トラック運送業界景況感/輸送数量減少、価格転嫁も進まず今後も厳しい状況続く

2023年05月16日 15:04 / 業績

全日本トラック協会は5月16日、「第121回トラック運送業界の景況感(速報)2023年1月~3月期」を発表した。

期間中のトラック運送業界は、宅配を除く輸送数量の減少、燃料・車両・修理費・運転者人件費等の輸送原価の上昇分が価格転嫁できない深刻な状況が続き、営業利益及び経常利益は圧迫、23年1月~3月期の景況感は▲34.8と前回より9.0ポイント悪化。今後の見通しについても、燃料高、物価高等による輸送原価の増加による経常損益の悪化の見通しを反映し、▲36.0(今回▲34.8)と1.2ポイント悪化の見込みとしている。

<トラック運送業界の景況感の推移>

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<業界の景況感>

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期間中の実働率は、▲17.7(前回▲8.8)と8.9ポイント悪化、実車率は▲16.9(前回▲7.5)と9.4ポイント悪化し、輸送効率は悪化傾向に転じた。今後の見通しとしては、実働率は横ばいながら、実車率は3.8ポイント改善の見込み。このため、輸送効率はわずかながら改善するものと見られている。

運転者の採用動向は▲14.2(前回▲3.3)と10.9ポイント低下、運転者の雇用動向(労働力の不足感)は81.5(前回77.1)と4.4ポイント上昇。運転者労働力の不足感は一段と強くなり、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を超えた。今後の見通しでは、運転者の採用動向は2.3ポイント低下。労働力の不足感は今回よりも12.7ポイントと大きく上昇し、労働力の不足感はさらに強まることが予想されている。

所定外労働時間は▲27.7(前回▲20.2)と7.5ポイント減少、貨物の再委託(下請運送会社への委託割合)は▲11.9(前回3.5)と15.4ポイント減少した。今後は、所定外労働時間は▲20.8(今回▲27.7)と6.9ポイント増加し、貨物の再委託は▲4.2(今回▲11.9)と7.7ポイント増加する見込み。

経常損益は燃料価格の高止まりによるコスト増加に対する助成金効果も限定的となり、▲34.2(前回▲29.6)と4.6ポイント悪化。しかし今後については、▲32.7(今回▲34.2)と1.5ポイント改善する見込みとなっている。

このうち「一般貨物」については、輸送数量は▲24.8(前回▲4.6)と20.2ポイント悪化、運賃・料金の水準は17.9(前回19.6)と1.7ポイント悪化し、営業収入(売上高)は▲21.1(前回▲2.9)と18.2ポイント悪化。今後は▲14.2(今回▲24.8)と10.6ポイント改善、運賃・料金の水準は22.8(今回17.9)と4.9ポイント改善し、営業収入(売上高)は▲12.6(今回▲21.1)と8.5ポイントの改善を見込む。

また、営業利益は▲30.1(前回▲16.3)と13.8ポイント悪化したが、今後は▲25.2(今回▲30.1)と4.9ポイント改善する見込みとしている。

「宅配貨物」は、、輸送数量は▲5.9(前回13.9)と19.8ポイント悪化し、運賃・料金の水準は▲5.9(前回5.6)と11.5ポイント悪化。これにより営業収入(売上高)は▲17.6(前回2.8)と20.4ポイント悪化した今後は、運賃・料金の水準は0.0(今回▲5.9)と5.9ポイント悪化するものの、輸送数量は▲5.9(今回▲5.9)、営業収入(売上高)は▲17.6(今回▲17.6)と横ばいを見込んでいる。

営業利益は▲23.5(前回8.3)と31.8ポイント悪化。今後についても▲35.3と、11.8ポイント悪化する見込み。

宅配以外の「特積貨物」は、輸送数量は▲66.7(前回9.8)と76.5ポイント悪化、運賃・料金の水準は▲3.7(前回2.4)と6.1ポイント悪化したとから、営業収入(売上高)は▲66.7(前回8.5)と75.2ポイント悪化した。今後は、▲29.6と37.1ポイント改善、運賃・料金の水準は7.4(今回▲3.7)と11.1ポイント改善の見込みであることから、営業収入(売上高)は▲44.4(今回▲66.7)と22.3ポイント改善の見込みである。

営業利益は▲85.2(前回4.9)と90.1ポイント悪化。しかし今後は、48.2ポイント改善し、▲37.0を見込んでいる。

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