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2025年07月09日 14:02 / 経営
日本郵便は7月8日、一部報道の「ゆうパック廃止」を否定するコメントを発表した。
では、なぜ「ゆうパック廃止か?」という報道が度々なされ、日本郵便はこれを否定するのか。その背景にある「ゆうパック」に関する法制度、市場での位置付けなどを整理してみた。(トラックニュース編集部)
郵便法、郵便法施行規則等により、日本郵政、日本郵便には、ユニバーサルサービスの提供が義務付けられている。このユニバーサルサービスとは、全国どこでも公平に利用ができ、国民が生活するうえで基本的なサービスのこと。
郵便業務では、郵便物の引き受け、郵便物の配達、郵便切手等の販売がそれに当り、この他、通常貯金の受入れなどの銀行窓口業務、保険窓口業務が、郵便局において提供されるユニバーサルサービスと定められている。
が、ゆうパック(荷物)は対象とはなっていない。荷物は、郵便法の規律の対象ではなく、宅配便事業等と同じ位置付けとされている。
つまり「ゆうパック」は義務付けられていないサービスのため、廃止や事業譲渡も基本的には可能ということだ。これが「ゆうパック廃止か?」という報道が出てくる一つの理由である。
<郵便のユニバーサルサービスの範囲>
出典:郵政事業のユニバーサルサービスの現状について(2016年7月・総務省)
そして、もう一つ「ゆうパック廃止」が囁かれる理由が、ゆうパック事業が含まれる「郵便・物流事業」が赤字だからだ。
国土交通省が2024年8月に発表した「2023年度宅配便・メール便取扱実績」によると、2023年度の宅配便取扱個数は、50億733万個で、前年度と比較して145万個・約0.3%の増加だった。
便名ごとのシェアをみると、トラック運送については、上位5便で全体の約99.8%の構成比となった。具体的には、「宅急便」(ヤマト運輸)46.7%、「飛脚宅配便」(佐川急便)27.9%、「ゆうパック」(日本郵便)20.5%の上位3便で約95.0%を占めている。
<宅配便(トラック)取扱個数>
出典:2023年度宅配便等取扱実績関係資料(2024年8月)
日本郵政が5月15日に発表した2025年3月期決算説明資料によると、日本郵便の郵便・物流事業の営業損失は383億円、2024年3月期も688億円の営業損失を計上しており、二期連続の営業損失となった。「ゆうパック」は、その赤字の大きな要因となっている。郵便業は維持が義務付けられている以上、赤字幅を縮小するために「ゆうパック」から撤退というのは、客観的に見ると、ごく自然な選択である。
ゆうパックの取扱数量は、2024年3月期5億4700万個(前年同期比1.3%減)、2025年3月期5億5800万個(2.1%増)だった。2026年3月期の郵便・物流セグメントは、営業利益290億円を見込んでいるが、行政処分の影響などを見極めた上で、業績予想の修正を行う予定だ。
日本郵便が6月16日に開催した記者会見で、千田哲也前社長は、「郵便を含めた荷物の値上げについては、法改正も必要であり、私どもでも判断できない。(配送)委託によるコスト増をすべて料金で埋めるのではなく、コスト減、または収益増でこれを賄っていくことが経営として目指す姿だと思う」と述べている。
また、許可取消処分を受けた「一般貨物自動車運送事業者許可」の5年後の再取得について、「本音のところで、そこまでは考えいない。5年後は、次期中期経営計画のその次となる。まずは、次期中期経営計画で経営を立て直して、信頼を取り戻す。郵便が減少する中で、物流の会社への一大転換を日本郵便として行っているが、その中で、将来、どういう形でやっていくのか。これは、本体でやる部分もあるし、いろんな提携の中で動かすこともある。あとは、資本提携を含めて、いろんな動きが出てくると思う」と答え、許可の再取得については明言を控えた。
一方で、日本郵政が日本郵便に対して2014年に実施した6000億円の増資の使い道については、「今回の点呼問題とは次元が異なる。あくまで、地域間輸送網をどういうふうに我々が改革するか。我々のビジネスモデルは、郵便をどう運ぶかということの中で、トラックとか設備とかが成り立っているが、そういうところから、ゆうパックという物流、設備に変えていく。物流会社にどう、特化していくかということに使っていく」と答えている。