調査/2024年問題への取り組みに多くのドライバーが不満

2024年05月31日 16:43 / 労務

運送業に特化した専門求人サイト「ドラピタ」を運営するオーサムエージェントは5月31日、「ドライバーに聞く2024年問題の意識調査」の結果を公表した。

この調査は5月9日~27日、「ドラピタ」を利用したユーザー59名にインターネットで実施したもの。40代~50代を中心に、20代~60代の幅広い年齢層が回答、乗務している車両は、中型トラックが41.4%、小型トラックと大型トラックがそれぞれ25.9%。

<回答者の年齢層>
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「時間外労働の上限規制によって心配していること」についての質問では、75%が「給与の減少」と回答。「シフト・勤務形態の変更」「無理な運行計画の押し付け」が36.5%で続いた。収入面や労働環境のマイナス方向への変化を懸念しているドライバーが多い。

<時間外労働の上限規制によって心配していること>
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自身が働いている会社で「2024年問題に対する取り組みが行われているか」という質問に対しては、63.5%が「はい」と回答。具体的な取り組みについては、「ドライバーの確保」が71.4%で最も多く、次いで「車両の確保」「労働環境の整備」が28.6%で続いている。ただ「取り組みに満足しているか」という問いに対しては、「満足」「やや満足」が21.2%と低く、さらなる取り組みが求められているといえるだろう。

<具体的な2024年問題への取り組み>
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一方、2024年問題に対しての取り組みを行っていない36.5%の企業のドライバーは、「どのような取り組みがあるといいか」(複数回答可)という問いに対し、「積み込み・荷降ろし作業の効率化」という回答が77.8%と一番多く、続いて「荷待ち時間の削減を荷主に交渉」「運賃値上げを荷主に交渉」という回答がそれぞれ72.2%。取り組んでいる企業の「ドライバーの確保」「車両の確保」「労働環境の整備」はそれよりも低位で、企業の取り組みとドライバーの要望には乖離があることが読み取れる結果となった。

<どのような取り組みがあるといいか>
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また「2024年問題に対する不満や、業界や企業、国への要望」では、「運送会社や荷主の古臭い制度が改善されていない」、「長距離ドライバーのために、高速道路のパーキングシステムを考えて整備してほしい」、「所得が上がらないことには、人手不足は解消されない」、「残業時間が減ったとしても、残業代で稼いできた現実は変わらない。業界の給料が増えないと、ドライバー確保のために、2024年問題に違反せざる負えない会社も出てくる」、「圧倒的な元請け主義から卒業して、下請けの会社で働くドライバーのためにも運賃を上げてほしい」、「長時間労働ありきで働いてきたから給料が下がってしまう分、国が保証してほしい」等の意見が寄せられた。

これらの結果から、実際に働いているドライバーと、ドライバーを雇う運送会社や2024年問題として労働時間に上限を設けた国との間では「現状」に対する認識の差が大きくあり、決して2024年問題による法改正が、ドライバーにとって良い状況を生んでいるわけではない、とレポートでは指摘している。

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