国交省/新たなトラックの標準的運賃を告示、運賃水準を8%引上げ
2024年03月22日 15:39 / 経営
国土交通省は3月22日、新たなトラックの標準的運賃を告示した。運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等も加算する。
トラック運送業は、間近に迫る「2024年問題」からも、ドライバーの賃上げの原資となる適正運賃を収受できる環境の整備が急務となっている。昨年6月にとりまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」でも、トラックの標準的運賃について、荷主等への周知・徹底を強化するとともに、荷待ち・荷役に係る費用、燃料高騰分、下請けに発注する際の手数料等も含めて荷主等に適正に転嫁できるよう、所要の見直しを図ることとされている。
今回の見直しは、これに基づいて行われるもの。見直しにあたっては、昨年8月より「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を計3回開催し、国土交通省では12月に、荷主等への適正な転嫁、多重下請構造の是正等、多様な運賃・料金設定等を見直しの柱とする提言を公表。提言を踏まえた告示の見直し案について、今年1月10日付けで運輸審議会へ諮問していた。
新たな運賃は、「荷主等への適正な転嫁」、「多重下請構造の是正等」、「多様な運賃・料金設定等」が見直しの柱。
運賃を平均約8%引上げるほか、荷待ち・荷役等の対価について標準的な水準を提示。現行の待機時間料に加えて、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を新たに加算する。「積込料・取卸料」は、公共工事設計労務単価表を参考に設定され、中型車の場合、30分あたり単価で機械荷役の場合2180円、手荷役の場合2100円としている。なお、荷待ち・荷役の時間が合計2時間を超えた場合は、割増率5割が加算される。
「多重下請構造の是正等」では、「下請け手数料」として運賃の10%を別に収受するほか、元請運送事業者が実運送事業者の商号・名称等を荷主に通知することを約款に明記。
「多様な運賃・料金設定等」では、共同輸配送等の実施を念頭に、貨物1個ずつに算定する「個建運賃」を設定。また、リードタイムが短い運送に対する「速達割増」(逆にリードタイムを長く設定した場合の割引)や、有料道路を利用しないことによるドライバーの運転の長時間化を考慮した割増も設定される。
国土交通省は、今後、関係省庁・産業界とも連携し、実効性の確保に努めるとともに、あらゆる手段を講じて、ドライバーの賃上げ原資の確保に向けて取り組んでいくとしている。
なお、新たな標準運送約款についても、3月22日付けで告示し、6月1日より施行する予定としている。
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