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2023年07月25日 17:55 / 車両・用品
NEXT Logistics Japan(NLJ)は7月21日、同社相模原センターで報道陣を対象にしたプレスセミナーを行い、日本の物流業界の現状に関する説明や技術デモを行った。
会場では、同社の梅村幸生CEOが「日本の物流課題5つの驚き、及びNEXT Logistics Japanが示す物流の未来」として講演。輸送キャパシティが不足する日本の物流業界の現状を解説した。また立教大学経済学部の首藤若菜教授もビデオで「日本の物流は持続可能なのか?」と題した特別基調講演を行った。
<梅村CEO>
梅村CEOの語る物流課題5つの驚きとは、「日本の貨物輸送量のうち、91.6%がトラック輸送」、「全物流の90%が企業間物流であり宅配が届かなくなる以前にモノが作れなくなる」、「ドライバーは労働時間が2割長く、給与は2割低い」、「トラック輸送の積載率は40%を切っており生産性が低い」、「時間外労働の上限年間960時間は過労死ライン」の5つ。物流業界の課題は多く、2024年以降も深刻化していくと警鐘を鳴らす。
そして、これらの課題に対応すべくNLJで行っている取り組みとして、ダブル連結トラック、自動割り付け・積付けシステム、燃料電池(FC)トラック、無人フォークリフトが会場で披露された。
・ダブル連結トラック
ダブル連結トラック自体は珍しくないが、NLJのダブル連結トラックは全高を30cm拡大し、全高4.1mとしたのが大きな特徴。ベースとしているのは日野プロフィアで、トレーラはドリー式を採用している。全長は25m。NLJでは幹線輸送の主力と位置付けている。
<全高4.1mのダブル連結トラック>
一般的な大型トラックは全高3.8mだが、これでは重量荷(荷高さ1.5m)、軽量荷(荷高さ1.3m)を積み重ねると荷室高が約20cm不足し、パレット2段積みができない。そこでNLJでは、全高を上げて2段積みを実現したことで、一般的なダブル連結トラック以上に効率的な輸送を可能にしたのが大きなポイント。大型トラック2.5台分の荷室容量を実現している。それまでダブル連結における道路法の高さ制限も3.8mだったが、21年8月に法改正で4.1mに緩和され、実際の運用も可能になった。9編成を運用中だが、今後も増車し、高効率な輸送を実現していくという。
現在、相模原(神奈川県)と西宮(兵庫県)間の輸送を行っているが、中間にある浜松(静岡県)の中継拠点で車両を乗り換える運行を行っている。具体的には、相模原から出発したドライバーは、浜松で西宮から来たトラックに乗り換えて相模原に戻るという形態としており、ドライバーの日帰り運行を可能にしている。
・自動割り付け×積付けシステム「NeLOSS」
NLJの取り組みの核といえるのが、この「NeLOSS(ネロス)」と呼ぶシステムである。ダブル連結トラックは大型トラック2台分の荷物をドライバー1名で運ぶことが可能になるが、現状40%台とトラックの積載率が低いままでは意味がない。そこで、業種業態を超えて共同輸送を行うことで積載率を高めるのだが、ネロスはその際にトラックへの荷物の積み込みを最適化するシステムである。
荷物の大きさ、重さ、数量などの荷物情報を荷室スペースに合わせて、パズルを組みあわせるように最適に配置することで、無駄なくトラックに積載することを可能としている。もちろんこの計算は人間がやることも出来るが、それには2時間かかるという。これに対してネロスでは量子コンピュータを用いることで、この作業をわずか40秒で完了するので、タイムリーな運用が可能になるという。これにより、協賛する異業種各社の荷物を組みあわせることで積載率7~8割を実現するなど、効率的な運用を実現している。
<ネロスにより最適に配置された荷物>
さらに今後は荷物の座標情報を基に自動フォークリフトなどと連動し、シームレスな自動XD作業の実現を目標にしている。また運行ルート/ダイヤの最適化などの機能も備えていくという。
・燃料電池(FC)トラック
日野プロフィアをベースに、トヨタ製の燃料電池ユニットや水素タンクを搭載した燃料電池トラックで、今年5月からアサヒグループジャパンと共同で走行実証を開始し、現在アサヒビール茨城工場から相模原センターまでの往復241kmを走行している。スペック上の航続距離は600km。
<走行実証中のFCトラック>
搭載するトヨタFCスタックは大型トラック用に調整した出力80kWのものを2基搭載。トータルで160kWを発揮する。また水素タンクは大型トラック用に新開発されたものでキャビン後ろに2本、フレーム両脇に4本、合計6本を搭載。水素充填量は約50kgとなっている。後輪2軸にe-アクスルを装着し、駆動方式は6×4。
電動車ということで、ドライバーからはスムーズな発進や加速が好評とのこと。また静粛性も高いので、今後も活用範囲が広がりそうである。水素ステーションの整備状況にもよるが、カーボンニュートラルを目指す上で、本格普及が望まれるところである。