物流2024年問題/製造業・物流業「運べなくなった地域」発生、関東で深刻(JILS調査)

2025年05月23日 15:07 / 経営

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が5月13日に公表した「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」結果によると、業種、地域によって影響の差が大きいことがわかった。

まず、業種別に2024年度の営業用貨物自動車を使った輸送についての質問では、製造業・流通業では問題が少ない傾向にある。一方、物流業では、運びにくくなったとの回答が半数近くを占める結果となった。

<地域内の荷物が運びにくくなった、運べなくなった地域はありますか>
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地域内輸送では、製造業・物流業の約半数が「運びにくくなった、または運べなくなった地域がある」と回答。一方流通業では、「ない」という回答が半数以上であった。特に物流業では、「ある」という回答が46%と最も多く、大きくはないものの、荷主の回答との乖離がみられた。

<輸送に支障がある地域>
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「運びにくくなった、または運べなくなった地域がある」と回答した事業者に最も深刻な地域を聞いたところ、全体では「関東」の回答が最も多かった。「近畿」「中国」「九州」も深刻な地域として上位に並ぶ。製造業では突出した地域はなく、分散している傾向。流通業では、「北陸信越」「近畿」がそれぞれ約4割を占めた。物流業では、「関東」が約3割、「北陸信越」が約2割を占めた。

一方、地域間輸送では、物流業の約半数が「運びにくくなったまたは運べなくなった区間がある」と回答。発地では関東・近畿・北陸信越・中部、着地では近畿・中国・九州・中部が上位を占めた。着地では西日本に課題が多いことが推測される。

運びにくくなったまたは運べなくなった時期は、2024年10月以降に集中しており、特に2024年12月が深刻だった。

<出発地での荷待ち時間>
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出発地と到着地での荷待ち時間については、出発地ではドライバーの滞在時間・荷待ち時間は、現状維持か短縮傾向にある。全体では「変わらない」が約5割、「短くなっている」が約4割を占め、「長くなっている」という回答は2%以下となった。出発地の荷待ち時間は現状維持・短くなっている傾向が確認できる。

<到着地での荷待ち時間>
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到着地での荷待ち時間は、全体でみると「変わらない」が約5割、「短くなっている」が約3割、「わからない」が約2割を占めた。出発地と同様に、荷待ち時間は現状維持・短縮傾向にある。「長くなっている」という回答は全体の4%以下だった。

ただし、出発地の「わからない」は約1割である一方、到着地では約2割を占めており、到着地に対する関心の低さがうかがえる。

<出発地での荷役時間>
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また、出発地と到着地での荷役時間については、出発地では、全体では「変わらない」が約6割、「短くなっている」が約2.5割を占め、大きな変化がない。「長くなっている」という回答は2%以下だった。

荷待ち時間と比べ、全体では「短くなっている」の割合が少なく、「変わらない」の割合が大きくなっている。荷待ち時間と比較すると、取り組みの進捗が遅いことがうかがえた。

<到着地での荷役時間>
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到着地では、全体でみると「変わらない」が約5割、「短くなっている」が約2.5割、「わからない」が約2割を占めた。出発地と同様に、現状維持の傾向にある。出発地の「わからない」は約1割である一方、到着地では約2割を占めており、到着地の状況に対する関心の低さがうかがえた。

この他、ロードファクターと積載率も現状維持や拡大傾向にあり、特に製造業・流通業では約3割の事業者が「積載率が大きくなっている」と回答した。

なお、物流統括責任者の役職(職位)を訪ねたところ、未定が最も多く、検討中であることが推察される。未定を除くと、製造業では「執行役員」、流通業では「役員」の回答率が高い。

この調査は、JILSメールマガジンに登録している発着荷主(製造業、流通業)、物流事業者に対して、3月7日~13日にインターネットで実施したもの。物流企業向け(全34問)、荷主企業向け(全42)を聞いた。回答者数は189名。

物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査

北海道経済産業局/輸送を断られるなど輸送能力不足が一部顕在化

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