トラック最前線/トップインタビュー SGムービング 角本高章 代表取締役社長
2023年12月26日 15:45 / トラック最前線
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「2025年までにラストワンマイル配送のトラック配送をゼロエミッション車に切り替える」という目標を掲げ、脱炭素の取り組みを進めているイケア。この目標実現に向けて取り組みを進めているのが配送協力会社であるSGムービングだ。12月には既存の2台に加え、新たに17台のEVトラック・三菱ふそう「新型eCanter」を導入し、ゼロエミッション配送に向けた展開を本格的にスタートした。同社の角本高章代表取締役社長に、今回の取り組みについて伺った。
取材日:12月6日
イケア・ジャパンと歩調を合わせ、EVトラックを導入
―― SGムービングの事業内容を教えてください。
角本 SGホールディングスグループは、デリバリー、ロジスティクス、不動産、その他の4つの事業がある中で、当社はデリバリー部門を担っています。デリバリー部門は、お客さまへお荷物をお届けする事業になりますが、小さな商品を中心に配送する佐川急便に対して、我々は佐川急便では運べない大型商品等の配送を担当しており、お客さまからのご要望があれば、大型家具や家電の設置から組み立てまで行っています。
-- 使われているトラックの種類も多いのですか。
角本 佐川急便と同様に軽車両から大型まで様々な車両がありますが、特徴としては重量物を扱う関係でパワーゲート付きの車両が多いことです。車両台数は、認可車両だけで約70台ありますが、今回、この中の19台がEVトラックになりました。
-- 今回のEVトラック導入は、イケア・ジャパンとの連携ということですが、イケアの配送専用となるのでしょうか。
角本 もちろんイケアさまの商品がメインになりますが、イケアさまからは省エネや配送効率の向上などを考慮し混載の許可をいただいています。
都内などの配送先が密集しているエリアだと課題は少ないのですが、郊外などの広いエリアを1台の車両で効率よく配送するためには混載することが最適だと考えますので、その点をイケアさまにご配慮いただけていることは感謝しています。
-- 今回導入したEVトラックはどのように配置されるのでしょうか。
角本 都市部をメインに考えて、先ずは東京、神奈川、千葉の都心部と、名古屋、大阪、神戸、福岡に導入しました。
配送エリア内に充電設備があることやイケアさまの店舗があることなどを条件に選定しましたが、ゼロエミッション達成に向け、イケアさまと継続して協議しながら、導入エリアの拡大を検討してまいります。
航続距離の延伸と配車システムのDX化で高効率な配送を実現
-- 今回の17台導入の前に、先行して2020年に先代モデルのeCanterを導入されています。これまで実際に運行されてきましたが、いかがでしたか。
角本 先行2台のカタログ上の航続距離は100kmですが、実際の走行では約80km。この航続距離だと、都内などの住宅密集地でなければ使用できないのが実情でした。配送先から戻ってこられるか、といったドライバーのメンタル的な負担もあり、配送件数にもある程度余裕を持たせていました。
新型eCanterは、航続距離がこれまでのほぼ倍に伸びたので、主要都市であれば十分に活躍してくれると思っています。
-- 航続距離が伸びたことで、EVトラックの活用範囲が広がりますね。イケアでは国内のラストワンマイルのトラック配送について、全国で25%ゼロエミッション化を目標にしていますが、実現できそうですか。
角本 目標達成にはEVトラック導入だけではなく、効率の良い配送が不可欠と考えています。配送効率を高めるために、ベンチャー企業とタッグを組み配送ルート設定のDX化に取り組んでいます。我々の業務は配送するだけではなく、家具の組み立てや家電の接続などもあり所要時間を考慮した配送ルート設定は複雑になります。これまで人の手で行っていた配車を地域特性、作業の内容などのデータを活用して配車組みすると、効率が20%近く上がり、一日に配送できる件数が増加しました。
-- イケアでは、さらに「2025年までにラストワンマイル配送のトラック配送をゼロエミッション車に切り替える」という目標を掲げています。イケア向けのEVトラックは今後急ピッチで増やしていくのでしょうか。
角本 具体的には決まっていませんが、方向性としてはそうです。しかし、イケアさまの配送全体をすべてEVトラックにしようとすると、相当数のEV車両が必要になります。コスト面の課題を解決していくために今後もイケアさまと協議を継続していきたいと考えています。
<左から、日本電動化研究所 和田憲一郎 代表、イケア・ジャパン ペトラ・ファーレ代表取締役社長、SGムービング 角本高章 代表取締役社長>

ゼロエミッション配送を業界全体に広げていきたい
-- 他の荷主からも、EVトラックでの配送依頼はあるのですか。
角本 多くの荷主さまが配送コストなども踏まえて検討されていると思いますので、このような取り組みを発信していくことで、ゼロエミッション配送といった観点に興味を持っていただき、同様の取り組みを拡大していきたいと考えています。
-- EVトラック以外の次世代環境車については、どのように考えていますか。
角本 佐川急便では燃料電池(FC)トラックの導入にも取り組んでいます。コストやインフラの状況、事業存続性を考えながら最適解を求めていきます。EVトラックで100%という考えではなく、例えばバイオディーゼル燃料なども含めて、世の中に対してプラスになるものを広い視野、いろいろな目線を交えながら進めていきます。
-- 今回はその本格的なスタートの第一歩ということですね。ゼロエミッション配送に向けて、業界全体でまだまだ手探りなところもありますが、その中で御社の取り組みは非常に期待されます。
角本 難しいだろう、やれないだろうとネガティブに捉えるのではなく、やると決めて取り組んだ結果が良い形になり、本当にいい機会になりました。佐川急便でのドライバーを活かして現場の状況を見ながら、現実的にできる方法を今後も模索していきたい。そこは積極的に挑戦していきたいですね。
(取材・執筆 鞍智誉章)
■角本高章 SGムービング 代表取締役社長
1996年佐川急便入社。同社南九州支店で所長を歴任、その後、同社関西支店副支店長、東京本社安全推進部長、中国支店支店長を経て、2021年4月より現職。
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