公正取引委員会/国土交通省との合同パトロール「公正取引委員会が同行するとは」荷主から驚きの声

2025年10月29日 16:54 / 経営

公正取引委員会は10月29日、事務総長定例記者会見で「国土交通省との取適法の執行連携について」説明した。岩成博夫事務総長は、会見で、合同荷主パトロールでの荷主企業等からの声などを紹介した。

<岩成事務総長>
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岩成事務総長は、「昨日、本日、東京都において、公正取引委員会と全国から集結した国土交通省トラック・物流Gメンによる、大規模合同荷主パトロールを実施した。公正取引委員会の職員が、取適法の対象となりうる都内の荷主事業者等を個別に直接訪問し、取適法の内容を説明して、法律の遵守に理解と協力を求めた。特に、改正前の下請法では、運送事業者が業として行う運送の委託取引しか対象とならなかったものが、取適法では、荷物の送り主(発荷主)が自社の事業のために物品の運送を運送事業者に委託する「特定運送委託」が適用対象となる取引に追加された。運送分野における取引適正化を一層、進めていくことができるため、この点も荷主事業者に説明した」と合同荷主パトロールの概要を説明した。

その後、合同荷主パトロールでは、荷主事業者から「トラック・物流Gメンの取り組みについては、知っていたが、まさか今回、公正取引委員会が同行するとは思わず非常に驚いた」「取適法の特定運送委託がよく分かっていなかったので、説明を聞いてよかった」「公正取引委員会や中小企業庁以外の事業所管省庁でも取適法に基づく指導が行えることは知らなかった。事業所管省庁には日ごろからお世話になっているが、調査や指導を受けることがないよう自社の取引については、一層の注意を払いたい」「元々、下請法については、知っていたが、改正法の取適法では規制が強化されるため、現在、法の施工までに、どういった対応が必要になるか整理し、従業員向けに勉強会を行うなど、会社として一層のコンプライアンス強化を進めている」といった荷主の声を紹介した。

また、「このように、公正取引委員会がパトロールと銘打って、事業者に直接、法律の周知・広報を行う取り組みは、私の記憶の限りない。このような方法での周知に限らず、全国規模で、連携して周知をしていくことで、取適法施工後の法執行でも円滑な連携ができるようになる。このほかにも、公正取引委員会では、執行連携の円滑な実施に向けて、各事業所管省庁に対して、調査や指導のノウハウをまとめたマニュアルなどを配布するともに、事業所管省庁向けに調査のノウハウなどについての研修を実施する。公正取引委員会では、国土交通省を含め、事業所管省庁との連携強化を引き続き進めていき、取適法の執行に万全を期すとともに、法施工後は、事業所管省庁と連携して効率的・効果的な法執行に取り組んでいく」と取適法の事業所管省庁との連携を強化する具体策を解説した。

トラック・物流Gメンの調査対象に中小企業が多く含まれていることについては、「いま現在の下請法の運営においても、大企業だけでなく、中小企業の下請け事案も調査をし、問題があれば企業名公表や勧告などを行っている。いずれにしても、サプライチェーン全体で、価格転嫁の問題を含めて、取引が適正化しないと全体がうまく回らない。マンパワーの問題もあり、どういったやり方が効果的かは考える必要があるが、全体に目を光らせることは今後もしていく」と述べた。

さまざまな規制があり専門性が高いトラック物流分野での調査を進める上での体制については、「いまの段階では、専門部署、専門担当者ということまでは、考えていない。今回の法改正や取引適正化の取り組みの中で、トラックの分野は非常に重要であると考えているので、一つの重点的に取り組んでいくべき分野である」と答えた。

今後の合同荷主パトロールについては、11月に、各地方運輸局との合同パトロールを予定している。現状では、集中監視月間に合わせて、国土交通省との合同パトロールを実施する計画となっている。

<合同荷主パトロールのために作成したブルゾン>
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今回、公正取引委員会では、国土交通省との合同荷主パトロールにあたり、パトロール時に着用するブルゾンを作成した。また、大規模合同荷主パトロールの出発式について、公正取引委員会公式Xで紹介。出発式での担当審議官によるあいさつを公開している。

岩成事務総長は、「法改正の施工が間近になっている中で、(国土交通省との連携は)特に力点をおいてやっている。法施行まであまり時間はないところだが、1月以降の的確な法運用を含め、国土交通省とも連携して、今後、しっかりやっていきたい」と取適法の実効性確保を向けた意気込みを語った。

公正取引委員会公式X

国土交通省、公正取引委員会/過去最大「合同荷主パトロール」全国の運輸局含め44名で実施

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