トラック適正化二法/「適正原価」全体像の概念図・適正原価の算定式・構成要素案発表(国土交通省)

2026年07月21日 14:04 / 経営

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国土交通省は7月17日、4月から一部が施行されたトラック適正化二法で、公布後3年以内に施行される項目として定められた「国土交通大臣が定める『適正原価』を下回る運賃・料金の制限」「トラック事業者の許可に係る更新制度の導入」の施行に向けて、適正原価の設定に向けた論点を提示した。

まず、「適正原価」に関する規定の全体像を提示。一般貨物自動車運送事業に着目した法的義務や違反時の法的措置を提示した。同日開催した第1回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」に提出した資料で公表した。

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「適正原価」に関する規定の全体像(出典:国土交通省)

例えば、元請事業者であるトラック事業者Aは、「自らが引き受ける貨物の運送に係る運賃及び料金が(継続して)適正原価を下回ることとならないようにしなければならない」。また、「他の貨物自動車運送事業者の行う運送を利用するときは、その利用する運送に係る運賃及び料金が(継続して)適正原価を下回ることとならないようにしなければならない」法的義務を負う。

一方で、運賃及び料金について、適正原価を下回る水準で継続的に収受せざるを得ない状況を生じさせた場合が違反原因行為となる。この違反原因に行為により、トラック事業者A社が「運賃及び料金について、適正原価を下回る水準で継続的に収受した場合」や「委託先に対して、運賃及び料金について、適正原価を下回る水準で継続的に支払った場合」が法違反となる。

法的措置として、荷主に対しては、トラック・物流Gメンによる是正指導(働きかけ、要請、勧告・公表)が行われる。トラック事業者に対しては、適正化機関による巡回指導、監査による行政処分、更新の不許可といった行政処分が実施される。

■基本的には「標準的運賃」を踏襲した設計

また、適正原価設定に向けた制度設計の基本的な方向性を示した。国交省は、適正原価」制度について、トラック事業者・荷主等による新制度への円滑な対応を担保するため、「適正原価」と「標準的運賃」の法的拘束力や定義等の差異は踏まえつつも、「適正原価」の項目などについては、基本的には「標準的運賃」を踏襲した設計とすべきとしている。

他方で、「適正原価」は法的拘束力を有する制度のため、トラック事業者・荷主等の取引実態から見て、対応が困難となるような制度設計とすべきではないとしている。実車率の設定など、「標準的運賃」において取引実態と著しく乖離している前提条件等については、「適正原価」制度の設計に当たり、見直しを行う必要があると指摘している。

制度設計については、十分な賃金が支払われることを前提に、トラック事業者・荷主等双方の物流効率化のインセンティブを損なわないような制度が求められる。国交省では、その一例として、物流効率化によるコスト削減が、適正原価算出において適切に評価される仕組みとする必要があるとしている。

さらに「適正原価」制度は、トラック事業者の許可更新における要件となる。このため、一定期間における適正原価の収受状況を確認できる仕組みとする必要がある。そこで「適正原価」告示については、「標準的運賃」告示のようなタリフ表(運賃率表)を示すのではなく、該当期間における走行距離や稼働時間等のインプットに基づき、「適正原価」を導出できる算定式を示す必要があるとしている。

なお、受託(収受)と委託(支払)では義務の対象が異なるため、「適正原価」告示の算定式は収受と支払とで区分して示すこととし、運賃・料金の収受と支払の双方について、一定期間における状況を確認できる仕組みとすべきだと指摘している。

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適正原価告示のイメージ(出典:国土交通省発表資料)

「適正原価」告示のイメージとしては、トラック事業者の総稼働時間や総走行距離等を代入して適正原価を計算できる算定式を示すとともに、時間当たり固定費やキロ当たり変動費等の単価について、地域、車種・車格ごとに示す方向性だ。

時間当たり固定費、キロ当たり変動費及び時間当たり料金については、地域/車種・車格ごとに表などにより別途示すことを想定している。さらに今後、検討の進展に応じて他の項目が追加される可能性があるとしている。

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適正原価の構成要素(出典:国土交通省発表資料)

適正原価は、固定費+変動費で構成する「運賃原価」と、運賃とは別途収受すべき費用の「料金原価等」で構成する。このうち、トラック適正化二法では、「輸送の安全確保のために必要な経費」と「事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資」の2つが規定されている。

輸送の安全確保のために必要な経費は、価格競争等により安全確保に係る取組の実施が阻害されないよう、適正原価において安全確保のための費用を独立の構成要素として盛り込んだもの。貨物自動車運送事業輸送安全規則(輸送安全規則)等の関係法令の遵守に要する費用(点検・車検費、講習費用等)に加えて、法令上すべての事業者に義務付けられているわけではないものの、安全確保に欠かせない費用(任意保険、ドラレコ、デジタコ等)も含まれるものと整理する必要があると提言している。

また、事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資は、貨物自動車運送事業の適正な運営を継続するため、貨物自動車運送事業法上の許可基準を継続的に充足する観点から要請される投資(=任意の拡張的投資ではない)に充てる資金を適正原価の構成要素として確保する趣旨としている。国交省では、すでに原価項目に含まれる人件費や減価償却費等は除外した上で、将来にわたる事業継続のため経常的に必要となるもの(人材確保・育成、労働環境改善、BCPに係る投資等)を指すことで整理できると提案している。

■適正原価の設定に向けた論点提示
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/002012606.pdf

適正原価設定/「事業種別」「車型・車種」「地域」「物価変動への対応」など主要論点提示(国土交通省)

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