国交省/能登半島地震による道路被災実態調査結果を公表
2024年02月22日 15:39 / 交通
国土交通省は2月21日、能登半島地震で被災した橋やトンネルなど、道路構造物の被災実態調査の結果を発表した。
調査は国土技術政策総合研究所と国立研究開発法人土木研究所が実施したもの。
<未対策橋梁の被害例>
まず道路橋では、耐震設計基準が大きく変わった兵庫県南部地震以後に設計された橋の本体は概ね軽微な被害に留まっており、期待した性能が発揮されていることを確認。また、橋脚の補強や落橋防止対策など耐震補強を行っていた道路橋は、致命的な被害を回避しており、復旧の迅速化に寄与しているとした。
一方で、古い基準で設計された道路橋の中には落橋には至ってはいないものの深刻な被害も見られ、未対策橋梁の対策を急ぐ必要があるとしている。
この結果から、「落橋防止構造のように、具体の外力が想定できないような事象に対しても有効性が期待できる設計項目・内容の充実こと」、「所要の安全率を確保するだけではなく、復旧の仕方まで考えた『壊し方』にするための設計項目・内容の充実を図る」、「迅速かつ的確な診断を可能であることを照査する方法を構築する」等が、道路橋の今後の技術施策課題であるとしている。
<崩落した道路>
道路土工では、国道249号沿岸部、能越自動車道(のと里山海道(徳田大津IC以北)、輪島道路、穴水道路区間)で大きな被害を受けた。
まず国道249号沿岸部では、斜面崩壊、地すべり等により道路の交通機能が途絶した区間が多数発生した。しかし、崩土の背後斜面が不安定化している恐れがあること、復旧にあたり土砂撤去する場合には崩土自体が不安定化する恐れがあり、地形や地質など詳細な調査を行った上で対応を検討する必要があるとしている。
能越自動車道では、沢埋め高盛土を中心に多くの盛土の被災が確認された。一方、のと里山海道で2007年の能登半島地震で大規模崩壊し、その後排水対策等を施した本復旧箇所においては、多くの箇所において被災が軽微にとどまっていた。
<のと里山海道の事例>
また、盛土の締固め基準等が引き上げられた2013年以降に供用された輪島道路(2023年供用)は崩壊に至るような盛土の被災がないなど、それ以前に供用された穴水道路(2006年供用)に比べて被災が軽微であったことが確認された。
<被災した道路トンネル>
道路トンネルでは、国道249号の大谷トンネル、中屋トンネルが崩落した。地山の大規模な変形によって確保していたトンネルの内空に変形が生じ、これに伴って覆工コンクリートの崩落が発生し、道路交通機能が途絶するとともに道路啓開(緊急復旧)の活動も困難となった。
大谷トンネルは地すべり地帯に位置。中屋トンネルは地質の変化が大きい区間や地山が膨張性を示す区間があり、両トンネルとも施工当時から対策が行われていた。そのため、今回の被害は、地震による地山の大規模な変形の影響と推察しており、今後、現場の地山の変形状況、地形、地質を調査し、被災メカニズムの分析を踏まえたうえで、復旧について検討することが必要としている。
一方、2007年能登半島沖地震で被災した旧八世乃洞門の復旧では、不安定な岩塊が広い範囲に存在していたことから、路線計画から見直し、その付け替えとして新しいトンネル(八世乃洞門新トンネル)を建設。今回の地震で八世乃洞門新トンネルは坑口付近で落石や崩土は生じたものの、トンネル自体には大きな損傷なく、震災復旧で講じた路線計画の見直し効果が確認される結果となった。
報告書では中間総括として、まずは各道路構造物の基準関連の妥当性の確認が必要であるとしている。
一方、R249沿岸部の大規模な斜面崩落や地すべり、地山の変位が推測されるトンネル覆工コンクリートの崩落など、構造物のみで被害を防ぐことが困難な箇所も見受けられることから、「路線設計の段階において、安全で信頼性の高い道路計画となるように配慮すること」、「道路の機能に及ぼす影響を軽減化させる対策」、「道路ネットワークとしての強靱化を図る」など、ハード・ソフトの両面から対策の検討が必要としている。
また、道路ネットワークにおける路線の位置づけなどを踏まえ、道路が地震で被災した後の機能回復の容易さ(レジリエンス)の観点も含め、道路に求められる様々な性能を発揮するための道路構造物の技術基準の性能規定化も方策の一つとして検討が必要としている。
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