ヤマトホールディングスが7月30日に発表した2026年3月期第1四半期決算によると、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供するエクスプレス事業の営業収益は3632億300万円(前年同期比2.8%増)、営業損失134億3700万円(前期は207億円の営業損失)だった。

外部顧客への営業収益は、宅急便部門は小口法人・個人からの宅急便取扱数量の拡大、法人部門は大口法人の顧客に対するプライシングの適正化が進展したことなどにより、増収を確保した。
営業費用は、宅急便ネットワークの強靭化に向けた社員やパートナーの待遇改善など人的資本への投資や集配拠点の再配置などネットワーク投資の実行、宅急便取扱数量の増加に伴う費用が増加した一方で、輸送領域のオペレーション見直しに取り組み、コストコントロールに注力したことなどにより、3867億9400万円となった。この結果、営業損失は、前年同期に比べ72億6800万円の改善となった。
エクスプレス事業は、個人と法人に対し、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供しており、小口法人・個人からの宅急便取扱数量の拡大、法人部門は大口法人を中心とした付加価値に応じたプライシングの適正化を進めた。
また、セールスドライバーが顧客に向き合い、より良いサービス提供に専念できる環境整備に注力するとともに、ニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置、宅急便の発送・受け取りにとどまらないサービスを提供する地域密着型店舗「ネコサポ」の展開を進めた。また、宅急便ネットワークの強靭化に資する輸送の効率化も進めている。
第1四半期では、引き続き、外部環境の変化によるコスト上昇を踏まえ、宅急便部門における小口法人・個人に対する営業強化、法人部門における大口法人の多様な輸送ニーズへの対応や、付加価値に応じたプライシング適正化の取り組みを推進した。
また、EC事業者との連携による「置き配」サービスの提供拡大など、より多くの顧客に快適な受け取り体験を提供し、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス排出量の削減にも資する取り組みをした。
加えて、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律料金で荷物が送れる「こねこ便420」について、沖縄県を除く全国で販売開始した。宅急便ネットワークの強靭化については、ニーズや輸送パートナーの適切な働き方に対応しつつ、輸送・積載効率を高め、オペレーティングコストを適正化するため、長距離区間は、中継拠点を定め、リレー方式でつなぐ輸送方法への切り替えや、貨物専用機の活用を含めたモーダルシフトの推進など、これまでの運び方を見直すとともに、仕分け作業を担う人材の適正配置などの取り組みを推進した。
ヤマトHD/25年3月期の国内輸配送サービス、営業損失128億円