改正物流法/2028年度、荷待ち時間年間125時間短縮を目標として規定
2025年02月19日 16:02 / 経営
国土交通省は、2月18日に公布した物流改正法の施行に伴う関係省令・告示で、トラックドライバーの運送・荷役等の効率化の推進の意義・目標等を定め、具体的な運転者の荷待ち時間等の短縮、積載量の重量の増加などを規定した。
【運転者の荷待ち時間等の短縮】
2028年度までに、全国の貨物自動車による輸送のうち五割の運行で荷待ち時間等を1時間短縮することで、運転者一人当たりの荷待ち時間等を年間125時間短縮することを実現する。
このために、現状、運転者の一運行の平均拘束時間のうち、荷待ち及び荷役等にかかる時間が合計約3時間と推計されていることを踏まえ、一運行当たりの荷待ち時間等が全国平均で合計2時間以内となるよう荷待ち時間等を削減する必要がある。また、これを踏まえ、荷主等は、一回の受渡しごとの荷待ち時間等について、原則として目標時間を一時間以内と設定しつつ、業界の特性その他の事情によりやむを得ない場合を除き、2時間を超えないよう荷待ち時間等を短縮するものとする。なお、一回の受渡しごとの荷待ち時間等が一時間以内である荷主等については、その継続及び改善に努めるものとする。
【運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加】
2028年度までに、全国の貨物自動車による輸送のうち五割の車両で50%を目指し、全体の車両で44%への増加を実現する。また、一運行当たりの輸送効率の向上に当たっては、重量ベースだけでなく容積ベースでも改善を図る。
【送料無料表示の見直しなど国民の理解増進】
国民の理解の増進に関する基本的な事項も定められた。具体的には、「再配達の削減や多様な受取方法の普及促進」「返品の削減や欠品に対するペナルティの見直し」「送料無料表示の見直し」を提言している。
消費者の物流サービスに対するコスト意識の浸透と、集荷又は配達に携わる運転者に対する社会的な理解の醸成のため、商取引において物流サービスが無償で提供されているとの誤解を招かないよう「送料無料」等の表現は見直しが求めれらている。
このため、「送料として商品価格以外の追加負担を求めない」旨の表示をする事業者は、その表示について説明責任を果たす必要がある。
また、国は、消費者や事業者の理解を醸成するための取組を、積極的に進める必要があると規定した。
【荷主に荷役等の効率化の協力要請、高速道路の利用促進】
さらに、物流に関わる多様な主体の役割を規定した。元請貨物自動車運送事業者及び貨物利用運送事業者は、運転者の運送及び荷役等の効率化のための取組について第一種荷主から協力を求められたときは、その求めに応ずるよう努める必要がある。また、第二種荷主、連鎖化事業者、運送依頼先の貨物自動車運送事業者、実運送事業者等から協力を求められたときも、その求めに応ずることが望ましい。
荷主は、運転者の拘束時間を削減するため、有料道路利用料の適切な負担のもと、貨物自動車運送事業者に高速道路の利用を促す必要がある。
レンタルパレット事業者は、荷役の効率化に資する「標準仕様パレット」の拡大に向けた発信の継続や取組の充実、共同での利用及び回収の促進を図るとともに、契約への必要事項の明記に係る働き掛けを含め、パレットの紛失防止対策を適切に実施する必要がある。また、レンタルパレットを利用する自御者は、当該パレットをレンタルパレット事業者との契約に定める範囲で適切に使用する必要がある。
パレット製造事業者は、標準規格のパレットの製造、販売及びレンタルパレット市場への投入を拡大するとともに、安定的に供給可能な生産体制整備等を実施する必要がある。
【トラック・物流Gメンによる是正指導を徹底】
そのほか、運転者の運送及び荷役等の効率化の前提となる事項も規定した。運転者の運送及び荷役等の効率化に当たっては、貨物自動車運送事業者等の法令遵守が前提となる。
国は、貨物自動車運送事業者等の法令違反の原因となるおそれのある行為をしている悪質な荷主、元請貨物自動車運送事業者、貨物利用運送事業者等に対して、トラック・物流Gメンによる是正指導等を徹底するとともに、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律又は下請代金支払遅延等防止法に違反するおそれがある場合も含め、悪質な荷主、貨物自動車運送事業者、貨物利用運送事業者等に対する処分の厳格化を図る必要がある。
また、荷主による法令遵守も不可欠となる。国は、運送事業の許可を得ずに違法に運送を行う事業者の排除、運送責任の不明確化つながる行き過ぎた多重下請構造の是正やそのための実運送体制管理簿の積極的な活用、運転者に対するハラスメントの防止等を図ることが必要であると規定した。
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