自動車関連技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」(主催・自動車技術会)が、5月22日にパシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい)で開幕した。24日まで開催される。

最新の自動車技術が披露されるこの展示会だが、今年は展示会場が広がり、出展社数も昨年の499社を大きく超える590社が出展。電動化や環境対応など自動車に求められる技術が変化しつつあることで、市場の広がりも感じさせるものとなった。3日間の来場者数は約6万人を見込むが、初日となった24日の午前中から、会場には多くの来場者が詰めかけており、予想を超えることになりそうである。

<人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA・会場の様子>
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昨年はEVの他、水素燃料タンクなど燃料電池車(FCV)に関連した技術展示も目立ったこの展示会だが、今回は水素関連の展示は少なく、EV関連技術が中心。特に部品・素材関連では、低コストと軽量化の両立をテーマにした技術展示が目立った。バッテリーを搭載することで車両が重くなるのがEVの難点といえるが、強度を保ちつつ、低コストでいかに軽量化できるかが次の大きなテーマとなっている。

<小型・軽量な素材を採用したパーツなどの提案が目立った>
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その中で商用車に関する展示では、いすゞ、日野が出展。ともに小型EVトラックを実車展示し、多くの来場者を集めていた。

<いすゞブースで展示されたエルフmioEV>
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いすゞは、「エルフmioEV」をメインに展示。GVW3.5トン未満でAT普通免許で運転できる小型トラックであり、トラックドライバー不足問題に対応するものとして期待を集めるモデルだ。

ベースは先行して登場したGVW5トンの「エルフEV」だが、モーターの出力を抑えた他、サスペンションを変更するなどして軽量化を実現している。40kWhのバッテリーを搭載し、一充電走行距離は115km(WLTCモード)。展示車はキャビンを上げてバッテリーやモーターなど、シャシ各部に配置されたパーツを見せていた。

<デュトロZ EVを展示した日野ブース>
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日野は小型EVトラック「デュトロZ EV」を展示。GVW3.5トン未満のため普通免許で運転できるのは、いすゞエルフmioEVと同様だが、ディーゼルトラックとシャシを共用するエルフEVと大きく違うのはEV専用のシャシを採用していること。これにより前輪駆動(FF)と超低床フロアを実現している。

主に宅配用途に向けて開発されたモデルだが、今回の展示では、この特徴を活かしてさらに幅広い使い方ができないか、ブース内でアンケートも実施。最も得票が多かったものを実際に試作するという。宅配以外にも市場を広げていくことを狙っているようだ。

<デュトロZ EVの新たな活用法を探る>
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また昨年10月に公表した「カーボンニュートラルに向けた取り組み」の中で発表した「標準電池」も展示。電池パックを標準化することで、自動車だけでなく幅広い産業界で使えるようにするものだ。既に様々な業界、メーカーに声をかけ、実用化に向けて動き出しているという。

<日野が提案する「標準電池」>
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この他、e-アクスルの展示も目立った。IJTTではドディオンタイプとリジットタイプのe-アクスルを展示。まだ開発中とのことだが、引き合いも多く、海外メーカーを含めていすゞ以外の自動車メーカーからの採用も期待できるという。

<IJTTが開発中のe-アクスル>
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ユニークなスタイルで来場者の目を引いていたのは、鋳物製造の木村鋳造所が東京鋳造所と共同で開発した発泡スチロール製コンテナ「箱明(HACOAS)」。軽トラックの荷台に設置するコンテナボックスだが、発泡スチロールならではの断熱性を活用することで、生鮮食品の鮮度を維持することができるという。現在使っている軽トラックの荷台に乗せるだけなので、車両の入れ替え時に買い替える必要はなく、アルミバンよりも手軽・低コスト。エアコンなどは装備していないため、冷凍などはできないが、野菜の出荷などに最適な仕様となっている。

<「箱明」。省コスト・環境負荷低減をアピールする技術も目立った>
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なお「人とくるまのテクノロジー展」は5月15日~6月5日まで「ONLINE STAGE 1」としてオンライン展示も開催。また7月17日~19日にはAichi Sky Expoを会場に名古屋で開催、7月10日~31日は「ONLINE STAGE 2」も開催される。来場はいずれも無料。

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