勤怠管理実態調査/トラックドライバーの労働時間集計、正確にできているのは3割以下

2023年11月20日 17:41 / 労務

クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供しているjinjer(東京都新宿区、https://jinjer.co.jp/)は11月20日、「物流・運送業界における勤怠管理」に関する実態調査の結果を発表した。

この調査は、2024年4月から自動車の運転業務の時間外労働についても適用される「年960時間(休日労働含まず)」の上限規制を遵守するために、トラックドライバーを始めとした物流・運送業界において、正確な労働時間の集計体制がどの程度整備がされているのかを把握するべく、物流・運送業界に携わる企業の人事担当者445名を対象に実施したもの。(調査期間10月30日~11月6日)

まず「2024年から施行される時間外労働の上限規制の把握状況」については、76.6%が知っていると回答。「詳しく知っている(37.8%)」、「聞いたことがあり、なんとなく内容も知っている(38.9%)」と法改正について把握している企業が多い結果となった。

しかし、「聞いたことがあるが、内容はほとんど知らない(16.2%)」「聞いたことがない(7.2%)」と、法改正について把握していない層が25%弱も存在している結果となった。

<労働時間の上限規制適用について>

20241120JINJER 2 - 勤怠管理実態調査/トラックドライバーの労働時間集計、正確にできているのは3割以下

「時間外労働の上限規制に対する対応状況」についての質問では、「体制整備に取り組んでおり、労働時間を正確に把握できていると感じる」と回答した企業は26.7%で全体の3割以下。

「体制整備に取り組んでいるが、労働時間を正確に把握できているか一部不安がある(33.3%)」「まだ取り組んでいないが、これから整備を検討している(11.7%)」と回答した企業が約4割強を占めており、労働時間の上限規制適用に対する体制整備がまだまだ進んでいないことが明らかになった。

<労働時間の集計体制の整備について>

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また「まだ取り組んでいないが、これから整備を検討している」と回答した企業では、正しく労働時間を集計出来る体制に向けた、取り組み開始予定時期と完了予定時期について、「2024年4月までには取り組みを始めたいが、完了は2024年4月以降になりそう(34.6%)」「2024年4月以降から取り組みを開始する想定である(36.5%)」と、70%以上の企業が上限規制適用後に労働時間を正しく把握する体制を整備しようとしている結果となった。

<取組み開始予定時期と完了予定時期>

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現在の労働時間の集計については、「タイムカードやExcelによる集計(29.9%)」「日報等による従業員の自己申告(23.4%)」と、全体の半数以上にあたる53.3%が日報やタイムカードで勤怠管理を実施していると回答している。

<労働時間の集計方法>

20231120JINJER 5 1 - 勤怠管理実態調査/トラックドライバーの労働時間集計、正確にできているのは3割以下これらの企業に「従業員の労働時間を正確に把握することが出来ていると感じますか?」と質問したところ、「出来ているが、一部不安がある(56.1%)」「出来ていないと感じる(22.8%)」と、合わせて80%弱が正確な勤怠管理に「不安を感じている」という回答になった。

<労働時間を正確に把握できていると感じているか>

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「2024年からの労働時間の上限規制に向けて、勤怠管理システムへの移行を考えていますか?」という質問では、「考えており、既に取り組んでいる」のはわずか8.7%。「移行を検討している(25.7%)」「取り組むかどうか検討している(38.5%)」が合わせて64.2%という結果。

一方で3割弱の企業は「取り組む予定はない(26.7%)」と答えている。

<勤怠管理システムへの移行を考えているか>

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また、勤怠管理システムへの移行を実施または検討している企業を対象に、どのようなシステムの導入を考えているか、という質問では、「サービス型(SaaS、クラウド)」が46.7%と最も多く、次いで「オリジナル開発(29.9%)」、「パッケージ型(オンプレミス)(19.7%)」という回答が得られた。

<どのような勤怠管理システムの導入を考えているか>

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さらに勤怠管理システムの導入にあたって、阻害要因という質問に対しては、「新たにコストが発生すること(50.0%)」が最多。次いで「推進できる人材がいないこと(23.5%)」、「技術的なハードルが高いこと(19.8%)」と、コストの他にも、人的リソースやノウハウに関する課題意識があることがわかった。

<勤怠管理システムの導入について、阻害となり得ると思う要因>

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