物流コスト調査/売上高物流コスト比率5.36%、過去20年間で4番目に高い水準(JILS発表)

2025年11月04日 15:53 / 経営

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は11月4日、「速報版:2025年度物流コスト調査報告書」を発表した。調査によると、2025年度調査(有効回答196社)における売上高物流コスト比率(全業種平均・速報値)は5.36%となり、過去20年間で4番目に高い水準を記録した。物流事業者からの値上げ要請などを背景に、長期的な上昇傾向が続いている。

同一サンプルによる比較が可能な2年連続回答企業(130社)の分析では、売上高物流コスト比率は5.75%(前年度比0.03ポイント増)と微増でだった。さらに指数の動向を分析したところ、2024年度を対象とした指数は物流単価・販売単価ともに上昇したが、物流単価の伸びが販売単価を上回ったことで、売上高物流コスト比率の上昇につながったことが確認できた。

<売上高物流コスト比率の推移(全業種)>
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物流コストを機能別に見ると、特に輸送費の上昇が顕著である。回答企業177社のうち、輸送費単価が「増加」した企業は88.1%に達した。「横ばい」は9.1%、「減少」はわずか2.8%にとどまった。

荷主企業75社の自由回答を分析した結果、物流コスト上昇の背景には、「物流の2024年問題」に伴う人件費上昇を最大の要因としつつ、インフレによる諸経費高騰や法令遵守への対応コストが複合的に影響している実態が明らかになった。

こうした物流コスト上昇圧力に対し、荷主企業は輸配送費削減を主軸とした施策を展開している。現場の生産性向上や人材マネジメント、さらには物流ネットワークの見直しやサプライチェーン全体の効率化などが進められている。

また、物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)で定められる「荷待ち・荷役等時間の短縮」と「トラックの積載効率の向上」といった努力義務への対応策としては、現状把握(可視化)を起点に、パレット化や標準化の推進、さらにはDXの推進といった施策が広がりをみせている。

JILSでは、通商産業省(現 経済産業省)の『物流コスト算定活用マニュアル』に準拠して物流コストの実態把握を行うとともに、文献調査や国際比較など、多面的な調査により日本の物流コストに関する総合的な基礎データを蓄積することを目的として物流コスト調査を毎年実施している。

2025年度に実施した調査は、9月末の締切時点まで得た回答を取りまとめ、速報版として公開した。今後、調査内容を精査し、確定値を2026年4月に公表する予定だ。

速報版:2025年度物流コスト調査報告書

物流2024年問題/製造業・物流業「運べなくなった地域」発生、関東で深刻(JILS調査)

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