全ト協/多重下請構造のあり方に関する提言を公表
2024年03月25日 13:48 / 経営
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全日本トラック協会は3月22日、多重下請構造のあり方に関する提言を公表した。
同協会は、実運送事業者における適正な運賃の確保によるドライバーの賃金水準向上の実現に向け、多重下請構造や利用運送事業者の実態を把握するとともに、実運送事業者の意見を集約し、多重下請構造の是正に向けた方策や利用運送事業者のあり方等について検討するため、昨年10月に同協会坂本克己会長の諮問機関として「多重下請構造のあり方検討会」を設置。検討会では、取りまとめた提言を坂本会長に答申するとともに、国土交通省における各種施策に反映するよう要請する。
提言では下請の制限について、多重下請構造は実運送事業者に支払われる運賃の低下につながるトラック運送業界の大きな課題とし、中小運送事業者を含めたトラック業界全体として、2次下請までに制限すべきとした。これにより、多重下請構造の解消を図るだけでなく、荷主や元請が実運送事業者の実態を容易に把握することができる、としている。
運賃・手数料については、実運送事業者が標準的な運賃を収受すべきとし、このため、元請運送事業者が下請を利用する場合、荷主から標準的な運賃に加えて利用運送手数料10%を収受するよう、積極的に交渉を行うべきとした。
また、提言の中で厳しく言及しているのが水屋(利用運送専業事業者、取次事業者)と求貨求車システム等マッチングサイトで、ともに規制が必要としている。
水屋に対しては「輸送に関しての無責任さ、明確な運行指示のない単なる横流しを行う実態があるため、何らかの規制をすべき」としている。多くの車両情報を持つ水屋が、実運送事業者の採算を度外視した車両の確保を行うことについて問題があるとし、元請運送事業者同様、依頼元から運賃とは別に利用運送手数料を確保することで、実運送事業者に適正な運賃の支払いを求める。さらに水屋に対して、国土交通省等が適切な事業の実施をチェックする仕組みを設けるべきとしている。トラック協会への入会についても、協会の会合等の場が営業活動として利用される実態があることから、入会させないルールが必要とした。
求貨求車システム等マッチングサイトに対しては、「標準的な運賃を大幅に下回り採算のとれない水準の運賃は、運営会社等が低運賃の取引を防ぐため、自社のサイト等に載せないよう自ら厳しく規制すべき」とした。また「「運営会社等が掲載内容に関与せず、野放しとなっているものも散見され、運賃相場を引き下げる温床となっている」と指摘。このため、国土交通省等から運営会社等に対して、掲示板に標準的な運賃と乖離した低い運賃が掲示されることがないよう、利用者に警告を行う機能を設けるなど適切な対策を講じるよう促す、としている。
この他、業界全体の運賃が低い理由として、帰り荷を挙げ、「帰り荷は低運賃で良いという悪しき習慣が残っている限り、業界全体の運賃は低いまま」とし、「帰り荷=低い運賃」の考え方を一掃すべきと提言では述べている。さらに国土交通省では、元請事業者に実運送体制管理簿を作成することを示しているが、取引条件の変動が多く、運賃等の情報開示が難しい運送取引において、その都度管理簿を作成することは中小事業者には負担が大きいとし、義務化された実運送体制管理簿の作成と同時に、国土交通省に対して適切な指導を要求している。
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