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2023年12月25日 14:01 / 経営
日本自動車工業会(自工会)は12月1日、「物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」を策定、公表した。
これは、物流の停滞が懸念される「2024年問題」への対応に向けた政府方針(物流革新に向けた政策パッケージ/物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン)を踏まえ、発荷主事業者及び着荷主事業者双方の視点でトラックドライバーの長時間労働の改善および輸送能力不足の解消につながる改善活動を普及・定着させるべく策定したもの。
まずガイドラインに基づく取組として、「物流業務の効率化・合理化」、「運送契約の適正化」、「安全の確保」を策定。
一つ目の「物流業務の効率化・合理化」では、3万点に及ぶ自動車を構成する部品の1点でも届かないと生産ラインが滞り、無駄なコストが発生する自動車産業の特性上、サプライチェーンに関連する業務の効率化・合理化は、過去より領域を越えた取組が相当程度行われてきているとしているが、より正確な時間把握やルール、責任者の選任といった体制づくりによって、荷待ち、荷役作業等(荷積み・荷卸し・附帯業務)にかかる時間の短縮を行うとしている。
具体的には、「荷待ち・荷役作業等にかかる時間の把握」、「 荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ル-ル」、「物流管理統括者の選定」、「物流の改善提案と協力」、「適正な運送への協力」、「納品リードタイムの確保」を挙げている。
このうち「荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ル-ル」では、長時間の荷待ちや運送契約にない運転等以外の荷役作業等をさせない、荷主責任による荷待ち、荷役作業等にかかる時間を、それぞれの作業場所で計2時間以内にする、としている。
また「物流の改善提案と協力」では、物流事業者との契約において物流に過度な負担をかけているものがないか検討し改善すること、取引先や物流事業者から、荷待ち時間や運転者等の手作業での荷積み・荷卸しの削減、附帯業務の合理化等について要請があった場合は、真摯に協議に応じるとしている。
さらに「適正な運送への協力」として、トラック運転者が輸配送先まで適切に休憩を取りつつ運行することが可能なスケジュールが組めるように協力すること、「納品リードタイムの確保」では、発注から納品までの適正な納品リードタイムを確保するとともに、納品リードタイムを短くせざるを得ない特別な事情がある場合には、自ら輸送手段を確保する(引取物流)等により物流負荷の軽減に取り組む。
二つ目の「運送契約の適正化」では、業務範囲を明確にし、積み降ろし及びそれ以上の荷役が必要な場合は、それらも 含めた費用の対価を明らかにして物流事業者に支払うことを明記。これは、自動車業界の商慣習として、運転者が出荷元で貨物を引取り車上に積み、納品先で車上から貨物を降ろすところまでが業務範囲となっていることが多く、特に四輪完成車はキャリアカーで販売店等へ搬送され、積み降ろしには運転者の熟練した技能を要するので、運送契約は荷役と一体となっていることが一般的になっていることが背景となっている。
具体的には、「運送契約の書面化」、「荷役作業等に係る対価」、「運賃と料金の別建て契約」、「燃料サーチャージの導入・燃料費等の上昇分の価格への反映」、「下請取引の適正化」を挙げている。
このうち、「燃料サーチャージの導入・燃料費等の上昇分の価格への反映」では、物流事業者から燃料サーチャージの導入について相談があった場合及び燃料費等の上昇分や高速道路料金等の実費を運賃・料金に反映することを求められた場合には協議に応じ、コスト上昇分を運賃・料金に適切に転嫁する、としている。
三つ目の「安全の確保」では、「異常気象時等の運行の中止・中断等」、「荷役作業時の安全対策」 を挙げている。台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼を行わないこと、労働災害の発生を防止するため、安全な作業手順の明示、安全通路の確保、足場の設置等の対策を講じ、事故が発生した場合の損害賠償責任を明確化するとしている。
一方、ガイドラインに基づく取組とは別に、業界独自の取組も策定。自動車産業として「生産部品(調達)物流」、「完成車物流」、「補給部品物流」のそれぞれについて、各特性を踏まえ、共同物流を軸とした、一層の物流効率化・合理化に向けた取組みを推進する。
まず「生産部品(調達)物流」では、仕入先間の 共同物流化(複数の仕入先から部品を集荷し積載率を高めるミルクラン)を、各完成車メーカーが仕入先、物流事業者と連携し取り組む。引取り物流化(完成車メーカーが物流事業者を手配)や、中継地の設置(仕入先から混載で集荷し、納入先別に仕分け発送する機能)等の方策により、これを加速させていくとしている。
「完成車物流」では、四輪完成車を輸送するキャリアカーや二輪完成車を輸送する専用車両は汎用性が低いため、自動車業界の中で往復の荷を確保することが必要になる。このため、完成車メーカー間の共同物流化を推進し、積載率の向上、空荷区間の低減に取り組む。
「補給部品物流」では、完成車メーカーの出荷拠点から部品販社拠点までの1次輸送と、部品販社拠点から販売店への2次輸送があり、積載率の低い2次輸送の共同物流を拡大。1次輸送についても、25m連結フルトレーラー等を使った完成車メーカー間での共同物流化を推進し、更なる積載効率の向上を図るとしている。
このほか、「定期的なフォローアップ・PDCAの実行」を挙げ、「定期的なフォローアップとPDCAサイクルの実施」を掲げている。
なお、自工会および自工会に加盟する各完成車メーカーは、この自主行動計画の確実な実行と遵守状況の定期的なフォローアップに率先して取り組み、物流の適正化・生産性の向上に向けた取り組みの浸透と、リーダーシップを発揮。物流事業者や自動車関連団体とも連携・協力をすることで、日本の物流を持続可能なものにさせていくことのみならず、日本の自動車産業の発展を行っていくとしている。