ドライバー調査/残業規制で40~50代の多くが収入減の不安感じる
2024年05月27日 17:02 / 労務
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日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が5月24日に公表した「時間外労働960時間規制に対するトラックドライバーの意識調査」の調査結果によると、多くのドライバーが収入の減少や業務の忙しさに不安を感じていることがわかった。
この調査は3月26日~31日、関西圏運送事業者3社のトラックドライバー51名を対象に実施されたもの。
まず、4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限規制が適用されることについては、78%が認識しているが、22%のドライバーが認識していないと回答。傾向としては、年齢別では40代から60代にかけての中高年齢層で規制への認識度が高く、またドライバー歴が長いほど認知度が高い。
ひと月当たりの平均的な時間外労働時間(残業時間)については、80時間以上100時間未満が最多。回答者の27%が1月当たりの規制上限となる80時間以上の時間外労働を行っているが、「時間外労働960時間規制」の認知度データと合わせると、長時間労働をしているドライバーほど、規制の認知度が高い結果となっている。残業時間が長い層(60時間以上)は、ドライバー歴10年以上の層に集中している。年齢層別では、特に60代と70代以上で長時間残業が多い。
規制に対する不安については、規制の認知度が高い人ほど影響を感じており、「収入が減る」が最多。次いで「忙しくなる(業務の密度が高くなる)」を挙げている。特に「10年以上20年未満」層では業務が計画しにくくなることや、収入に対する不安が顕著になる。ただ、年齢層では40代と50代で「収入が減る」という不安が多いものの、60代では不安を感じていないとする回答が比較的多く、ライフステージによって規制への受け止め方が大きく異なっていることがわかる。
一方で全体の31%は「不安を感じていない」と回答しており、一定数は規制に対して肯定的か影響を感じていないという結果になった。特に残業時間が短い層からの回答が多く、レポートでは、既に労働時間が短いため、規制の影響をあまり感じていない可能性がある、としている。
規制への期待としては、「待ち時間や荷役時間の短縮」「余暇の時間の増加」などが挙げられるが、残業時間が長いほど、期待が多様になる傾向。全体として、規制は否定的に受け取られている傾向があるが、「滞在時間の削減」には良い影響が期待されているといえる。
一方で残業時間が短い層では「特に期待はない」という回答が多い。ただ、60代は残業時間が長いものの「特に期待していない」人が多く、これまでの経験から「規制を醒めて見ている」ようである。
調査は4月1日の規制前に実施されたこともあり、ドライバーに与える実際の影響はまだわからない部分が多い。JILSではこの規制がトラック業界に長期的に及ぼす影響を評価するために、さらなる縦断的研究が必要だとしている。
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