運輸労連/賃上げ要求「1万7300円」、26春闘基本構想を示す

2025年12月12日 15:01 / 労務

運輸労連は12月8日、第56回運輸セミナーをオンライン形式で開催した。全国から218名が参加し、2026春闘に向けた情報と認識を共有した。

<第56回運輸セミナー>
20251212unyu - 運輸労連/賃上げ要求「1万7300円」、26春闘基本構想を示す

冒頭、挨拶に立った成田中央執行委員長は、運輸業界を取り巻く情勢として、第217回通常国会でトラック適正化二法が成立したことを報告し、事業法の目的に「労働環境の適切な整備に留意しつつ」という文言が明記されたことが重要であると強調した。さらに、事業許可の更新制や適正原価の導入、再委託の制限、白トラ対策の強化など法改正の4つの重要点についても説明した。

また、これまで「物流クライシス」や「物流の2024年問題」として消費者に行動変容を求めてきたが、改善が進まなければ2030年度には輸送能力が約34%不足する可能性があると指摘。そのため、社会全体での取り組みの強化が必要であると述べた。

さらに、ガソリン揮発油税・軽油引取税の暫定税率廃止が今臨時国会で成立したことも報告。特に1976年から約50年続いた軽油引取税の暫定措置が終了したことは「歴史的な意味合いがあり、持続可能な物流システムの構築に向けた前進の起点」として評価した。ただし、廃止によって物流コストが大幅に下がるわけではないとし、物流の効率化や適正な取引、消費者の行動変容が進むことで実現していくべきだと訴えた。

2026春闘の方針案では「一昨年、昨年を超える要求額」とする運輸労連の考え方が確認された。統一要求額としては、賃金に定期昇給分1.5%と賃金改善分5%を加えた6.5%を乗じ、「1万7300円中心」とする基本構想が示された。また、物流に対する社会の認知度が高まる中で、「他産業との格差是正や長時間労働に頼らない賃金制度の確立により、若者や女性に選ばれる産業へ変革していきたい」と強調した。

セミナーの第1講演では、連合総合政策推進局長の仁平章氏が登壇し、2026春闘の方針について解説。仁平氏は、日本全体の実質賃金のプラス化と持続的な賃上げの定着、格差是正、労働組合による集団的労使関係の拡大という3つの基本スタンスを挙げた。また第2講演では国土交通省の平田伸一氏が「トラック適正化二法による業界の発展に向けて」をテーマに講演し、働き方改革の現状や価格転嫁・賃上げの状況、法改正のポイントなどについて解説した。

日本郵便/ロジスティードホールディングス株式19.9%を1423億円で取得、資本業務提携

労務 に関する最新ニュース

一覧

最新ニュース

一覧