日本郵便は9月30日、郵便局で発生した点呼業務不備事案に関し、国土交通省から命じられた「輸送の安全確保命令」、総務省から命じられた「郵便のユニバーサルサービス等の確実な提供及び利用者の利便の確保、再発防止策の着実な実施等を命じる、日本郵便株式会社法に基づく監督上の命令等」に対して、再発防止策の進捗状況やユニバーサルサービスの提供状況をまとめた報告書を、両省に報告した。
同社は、点呼の適正実施や飲酒運転の根絶のため、代表取締役社長を中心とした経営層の強いリーダーシップの下、「研修等による意識改革」、 「職場マネジメント意識の向上や環境整備」、 「ガバナンス体制の強化」の取り組みを実施し、計画どおり進捗していると説明。
なお、ユニバーサルサービスの提供状況では、現時点において、郵便物や荷物の配達に大きなトラブルは発生していないとしている。

再発防止策の進捗状況に関しては、まず「研修等による意識改革」では、研修対象の全社員(約12万人)が動画研修を受講の上、スモールミーティングを実施済み。
「職場マネジメント意識の向上や環境整備」については、デジタル点呼を7月に51局、8月に432局の合計483局(全集配局の約15%)で開始。
また、8月31日までに、軽貨物自動車安全管理者講習を3330人(年度末計画の約6.0%)が受講。7月、8月にデジタル点呼を導入する郵便局の点呼執行予定者については、郵便局に既配備のタブレット端末を使用して講習を継続し、貨物軽自動車安全管理者の選任と運輸支局への届出を実施した。9月~10月は毎月約4000人の選任を計画。11月~3月は毎月8000人規模での選任を計画し、年度末までに約5万人の選任が完了する見込みとしている。
「ガバナンス体制の強化」では、9月1日付けで、安全を統括する責任部署として「安全推進部」を設置。さらに検査・監査担当部署による特別検査を実施し、郵便局における点呼執行状況を把握。検査結果は適時・適切に経営陣に報告したほか1線部署に情報提供する体制を整えた(期間中は日次で実施)。
なお、デジタル点呼導入局に対する検査手法については、7月9日以降、試行を開始。試行結果を踏まえ、9月以降の検査手法を決定する。また、内部監査重点テーマに「郵便・物流事業の法令・社内規程遵守等に係る内部管理態勢(運輸安全マネジメントを含む)」を追加した。
支社を中心とした是正・指導も実施。点呼執行状況の確認結果については、毎日、支社にフィードバックを実施し、不備発生局については、都度、支社から指導する。また、毎週金曜日に本社支社間で点呼対策推進本部会議を開催し、不備発生局への指導状況を含む各支社の取組状況を全支社と協議している。
点呼業務に関連するマニュアル等についても、7月20日に改正し、誤った取扱いに関する規定の削除を行ったほか、点呼執行の流れをアルコールチェック・健康状態確認等後にエンジンキーを交付し、日常点検を実施するフローに変更。7月31日から運用を開始した。
点呼については、協力会社への協力依頼も実施。協力会社に対して、安全確保の取組に関する一部変更契約締結の要請を継続している。協力会社従事員のアルコールチェックの実施状況について、防犯カメラ映像等により、郵便局社員が定期的に確認する運用を導入。7月31日に支社・郵便局に対して、協力会社の点呼記録簿の確認及び不備があった場合の是正要請を指示した。
子会社の日本郵便輸送(JPT)に対する取り組みでは、7月期の日本郵便輸送の点呼執行の実績データを8月22日に取得し、日本郵便で確認。また、点呼執行状況の確認結果については、JPT本社がJPT支社にフィードバックを実施し、不備発生営業所についてはJPT支社から指導している。
同社では、今後、軽貨物自動車運送事業に対する行政処分が執行された場合も、他の運送会社に委託することを基本に、確実な点呼の実施を大前提として、他局からの業務応援等により行政処分に対応し、顧客から預かった郵便物や荷物をしっかりと届けると表明している。
■日本郵便株式会社による点呼業務の不備事案の再発防止策等の進捗状況
■郵便のユニバーサルサービス及び郵便・物流サービスの提供状況等
国土交通省/日本郵便の111郵便局・188両の軽貨物自動車に使用停止処分(都道府県別リスト付き)