売上高物流コスト比率/2024年度は5.44%、値上げ要請など過去20年で2番目の高さ

2025年05月22日 11:34 / 経営

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)はこのほど、「2024年度物流コスト調査報告書」の概要版を公開した。

2024年度調査(有効回答191社)の売上高物流コスト比率は5.44%(全業種平均)となり、前年度から0.44ポイント上昇した。

<売上高物流コスト比率の推移(全業種)>
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出典:2024年度 物流コスト調査報告書【概要版】

近年は、物流事業者からの値上げ要請などを背景に、売上高物流コスト比率が長期的に上昇傾向にある。実際、過去20年間の調査と比較しても、5.70%を記録した2021年度調査に次ぐ高さとなった。

2022年度から2023年度にかけては売上高物流コスト比率が2年連続で減少しており、荷主企業による商品価格の値上げが進む一方で、物流事業者への価格転嫁が遅れている点が懸念されていた。今回の2024年度調査結果からは、荷主企業から物流事業者への価格転嫁が一定程度進展したことが示唆される。

ただし、調査(企業を対象とするミクロ物流コスト調査)はサンプル数が約200社に限られるため、とくに物流危機の影響が大きかった近年では数値が乱高下する傾向が見られる。このため、長期的な傾向の把握には「指数でみた物流コストなどの動向」や「マクロ物流コストの調査」もあわせて考慮する必要がある。

「指数でみた物流コストなどの動向」によれば、物流コスト単価は上昇傾向にあるものの、売上単価の伸びには追いついておらず、物流事業者による価格転嫁は依然として十分とは言えない状況であることが示唆されている。「マクロ物流コストの調査」によれば、日本のGDPに対するマクロ物流コスト比率は2019年度以降上昇傾向にあり、最新の調査結果である2022年度の値は9.6%と、過去20年間で最も高い水準となっている。

JILSは、通商産業省(現:経済産業省)の「物流コスト算定活用マニュアル」に準拠して物流コストの実態把握を行うとともに、文献調査や国際比較など、多面的な調査により日本の物流コストに関する総合的な基礎データを蓄積することを目的として物流コスト調査を毎年実施している。2024年度調査は、主に企業の2023年度(または直近決算年度)の実績を基に集計した。

2025年度の物流コスト調査は、7月を目処にアンケート票を送付する予定。アンケート票を提出した企業には、後日、調査結果をまとめた報告書(詳細版)を1部送付する。

なお、報告書の詳細版は、Amazon・政府刊行物センター等で販売している。

2024年度 物流コスト調査報告書【概要版】

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