陸上貨物運送事業労働災害防止協会は12月1日~2026年1月31日、「2025年度陸上貨物運送事業年末・年始労働災害防止強調運」を全国的に実施する。
陸災防では、「陸上貨物運送事業労働災害防止計画」(2023年度~2027年度)に基づき、「死亡災害件数については、本計画期間中に前計画期間中の死亡災害件数から5%以上の減少を目指す。(2025年は、86人以下)」「荷役労働災害の大幅な減少を目指す。特に、墜落・転落災害について、計画期間中に前計画期間(2018年度~2022年度) 中の死傷災害件数から5%以上の減少を目指す。(2025年は、4141人以下)」「安全衛生推進者の選任を徹底し、安全衛生推進者のレベルアップのための能力向上教育を充実する」とした目標を設定している。
2025年の労働災害発生状況(1~8月速報値)は、死亡者数が49人 (前年同期比18人減、26.9%減) と大幅に減少している。死傷者数も 9049人(前年同期611人減、6.3%減)と減少しているものの、型別では「墜落・転落」による災害が依然として多発しているほか、「転倒」による災害も増加傾向にあり、これらの災害について、より一層強力に取り組む必要がある。
一方で、陸運業においては長時間労働による過労死等が問題となっており、改善基準告示の周知など、これを予防するための取組を一層推進する必要がある。また、腰痛災害についても、2025年は減少傾向にあるものの、陸運業の業務の特性から引き続き対策を継続する必要がある。
このような陸運業における労働災害の現状と課題を踏まえ、その防止対策を推進するに当たり、各企業・事業場においては、労働安全衛生関係法令を遵守するほか、安全衛生推進者の選任など職場の安全衛生管理体制を確立して適切に機能させるとともに、経営者と従業員が一致協力して自主的な安全衛生活動を継続的・効果的に行っていくことが何より重要となっている。
今年度のスローガンは、「適度なストレッチを習慣に みんなで取り組む腰痛予防」とした。
具体的には、荷役作業時の墜落・転落災害の減少を図るため、「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づき、全国各都道府県における荷主等と陸運事業者との連携強化・協力促進協議会の開催、トラック荷台等からの墜落・転落及び転倒に係る災害を対象とした荷役労働災害防止対策コンサルティング事業の実施、荷役災害防止安全教育の実施など荷役労働災害防止対策を推進する。
死亡災害の発生件数が最も多い交通労働災害の防止については、「交通労働災害防止のためのガイドライン」の周知をはじめ、交通労働災害防止担当管理者教育の実施するとともに、高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン (エイジフレンドリーガイドライン)の周知及び同ガイドラインを踏まえたセミナーを実施する。
職場における安全衛生推進者の選任率の向上及びレベルアップを図る取組として、安全衛生推進者を対象とした陸運業の安全衛生管理実務担当者研修を実施し、会員事業場の安全衛生水準の向上を図る。
特に冬季は、積雪や凍結による転倒災害が多発するため、厚生労働省及び労働災害防止団体等が主唱する「STOP!転倒災害プロジェクト」に掲げる事項を踏まえた取組を推進する。
健康診断の有所見率が高い水準で推移していることから、健康確保に向けた対策として、健康診断の実施及び長時間の時間外労働を行った者に対する医師による面接指導等事後措置の徹底、ストレスチェックの実施とその結果に基づくメンタルヘルス対策を推進するとともに、腰痛災害防止に向けた取組を推進する。
職場における自主的な安全衛生活動を推進するため、職場に潜む危険の芽を事前に摘み取ってリスクの低減を図り、安全度の高い職場の実現を目指す取組である危険予知活動(KY活動)、リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステム等の定着を図る。
■2025年度陸上貨物運送事業年末・年始労働災害防止強調運動
陸上貨物運送事業労働災害防止協会/荷役災害防止担当者研修、10月29日開催