T2/酒類・飲料4社と自動運運転トラック幹線輸送の実証を開始

2025年06月05日 14:45 / 経営

T2は、酒類・飲料の物流子会社であるアサヒロジ、キリングループロジスティクス、サッポログループ物流株式会社、サントリーロジスティクスの4社と、6月9日より幹線輸送する実証を開始する。

<(左から)アサヒロジ児玉徹夫社長、キリングループロジスティクス小林信弥社長、T2森本成城CEO、、サッポログループ物流服部祐樹社長、サントリーロジスティクス髙橋範州社長>
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酒類・飲料業界は、他業界に比べて輸送量およびトラックの運行数が多く、業界全体では1日当たり約1万台、年間約250万台を運行しているという。このため、今後、特に需要が高まる季節はドライバーの確保が困難になる事態も予想され、輸送能力の低下によって消費者への製品供給が遅れるリスクが高まっている。

今回の実証は、このような社会問題の解決につなげるため、T2が開発したレベル2自動運転トラックを用いて4社の製品を幹線輸送するもの。関東から関西までの高速道路の往復路で、4社製品の容器・重量を変えてそれぞれ幹線輸送し、本実証を通じて、「2024年問題」への対応を強化することで、持続可能な輸送体制の構築を目指す。

T2の森本成城CEOは今回の取り組みについて「これまで(飲料以外の)他業界では個社での取り組みだった。今回は業界4社で取り組むというということで、業界全体で改善していく、工夫していく幅が一気に広がる。それがT2にとって需要なポイントになる」と意義を語った。

<実証の概要>
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実証は6月~11月までの期間中、計16回(8往復)を予定。6月は2往復での実証を予定しており、1回目の往路は、キリンビール横浜工場から同神戸工場、翌日の復路はアサヒビール吹田工場から同茨城工場、2回目の往路はサッポロビール千葉工場から同大阪物流センター、復路はサントリープロダクツ宇治川工場、復路はサントリー海老名配送センターに輸送する。

実証はドライバーが乗車して行い、自動運転を行うのは高速道路の一部区間約500km、制限速度で走行し、片道8~9時間の運行になるという。車両は10トントラックだが、自動運転のための機器類なども積載しているため、通常の10トン車よりもやや少なくなる。各社の積載物は、アサヒ「アサヒスーパードライ」、キリン「キリン一番搾り生ビール」、サッポロ「サッポロ生ビール黒ラベル」、 サントリー「サントリー クラフトボス ラテ」 。

T2の森本CEOは「容器サイズも内容も違う。液体なので走行中の揺れによって重心が変化するが、それにどこまで対応できるか。また、それによって商品にダメージがあるか、その辺りをまず見ていく」という。また、自動運転によってドライバーの運転とは異なる急ブレーキなどが発生する可能性があるが、サッポログループ物流の服部社長は「外装の品質はもちろん、揺れが加わることで中の品質がどう影響するか。荷崩れなども起こりうると思うので、しっかりチェックしていく。また、どのくらいの時間で届くか、それをどうオペレーションに組み込んでいければというところも検証したい」と、ユーザーの立場からの期待を語った。

■4社のコメント
アサヒロジ 児玉徹夫社長
「アサヒグループではモーダルシフトや中継輸送、あるいはトラックの積載率、積載効率を上げる取り組み、対策を行っている。しかし、それだけの対策だと十分とは言えず、根本的な改革やさらなる施策の強化が求められている。自動運転技術は、ドライバー不足や社会全体の輸送能力の確保といった社会的物流課題の解決に向け、大きな期待が寄せられている。今回、T2が実施する自動運転の実証実験に4社共同で参画し、我々がこれまで培った飲料輸送の知見を活用して、業界全体で協力して自動運転の本格稼働に向けた取り組みを推進していきたい」。

キリングループロジスティクス 小林信弥社長
「日本の人口が減少していく中で、ドライバー不足は日本の社会課題。それに対して、しっかりと輸送力を確保しながら、継続して対応していきたいということで今回の実証実験への参加を決めた。4社は各社それぞれ、今までの知見やナレッジを持っている。それを4社が1つのテーブルに出して、膝詰めで話をしながら課題をしっかりと洗い出していく。こういったことが肝要だと思っている」。

サッポログループ物流 服部祐樹社長
「当社では、社内オペレーションの改善や輸送手段、輸送経路の多様化などに取り組んでいるが、自動運転は課題解決に対して大きな役割を担う取り組みだと認識している。物を運ぶということ自体は、どれだけ技術が発達しても決してなくならない。その中で、社会インフラを支える事業として我々は大変大きな責務を担っていると考えている。酒類・飲料を安定的に安全にお届けすることはもちろんだが、こういった社会課題の解決に取り組むということに対して、この自動運転の技術に参画するということでさらに貢献していきたい。今回の実証は、まだ完全自動化に向けての1つのステップだが、このスピードがさらに高まるよう、我々4社が一緒になって取り組むことで、その後押しができればと考えている」。

サントリーロジスティクス 髙橋範州社長
「物流課題の中でポイントとなるのは、それぞれの課題の相関関係が強く、1つ解決したから全てが解決するという話の集積ではないということ。この相関関係が強いと、大きくいうと商習慣そのものを再構築していく必要があるのではないかということになる。この商習慣を、流通も含めて変えていくということになると、それぞれのパートで議論が繰り広げられ、相当な時間がかかる。さらに、その出した答えが消費者の方々にご理解を得られるかというところまで考えると、また時間を要する。一方で、今回の実証実験を含む自動運転に関しては、各業界コンパクトな形でスピード感を持って進められていくというところで非常に有用性が高く、経済効果も早期に見込めるというところが重要なポイント。そこで当社も参画させていただいた」。

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