SGホールディングスが5月9日に発表した2025年3月期決算によると、中核事業であるデリバリー事業の営業収益は1兆211億3700万円(前期比0.7%減)、営業利益692億5700万円(15.0%減)となった。
デリバリー事業は宅配便と付加価値輸送サービスであるTMS(Transportation Management System)で構成する。TMSは、「貸し切り・直行」というチャーターサービスを強化し、グループと外部輸送業者を活用して顧客企業にとって最適な物流サービスを提供する事業。大型・特殊物輸送からミルクラン(巡回集荷)、ルート配送や小口チャーターまでさまざまなニーズに対応する。
<商品・サービスの状況>

出典:SGホールディングス2025年3月期決算説明資料(以下、同じ)
デリバリー事業では、実質賃金のプラス基調が定着していない中、消費者マインドの改善にも足踏みが見られることや、一部大手EC事業者による自社配送網拡大の動きにより競争環境が厳しくなっていること等の影響を受け、主にBtoCの荷物を中心に取扱個数が減少した。平均単価は、2024年4月からの届出運賃の改定や、取引ごとの適正運賃収受の取組みを継続したこと等により上昇した。
取扱個数は13億1700万個(4.1%減)、内訳は飛脚宅配便12億7100万円(4.1%減)、その他4600万個(3.1%減)。平均単価は662円(前期差プラス14円)。
TMSについては、グループ横断の先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL(GO Advanced Logistics)」による提案営業の活動等により、前期を上回って推移した。
費用面に関しては、取扱個数に応じてコストコントロールを行っているが、期初からのパートナー企業への委託単価の引き上げ、従業員の給与水準維持を目的とした追加的な費用の計上等、持続的・安定的なサービス提供のためのリソース確保に係る費用が増加傾向となっている。
このような中、2024年9月から、従来の「指定場所配送サービス」の内容を拡大し、お客が荷物の受取方法として置き配を選択できるサービスを開始したほか、2025年3月には九州エリアにおける物流の効率化等を目的とした大型中継センターの新設(2028年6月稼働予定)を発表する等、利便性や、生産性の向上への取組みも継続して行った。
なお、期末の車両台数は2万5629台(前期末差マイナス363台)だった。
<デリバリー事業の見通し>

2026年3月期のデリバリー事業の営業収益は1兆6290億円(10.0%増)、営業利益700億円(2.0%増)の見通し。
宅配便では、適正運賃収受の取り組みの継続と高単価サービスの拡大による単価上昇で平均単価を10円上げるなどの取り組みを実施。2026年3月期の平均単価は674円(前期差プラス13円)を計画する。
また、取扱個数は、成長市場であるリアルコマース・低温物流・越境ECの獲得により拡大し13億2000万個(1.0%増)を見込む。そのほか、TMS売上高は1350億円(8.0%増)を予定している。
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